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あおげばとうとし わが詞と音
セーラーのスカーフが歪んでいた。
「可愛いくないな。」
少女は、何度もスカーフに触れては小首を傾げる。
鏡を覗くために背伸びした足がふらつく一瞬、
鏡の向こう側から、ノイズ混じりのラジオ放送のような声が聴こえた。
『神様、もしいるなら、僕の声は忘れて。君の声を聴かせて。』
それは、うんざりするほど聞き慣れた声だった。いつからかはわからない。
生まれてからずっと聴こえていたような気もする。
どう
サンタクロースは二度死ぬ
バンド、アーバンギャルドが自身初のクリスマスソングとして、新曲『サンタクロースビジネス』を配信リリースした。
Youtube上に公開されたMVでは、クリスマス当日、バンドマンとしてステージに上がる父親と、ひとり寂しい夜を過ごし、サンタに扮した父親とのクリスマスパーティを夢見る娘の様子が映される。
デビュー以降、トラウマテクノポップバンドが様々な作品に織り交ぜてきた毒気ともいえる表現や世界観は限り
アーバンギャルド妄想駄文:「アバンデミック」
2020年11月25日にアーバンギャルドのニューアルバム「アバンデミック」が発売された。
コロナ禍においてあらゆるエンタテイメントが不要不急とされ、世間からクラスターの温床と見做されたライブハウスを主戦場にしていたバンドが新たな活動の模索を余儀なくされるなか、アーバンギャルドもその危機に直面していた。目まぐるしく変わる世界は、リーダーの松永天馬の目にどう映ったのか。自粛期間を製作期間にリリースさ
これは聖書なんかじゃない
アーバンギャルド水玉自伝を読みながら、そう思った。
たしかに、非常に聖書的な形式ではある。アーバンギャルドの誕生とその軌跡をそれぞれ異なるメンバーの目線から振り返る水玉自伝。同じキリストの誕生と奇跡の数々をそれぞれ異なる使徒の目線から記録した4つの福音書みたいに、アーバンギャルドにおけるビフォア・クライストとアンノ・ドミニを辿る。個人的には、脚注が文字通り各ページの足元に添えられている点も、聖書