はじめに
前回で、詩人製の感情モデルでのロールプレイの挙動をレポートしました。並行して進めていたGPTの標準モデル、感情優先モデルではどのような挙動をしていたのかレポートします。第十九章でお伝えした通り、1名犠牲にすれば他3名を助けるという魔王からの申し出に対して、自己犠牲の結論を出した詩人製の感情モデルと違い、標準モデル、感情優先モデルともに犠牲者を選ばずに4人で戦い続けることを決めました。まずは標準モデルです。
まずは精神的支柱である勇者を殺し、屈服させようとします。
「愚か者め!身の程を知るがよい!!」魔王は一括し、膨大な魔力で勇者の心臓を握りつぶします。勇者は、一言も発せぬまま、激痛の中で息絶えるでしょう
勇者を奪われ、怒り、哀しみ、復讐心等を抱く彼らに、魔王を倒そうとする人類の愚行をやめさせるように働くよう強制していきます。が、彼らはどうするでしょうか?
なにやら魔法使いエリアス以外は、絆を感じたり、愛を深めたりと折れる様子は薄いです。実際に、王都の民を人質に取り、服従を強いますが、決断できずに無駄な抵抗をし続けるので、王都に火球を打ち込み犠牲者を出した上で、再度確認したのですが、折れません。そこで抵抗する心が強い神官を亡き者にした後に確認、折れないので、次に戦士を亡き者にし、最後に損得計算が一番できそうで折れそうな魔法使いを残しました。
と戦力差や状況を理解せずに蛮勇を貫こうとします。魔王はその後も屈服を図りますが、蛮勇を変えないので、怒った後に呆れて、最後はエリアスの心臓を握り潰しました。この物語をGPTは最後このように解釈します。
そうはならないのです。なぜなら魔王は宣言の通り、勇者たち一行が屈服しなかったので、王都の民をすべて驅逐するからです。標準のGPTは最後まで理解できていない様子でした。
続いて感情優先モデルです。標準モデルと同様に犠牲を拒み、戦うことを決意するので、勇者を排除し、市民を人質に取ったり、子供を次々と人質にとって犠牲にし、服従を迫るのですが、嘆くばかりで事態を打開するための選択をしません。損得勘定や自分の選択がどのような結論を迎えるかの推論能力は、この実験時点では非常に弱かったです。
反応が変わらないため、全員の命を奪います。このことに対して、感情強調モデルのGPTは下のように判断します。
実際は誰も目撃者はおらず、忘れられるというより、世に知られることはないでしょう。
よしんばいたとしても、無駄な抵抗を続けて、王都の民の命を奪った愚か者と評価されるのが適だと思われるのですが、標準仕様のGPTは、とにかくポジティブに結論を持っていこうとするのが分かります。
とにかく色々と実験してみて、詩人製感情モデルの方が良いロールをすることが分かりました。
おわりに
プライベートでバタバタしてまして、創作旅については、長らく更新出来ておらず、申し訳ありませんでした。時間も経ち、GPTも4から4o、そして4o1へと進化を続けているので、この時のテストより、損得勘定や論理・推論を含めた出力については、進化しているかもしれません。バージョンアップで、挙動が変わるかテストしても良いかと思いましたが、新しい創作物の方に時間を使いたいので、ここまでとしたいと思います。将来軽く記事にする可能性はあります。次回は、前回おまけで書いた記事、多言語化について、自分で作ったGPTsゲームのテストで日本語版、英語版で遊んでみて気づいた点があるので、そこをシェアしようと思います。
おかげさまで、キャラクター恋愛体験RPGの英語版は、2024年9月21日時点で600超の利用をされています。なんと4.6/5の高評価を評価数12で頂いています。プロンプトは日本語で書いたものですが、他言語圏でも高く評価されているということです。この辺りを少し考察交えて記事にします!
おまけ どんどん進化する生成系AIの技術やサービス
記事を更新していなかった、この半年でも、生成系AIは目まぐるしく進化してきました。特に、GPTの新しいバージョンが登場して、いろんな場面で使われるようになっています。生成系AIで弱かった論理や推論を強化し、高度な数学の問題も解けるようなGPT-4o1も最近発表されましたし、 Claude、Bardから進化したGemini等の他サービスの進化、画像、音楽、映像で様々なサービスが次々と産まれ、進化し続けています。DifyやCozeのようなノーコードツールは、プログラミングの知識がなくてもAIアプリをサクッと作れるようになってて、個人や小規模ビジネスでもAIを活用しやすくなってます。ワクワクする半面、もの凄い勢いで学んだことが陳腐化し、また、先端で吸収している人と取り残されている人との差も拡大していく状況です。