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【UT RISE(旧Voice Up Japan 東大支部主催)】Change UTokyo -Let's Talk About Gender2日目第一部イベントレポート

こんにちは!UT RISE(旧Voice Up Japan 東大支部)です。今回は駒場祭2022の2日目に行われたゲストトークの内容をお伝えします。対談形式で行われたこちらの企画では、清水晶子先生をお迎えし、講義をしていただきました。


登壇者紹介


清水先生は東京大学大学院総合文化研究科教授で、フェミニズム・クィア理論が専門です。研究だけではなく、東京大学を全ての学生・関係者にとって安全な場所にするための取り組みもキャンパス内で行っていらっしゃいます。今年、『フェミニズムってなんですか?』という著書が出版され、東大生協駒場書
部では売り上げランキングの上位に入りました。

講義内容紹介・メンバー感想


そんな清水先生の講義では『テルマ&ルイーズ』という1991年公開、リドリー・スコット監督の映画を中心に、フェミニズム理論・クィア理論の研究者であるサラ・アーメッドが論じた「スナップ(Snap)」という概念についてお話いただきました。『テルマ&ルイーズ』はテルマとルイーズという2人の女性の物語であり、テルマがレイプされ、その加害者男性をルイースが殺し、2人で逃避行をする物語です。清水先生は、このルイーズが男性を殺してしまったのが「スナップ」であるとお話されました。
 「スナップ」というのは、圧力を受けている枝のように、ある瞬間耐えられなくなり折れる、切れるということです。スナップすることというのはとてもフェミニスト的なことであると、サラ・アーメッド(『フェミニスト・キルジョイ』などの著者)が述べています。
東大女子や、その他マイノリティは小さい圧力でもそれが重なることでスナップの原因となる。東大女子やその他マイノリティは例えば、東大女子お断りサークルや、そのような文化・空気などに耐えて生きていかないと行けない。これらは気にしないで日常生活は生きていけるかもしれないが、それは確実に小さな圧力にはなっていて、それが重なることでスナップへと繋がる。
 特に、「女性」として括られる人たちの中でも、性的マイノリティなど、複数の種類の圧力を受けている人ほど、スナップしやすいのです。スナップのしやすさは、その人が弱いなどという性質なのではなく、置かれている状況によるものであり、それぞれの “vulnerability” によるものである。また、そんなスナップは物事の始まりである、とおっしゃっていました。間違っているものに対して耐えるのをやめる、というのはその間違いを正す可能性を秘めているということです。
 スナップは悪いことではなく、むしろスナップには変える力がある。ですが、一人でスナップすると壊れてしまう可能性がある。だからこそ、ギリギリの状態になる前にスナップできるようにならないといけないし、一緒にスナップできる仲間を見つける必要もあります。
 最後に、先生自身が立ち上げ・運営に関わっていらっしゃいます、駒場キャンパスにある「駒場セーファースペース(通称:KOSS)」についてお話しいただきました。KOSSは、避難所のようなところだけではなく、相互的にエンパワーメントをする場であり、一緒にスナップできるような関係性を作る場である、とおっしゃっていました。
私は、この講義を聞いてとても勇気づけられました。日々の小さな圧力を気付かないうちに受けていて、いつでもスナップできる状態にいるということ自体、気付けない人も多いのではないでしょうか。気付かないところでも圧力を受けていても、それを当たり前のことと思ってしまったり、またはモヤモヤを感じてもそのまま耐えるしかないことを経験した方は多くいると思います。しかし、社会に要求されるように笑顔で耐え忍ぶ必要もなく、むしろスナップをするべきなんだ、そしてスナップする時には1人ではないように仲間を見つけるべきであり自分もまた他の人のスナップする仲間になるべき、という言葉には希望を感じました。
 参加者からの質問で、「『フェミニストはよく怒る』というステレオタイプがあるが、スナップはそのようなステレオタイプを強化してしまうのではないでしょうか」という質問がありました。清水先生はこれに対し「フェミニストは怒っていて当然。怒っていいと思います」と答えているのが印象的でした。理不尽な扱いを受けても怒らずに耐えることを要求されるのもまた、抑圧の一種でありマイノリティにこそ求められることなのだ、と感じました。怒るべきところでは怒り、スナップをし、それをすることによって変わる人もいるかもしれない、という気付きになりました。
 全ての質問は紹介できませんが、これ以外にも参加者からたくさんの質問が出て、とても刺激的な講義になりました。

終わりに


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