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漢詩集

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唐の時代の詩作のルールで作っています。雅号は嘯嘯子(しょうしょうし)、「いつも歌をうたっている男」という意味です。
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記事一覧

奈良 【漢詩】

奈良 【漢詩】

  奈良 
    嘯嘯子

古都秋日望髙樓
若草山中神鹿遊
宮女霓裳風馥郁
丹花一笑轉明眸

古都 秋日 高楼を望む
若草山中 神鹿遊ぶ
宮女 霓裳 風 馥郁
丹花 一笑 明眸を転ず

七言絶句尤韻

中秋 【漢詩】

中秋 【漢詩】

久しぶりに 漢詩を作りました。陽韻。

中秋   
       嘯嘯子

嫦娥保壽月煌煌
浮世興衰夢一場
蟾兎徹宵歌不住
中秋已後更添霜

嫦娥 寿を保ち 月 煌煌
じょうが よわいをたもち つき
こうこう

浮世 興衰 夢一場
ふせい こうすい ゆめ いちじょう

蟾兎 徹宵 歌ひやまず
せんと てっしょう うたいやまず

中秋已後 更に霜を添へむ
ちゅうしゅういご さらにしもをそえむ

嫦娥

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白龍形 【漢詩】

白龍形 【漢詩】

暮れに日光鬼怒川に行ったので漢詩を久しぶりに作りました。

鬼怒川
        七言絶句下平靑韻
          嘯嘯子

煌煌令月滿天星
銀露無人遶逕庭
冷氣深嚴山峽夜
連綿雲外白龍形

煌煌たる令月 満天の星
銀露 逕庭をめぐる人なし
冷気深厳 山峡の夜
連綿たる雲の外 白龍の形

舟游 【漢詩】

舟游 【漢詩】

漢詩は五言絶句を三月につくって以来休んでいます。釣り好きの人に送別で贈ったもの、唐代以来の平仄を踏んでいます。韻は陽韻、嘯嘯子は雅号。

 舟游  嘯嘯子

黎明拂曉光
風静已春陽
魚影輕舟客
藍天游太洋

黎明 払暁の光
風静かに すでに春陽
魚影 軽舟の客
藍天 太洋に游ぶ

開花 【漢詩】

開花 【漢詩】

甘睡早梅精氣新
開花馥郁滿紅脣
不時地上白霜降
今日晴天宇宙春

甘睡する早梅 精気は新た
開花馥郁 紅唇に満つ
時ならず 地上に 白霜降るも
今日は晴天 宇宙の春

七言絶句押眞韻

鯉魚 【漢詩】

鯉魚 【漢詩】

久しぶりの漢詩です。

 鯉魚  嘯嘯子

晴瀧錦繡照清渠
瀑水紅羅耀鯉魚
將欲成龍雷電閃
髙吟雲海下靈書

大意

晴れの日の滝
清いながれに
さまざまな色がはえる

滝の水のもと
紅のころもの鯉がかがやく

鯉が龍になるとき
雷電がひらめいて

雲海で高らかにうたい
すばらしい書物を下界にもたらす

江嶋 服部南郭の漢詩「石壁に題す」に和す 【漢詩】

江嶋 服部南郭の漢詩「石壁に題す」に和す 【漢詩】

題石壁 服部南郭 押灰韻

風濤石岸鬪鳴雷
直撼樓臺萬丈廻
被髪釣鼇滄海客
三山到處蹴波開

石壁に題す

風濤石岸 闘(あらそ)いて雷を鳴らす
直ちに撼(ふる)わす 楼台の万丈にわたり廻(めぐ)るを 
被髪にて鼇(かめ)を釣る滄海の客
三山 到る処 波を蹴りて開く

江嶋
 和服部南郭先生題石壁 押灰韻

仙靈感應白龍堆
衆庶稱揚其辯才
詩客逍遥鍾愛處
金波灣内擁蓬莱

江の島
服部南郭先生の石

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牡丹 【漢詩】

牡丹 【漢詩】

季節の漢詩ができました。

 牡丹 押灰韻  嘯嘯子

 清明好日暖風來
 遊客探花登露臺
 粉黛佳人春苑裏
 秀眉一笑牡丹開

 清明のよき日 暖風来たり
 遊客 花を探し 露台に登る
 粉黛の佳人 春苑のうち
 秀眉 一笑 牡丹開く

漢詩  武を講ず

漢詩  武を講ず

漢詩は唐宋のルールで作るものですが、日本では読み下しを詩吟として楽しんできました。
旧作の剣道の達人の試合を見た感想の詩、読み下しのみ載せます。

   武を講ず  嘯嘯子

武技の錬成 意は澄みて深し
師弟 相伝う 剣士の林
一揖 喚声 まさに裂帛
両鋒 交うるところ 本より無心