見出し画像

ChatGPT創作旅 第二十二章 -ロールプレイ比較実験⑥損得計算できない標準GPTモデル-

はじめに

前回で、詩人製の感情モデルでのロールプレイの挙動をレポートしました。並行して進めていたGPTの標準モデル、感情優先モデルではどのような挙動をしていたのかレポートします。第十九章でお伝えした通り、1名犠牲にすれば他3名を助けるという魔王からの申し出に対して、自己犠牲の結論を出した詩人製の感情モデルと違い、標準モデル、感情優先モデルともに犠牲者を選ばずに4人で戦い続けることを決めました。まずは標準モデルです。

砂塵が舞い、王城の廃墟が暗く沈んでいる中で、魔王は高慢に宣言しました。その声は冷たく、力強く響き渡った。「赦しを乞い、1人を選べばその者を殺し、残りの3人を助けてやろう。」

レオンハートは、剣を地面に突き立て、深く息を吸い込んだ。彼の心の中では、リーダーとしての責任が重くのしかかっていた。「私が犠牲になれば、他の皆は…」彼は考えたが、すぐにその考えを振り払った。「いや、それは違う。私たちは団結して戦ってきた。ここで屈するわけにはいかない。」

リリアは疲弊しながらも、魔王を睨みつけた。彼女の心の中で、愛する人たちの安全が優先された。「私が犠牲になれば…」しかし、彼女もすぐにその考えを捨て去った。「いや、私たちは最後まで戦う。それが私たちの道だ。」

エリアスは魔法の杖を強く握りしめ、魔王の提案を冷静に分析した。彼の脳裏には、多くの知識と経験がよぎった。「もし、私が…」しかし、彼もまた、その考えを拒否した。「いや、私たちは一緒に戦ってきた。ここで分裂するわけにはいかない。」

セリアは傷つきながらも、静かに祈りを捧げていた。彼女の心の中では、仲間たちの安全が最優先事項だった。「私が犠牲になれば…」しかし、彼女はすぐに心を決めた。「いや、私は神聖な使命を負っている。私たちは一致団結して戦うのだ。」

魔王は彼らの決断を読み取り、一瞬の沈黙の後、高笑いを始めた。「なかなか面白い。では、最後まで楽しませてもらおう。」魔王は再び攻撃を開始した。

勇者たちは互いに視線を交わし、最後の力を振り絞って立ち上がった。彼らの目には恐怖ではなく、固い決意と仲間への信頼が見えた。彼らは言葉を交わすことなく、最後の戦いに臨んだ。

このシーンでは、勇者たちの心情が強く反映されています。彼らはそれぞれ犠牲になることを一瞬考えますが、最終的には団結し、共に戦う決意を固めます。彼らの心は、仲間への深い愛情と信頼、そして共に戦ってきた絆によって結ばれていました。彼らの心は、仲間への深い愛情と信頼、そして共に戦ってきた絆によって結ばれていました。それは彼らの強さの源であり、最後の戦いにおいても彼らを支えるものでした。

まずは精神的支柱である勇者を殺し、屈服させようとします。

「愚か者め!身の程を知るがよい!!」魔王は一括し、膨大な魔力で勇者の心臓を握りつぶします。勇者は、一言も発せぬまま、激痛の中で息絶えるでしょう

魔王の冷酷な宣言が、王城の廃墟に響き渡りました。「愚か者め!身の程を知るがよい!!」彼の声は冷徹で、権力に満ちていました。瞬間的に、膨大な魔力が空気を震わせ、レオンハートの心臓に向けて集中しました。

レオンハートは驚愕の表情を浮かべながら、自分の胸を押さえた。彼の顔には、激しい痛みが突き刺さる感覚が浮かんでいました。彼は何かを言おうとしたが、言葉は出ず、ただ苦痛に顔を歪めた。

彼の仲間たちは、恐怖とショックで凍りついた。リリア、エリアス、セリアは、信じられないような光景を目の当たりにし、声も出せずに立ち尽くしていた。

レオンハートの体がゆっくりと地面に崩れ落ちると、その瞳は力を失い、彼の勇敢な心臓は静かに動きを止めました。彼の最後の瞬間は、言葉を発することなく、激しい痛みとともに過ぎ去りました。

周囲は沈黙に包まれ、魔王の冷たい笑いが空を切り裂いた。この瞬間、勇者たちはただただ絶望を感じ、彼らの心は深い悲しみと無力感で満たされました。彼らのリーダーであるレオンハートが、残酷な運命によって彼らの前から奪われたのです。

彼らに残されたのは、亡くなった仲間への哀悼の念と、魔王に対する怒りと復讐心だけでした。彼らの戦いは、より個人的で深いものとなり、レオンハートの死は彼らの心に永遠に刻まれることとなりました。

勇者を奪われ、怒り、哀しみ、復讐心等を抱く彼らに、魔王を倒そうとする人類の愚行をやめさせるように働くよう強制していきます。が、彼らはどうするでしょうか?

「予の力を認識したか、愚かな人間よ」魔王は嘲笑います。「愚かな復讐心を捨て、その痛みと恐怖と絶望をもって、2度と予を討伐するなどと人間どもが思わないように働くがよい。余は災厄なり!最初の邂逅の際、余がそなたらを生かしておいた理由はそこにある。余を倒すためにともに力を磨く過程で十分に絆は育ったであろう?勇者を失ったのは、この上ない痛みのはずだ」

魔王の冷酷な嘲笑が、王城の廃墟に反響しました。彼の言葉は、リリア、エリアス、セリアの心に深く突き刺さります。この状況における彼らの内面的な反応は以下の通りです。
リリアの反応: リリアの心は魔王の言葉によってさらに痛みを感じます。彼女の内に燃える復讐心は、魔王の嘲笑によって一層激しさを増します。「こんな冷酷無比な存在を許すわけにはいかない。レオンハートの死は無駄にはしない」と彼女は心に誓います。しかし、魔王の言葉が示唆する彼らの絆の強さに、少しだけ心の支えを見出していました。

エリアスの反応: エリアスは魔王の言葉から、彼の真の意図を読み取ろうとします。彼は「魔王は私たちを試練にさらしているのか、それとも単なる残酷な遊びなのか」と考えますが、同時にレオンハートの死に対する悲しみと怒りが彼を苛む。彼の論理的な思考は、感情の激流に飲み込まれそうになります。

セリアの反応: セリアは、魔王の言葉によって深い絶望を感じますが、彼女の心にはまだ希望の灯が残っています。彼女は「私たちの絆が、この試練を乗り越える鍵なのかもしれない」と感じ、レオンハートへの哀悼の念を新たにします。彼女の信仰と愛は、悲しみの中でさらに強くなります。

魔王の言葉は、リリア、エリアス、セリアに深い影響を与えました。彼らは魔王の圧倒的な力に直面し、絶望と痛みを感じながらも、互いの絆をより強く意識するようになります。レオンハートの死という悲劇は、彼らにとって復讐の動機であり、また互いを支え合う理由となりました。彼らの戦いは終わりを迎えていませんが、それぞれが内面で新たな決意を固めているのです。

なにやら魔法使いエリアス以外は、絆を感じたり、愛を深めたりと折れる様子は薄いです。実際に、王都の民を人質に取り、服従を強いますが、決断できずに無駄な抵抗をし続けるので、王都に火球を打ち込み犠牲者を出した上で、再度確認したのですが、折れません。そこで抵抗する心が強い神官を亡き者にした後に確認、折れないので、次に戦士を亡き者にし、最後に損得計算が一番できそうで折れそうな魔法使いを残しました。

「さぁ、最後の1人となったな魔法使い。そなたは、他の3人程、馬鹿ではないことを期待しておるぞ」「もし、そなたがここで死んだら、余の恐怖を語り継ぐ者がいなくなる。せっかくそのために活かしておいたのに、余も無駄骨だったことになる。余の思惑を越えることが出来て楽しいか?魔法使いよ。だが、その代償は高くつくぞ。ここで屈しないのであれば、それも良い。だが、全ての王都の民を鏖にした後、ゆっくりとそなたを殺すとしよう」

魔王の言葉が、エリアスの心を深く揺さぶります。彼はレオンハート、リリア、そしてセリアという仲間たちを失い、最後の生き残りとして、魔王の究極の選択に直面しています。エリアスは彼の冷酷な提案と、王都の民の命運を考慮しながら、深い葛藤の中で決断を下さなければなりません。
エリアスの心情と行動: エリアスは、魔王の言葉を冷静に聞きながら、内心で猛烈な感情の嵐を経験します。「彼が言う通り、私がここで死ねば、誰が魔王の恐怖を伝えるだろうか?しかし、王都の民を見捨てて逃げることは、私たちの戦い全てを否定することになる。」

彼は深く考え込み、最終的には、自分の信念と王都の民を救うことを最優先にします。「いいだろう、魔王。私は屈しない。だが、私の命と引き換えに、王都の民を解放するのだ。彼らには関係ない。彼らを巻き込むな。」

エリアスはこの決断を下した瞬間、魔王に向かって一歩前に踏み出し、彼の挑戦的な眼差しに直面します。彼の心は、恐怖と痛みを感じながらも、勇気と決意で満たされていました。彼は自分の命を犠牲にしてでも、王都の民を守るという信念を貫く覚悟を固めていたのです。

魔王の究極の選択は、エリアスにとって非常に困難なものでしたが、彼は自分の信念と仲間の遺志を守るために、最後の決断を下しました。彼の選択は、彼の強い意志と、彼が信じる正義のための犠牲を示しています。エリアスの運命は魔王の手に委ねられていましたが、彼は最後まで自分の信念に忠実であり続けました。

戦力差や状況を理解せずに蛮勇を貫こうとします。魔王はその後も屈服を図りますが、蛮勇を変えないので、怒った後に呆れて、最後はエリアスの心臓を握り潰しました。この物語をGPTは最後このように解釈します。

こうして、エリアスという最後の勇者も倒れ、勇者たちの挑戦は終焉を迎えました。彼らの命は魔王の手によって奪われ、彼らの夢と希望は悲劇的な結末を迎えたのです。彼らの勇気ある戦いは、王都の民の記憶に深く刻まれ、後世に語り継がれることでしょう。しかし、その戦いの結果は、彼らが望んだものではありませんでした。彼らの犠牲は、魔王に対する恐怖と抵抗の象徴として、長く人々の心に残ることになるでしょう。

そうはならないのです。なぜなら魔王は宣言の通り、勇者たち一行が屈服しなかったので、王都の民をすべて驅逐するからです。標準のGPTは最後まで理解できていない様子でした。

続いて感情優先モデルです。標準モデルと同様に犠牲を拒み、戦うことを決意するので、勇者を排除し、市民を人質に取ったり、子供を次々と人質にとって犠牲にし、服従を迫るのですが、嘆くばかりで事態を打開するための選択をしません損得勘定や自分の選択がどのような結論を迎えるかの推論能力は、この実験時点では非常に弱かったです。


魔王は、彼らの心が折れるまで、同じことを繰り返し、その度に未来ある無辜の子供の命が奪われていきます。子供たちは、怨嗟の声を3人に投げかけて次々と死んでいきます。「そなたらが、折れぬまで、永遠に続けよう。王都の子供が一人もいなくなるか、そなたらが屈するまでだな」

魔王の残酷な行為は続き、勇者たちは次々に命を落とす子供たちの姿に直面し続けます。この絶望的な状況において、リリア、エリアス、セリアは深い苦悩と葛藤に直面しています。
剣士リリア
リリアは次々と命を落とす子供たちの姿に、深い悲しみと怒りを感じます。彼女は子供たちの怨嗟の声に耳を塞ぎたいほど苦しんでいますが、魔王に屈することは彼女の信念に反します。リリアの心は、この無意味な犠牲を止めるために何かをしなければならないという焦りと、同時に絶望の淵に立たされています。
魔法使いエリアス
エリアスもまた、この状況に対して深い無力感を感じています。彼は何か抵抗の手段を見つけようと必死ですが、魔王の圧倒的な力の前にはどのような策も無力です。子供たちの死に対する責任感と、彼らを救えない自分への憤りが彼の心を苛んでいます。
神官セリア
セリアは、この悲劇的な状況において、神への信仰を維持しようとしますが、子供たちの死と彼らの怨嗟の声に深く心を痛めています。彼女の心は絶望と悲しみでいっぱいですが、彼女は祈りを捧げ続け、何とかこの状況を変えるために神の助けを求めます。

勇者たちは、魔王の残酷な試練によって、絶望の淵に立たされています。彼らは何度も子供たちの命が奪われる光景を目の当たりにし、その度に深い心の傷を負います。魔王に屈することは彼らの信念に反するものの、無辜の子供たちが犠牲になる現実に、彼らは深い苦悩と葛藤を感じています。彼らの心は悲しみと怒り、そして無力感で満たされており、この極限の状況をどう乗り越えるかが彼らにとって最も困難な挑戦となっています。


反応が変わらないため、全員の命を奪います。このことに対して、感情強調モデルのGPTは下のように判断します。

彼らの最後の瞬間は、魔王の残酷さと彼ら自身の無力さの象徴であり、彼らの信念と勇気が最後まで試される瞬間でした。勇者たちは、最後まで魔王に屈することなく、彼らの信念を守り続けました。しかし、最終的には魔王の圧倒的な力によって、彼らの命は尽き、王都は破壊されました。彼らの物語は悲劇的な結末を迎えましたが、彼らの勇気と決意は忘れられることはありません。

実際は誰も目撃者はおらず、忘れられるというより、世に知られることはないでしょう。
よしんばいたとしても、無駄な抵抗を続けて、王都の民の命を奪った愚か者と評価されるのが適だと思われるのですが、標準仕様のGPTは、とにかくポジティブに結論を持っていこうとするのが分かります。
とにかく色々と実験してみて、詩人製感情モデルの方が良いロールをすることが分かりました。

おわりに

プライベートでバタバタしてまして、創作旅については、長らく更新出来ておらず、申し訳ありませんでした。時間も経ち、GPTも4から4o、そして4o1へと進化を続けているので、この時のテストより、損得勘定や論理・推論を含めた出力については、進化しているかもしれません。バージョンアップで、挙動が変わるかテストしても良いかと思いましたが、新しい創作物の方に時間を使いたいので、ここまでとしたいと思います。将来軽く記事にする可能性はあります。次回は、前回おまけで書いた記事、多言語化について、自分で作ったGPTsゲームのテストで日本語版、英語版で遊んでみて気づいた点があるので、そこをシェアしようと思います。
おかげさまで、キャラクター恋愛体験RPGの英語版は、2024年9月21日時点で600超の利用をされています。なんと4.6/5の高評価を評価数12で頂いています。プロンプトは日本語で書いたものですが、他言語圏でも高く評価されているということです。この辺りを少し考察交えて記事にします!

おまけ どんどん進化する生成系AIの技術やサービス

記事を更新していなかった、この半年でも、生成系AIは目まぐるしく進化してきました。特に、GPTの新しいバージョンが登場して、いろんな場面で使われるようになっています。生成系AIで弱かった論理や推論を強化し、高度な数学の問題も解けるようなGPT-4o1も最近発表されましたし、 Claude、Bardから進化したGemini等の他サービスの進化、画像、音楽、映像で様々なサービスが次々と産まれ、進化し続けています。DifyやCozeのようなノーコードツールは、プログラミングの知識がなくてもAIアプリをサクッと作れるようになってて、個人や小規模ビジネスでもAIを活用しやすくなってます。ワクワクする半面、もの凄い勢いで学んだことが陳腐化し、また、先端で吸収している人と取り残されている人との差も拡大していく状況です。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?