太陽光企業は絶賛倒産中?「コノ企業」は違う!第1回
皆さん、こんにちは!
アメリカ株式義塾です。
今日は環境に優しいエネルギー、特に太陽光についてお話ししたいと思います。
今回は太陽光をテーマにお話ししますが、実際には他の様々な産業において同様に適用できる投資インサイトでもあります。他の人々が10を学ぶとき、アメリカ株式義塾のメンバーの皆さんは20を知って、他の投資家よりも先に市場に対応できるように、私たちは常に"投資の本質"に集中して記事を投稿しています。
2022年、太陽光産業のピーク
2022年から2023年の初めにかけて、現在のAIブームに負けず劣らず市場を席巻した太陽光バブルを覚えていますか?
代表的な例として、エンフェーズ・エナジー(ENPH)がありましたね。太陽光関連企業の多くは、その時期に株価が、いとも簡単に200%から300%も上昇していました。
しかし、世界的に予想以上の高金利が長く続く中、コスト負担の大きかった太陽光事業は次第に縮小し始めました。その上、中国が低価格の太陽光パネルを大量に生産し始め、需要を遥かに超えて供給が増加したことで、世界的に太陽光産業の収益性が深刻に悪化したことは皆さんもご存知でしょう。
勢いを失っているようで失っていない太陽光産業
供給が急速に増加したのは事実です。しかし、需要が減少したわけではありません。
2024年6月現在、太陽光関連株はエンフェーズ・エナジー(ENPH)を見ても分かるように、大部分が低迷しています。さらに、2024年11月の大統領選挙では、"もしトラ"、すなわちドナルド・トランプ前大統領が当選するのではないかという懸念も市場に広がっており、太陽光関連企業の株価も下落を止められない状況です。
2024年4月には上記のタイトルの記事が出ました。どんな内容でしょうか?
中国発の太陽光パネル生産ブームが世界市場を飽和させ、太陽光パネルがあまりにも安くなったため、オランダとドイツでは太陽光パネルが庭のフェンスを作るのにまで使われているという内容でした!
やっぱり、いくら考えてもおかしいですよね?
その通りです。話になりません。
いくら太陽光パネルが驚くほど安くなったとしても、電子機器であり、フェンスよりもはるかに複雑な工業用電子部品です。当然、木製フェンスよりも高価です。
では、なぜこのような記事が出たのでしょうか?うその記事なのでしょうか??
ソーラーパネルフェンス、その真相は…
人件費を節約する方法!
人件費を節約とは?
詳しく説明しましょう。まず、太陽光パネルをそのように縦に立てて使うと発電効率が良いでしょうか?もちろん、屋根に設置するよりも効率的ではないでしょう。
通常は太陽光パネルを斜めに寝かせて設置することで、太陽エネルギーを最大限に受け取ることができます。しかし、垂直に立てて設置すると受け取る面積が減少するため、効率が低下します。
なのになぜ、このように非効率的な方法が選択されるのでしょうか?
太陽光パネルが最も多く設置される場所である”アメリカの戸建ての家の屋根”に設置するには、作業員が屋根に登って、上記の写真のように鉄パイプで枠を組んで設置しなければなりません。
太陽光パネルを設置するために屋根に登る作業員に支払う人件費と、鉄パイプの設置費用が太陽光パネルよりも高くなったので、屋根に設置せず、フェンスのように縦に立てて設置するようになったということだったのです(...)。
発電効率は少し落ちるとはいえ、柵のように立てておいてもある程度発電はできるし、高い人件費と鉄パイプの設置費を払うよりは安い! と考えるようになったのです。
特に、ニュースでもよく見かけますが、アメリカの労働市場が過熱し、人件費が右肩上がりになっている状況では、太陽光パネルをフェンスのように立てて設置した方がむしろ得なのです。
つまり、太陽光パネル自体の価格が0に近くなればなるほど、太陽光発電設備に必要な資本は結局、人件費と工事費が大半を占めることになります。これさえも極端に減らすための選択がフェンスなのです。
GX(グリーントランスフォメーション)は不可逆的変化である
とはいっても、太陽光パネルがどれほど安くなれば、人件費削減のためにフェンスにパネルを取り付けるなんてことになるのでしょうか?
なかなか信じられませんが、このニュースが、太陽光市場が供給過多になっているという事実を最も直感的に示しています。
では、現在の状況はどうなっているのでしょうか?私たちは太陽光市場において何を考えるべきでしょうか?本質に戻っていくつかの考えをお伝えします。
赤カブ部長:環境に優しいエネルギーを使おう!という流れが続いているけど、この流れが止まる可能性はあると思う?
白カブ部長: ないと思う。エクソンモービル(XOM)やシェニエール・エナジー(LNG)などの化石燃料の世界最大手の企業も膨大な研究費用をかけて環境に優しいエネルギーの研究を行っているし。ドナルド・トランプが大統領になったらこの変化を一時的に遅らせることはできるかもしれないけど、変化自体を阻止することは不可能だと思う。
環境に優しいエネルギーが化石燃料を完全に代替するうえで、最も基本的で必要不可欠ないくつかの要素があるのでチェックしましょう!
非常にシンプルです。
これらの条件を満たすエネルギー源はたった2つしかありません。それは太陽光と原子力です。実際、これら2つは本質的には同じです。
太陽光パネルは、太陽の核融合エネルギーを無料で受け取るツールです。一方、原子力発電は、放射性元素の核分裂エネルギーを無料で受け取ります。両方とも、原子の中に含まれる力を引き出すという点で似ています。
太陽光発電はパネルを設置するだけで、1億5000万キロ離れた太陽から無料でエネルギーを供給してもらえますし、原子力は核分裂させるだけで数キログラムにも満たないウランが自動的にエネルギーを供給してくれます。ですから、太陽光と原子力発電のどちらも使わない手はありません。
ただし、原子力は、いつも事故のリスクが存在し、一度建設して管理するのに莫大なコストがかかり、小規模なエネルギーが必要な場所ではエネルギーを自己調達することが難しいということをご存じかと思います。特に、エネルギーの自己調達が困難であるということは、原子力発電所から各家庭や事業所に電力を送るインフラを追加で整備するコストが継続して発生するということです。
だから尚更、太陽光発電がなくなるわけにはいきませんし、 太陽が無料でくれるエネルギー源というのはそう簡単に諦められるものではありません。
ただし、2022年と2023年には太陽光がすぐに利益になると考えられていましたが...
逆風を受けています。
ただし、間違った方向に行ったからではなく、ただ早すぎたから逆風を受けているだけです。
ミンスキー・モーメント(ミンスキーの瞬間)という言葉を聞いたことはありますか?
これは、投資家が保有する、あまり投機的でないポジションさえも、債務支払のために売却する必要に迫られ、マーケットで価格下落スパイラルと深刻な貨幣需要が生じる瞬間をいいます。
これを少し変えると、太陽光発電業界に当てはめることができます。
太陽光が儲かるというので、みんなが(特に多結晶シリコン太陽電池を製造する中国企業が)飛びつき、需要が増える速度よりもはるかに早い速度で供給が増えて価格が暴落し、耐えられなくなった企業が倒産して、再び需要と供給のバランスが正常化したら何がおこるでしょうか?
そうです。こう考えるとやはり、待つことが重要です。
太陽光パネルの価格がとんでもなく安くなった理由は、中国本土で 猫も杓子も太陽光パネルの生産事業に参入し、供給が爆発的に増えたからだといいました。
中国の太陽光パネルメーカーは今、お前が辞めるか、俺が辞めるか、どちらが持ちこたえられるのか?…とチキンレースをしているのですが、2023年3Qからその結果が確実に現れ始めています。儲けが減りはじめているのです。
アメリカの太陽光関連企業も影響を受けていますが、影響を大きく受けた企業をよく見てみると、これらの企業のポジションは太陽光産業のミッドストリーム(Midstream)とダウンストリーム(Downstream)です。 だから原価が暴落した影響を直接受けたのです。 太陽光パネルの価格が安くなったということを消費者は知っているのに、価格を下げないわけにはいきませんからね。
ファーストソーラー(FSLR)が一人で生き残った根本的な理由
FSLRは、あえて皆が行く道ではなく、少し回り道をしたからこそ、事故を回避することができたのです。
ここまで説明したことをまとめると、現在のような太陽光発電産業の一時的な衰退はごく当たり前の現象である一方で、太陽光自体は使わないわけにはいかない技術であるため、激しい価格競争の中で生き残った企業には大きなチャンスが訪れるはずです。 繰り返しますが、太陽光なしではグリーンエネルギーへの転換は実現できません。
「太陽光パネルが安くなった」というのは、「太陽光の需要が減っている」ということではない!
太陽光発電の需要自体は今も増えています。ただ、先ほど説明したように、パネルの価格が一時的に0円に近づくほど下がったので、人件費や設置費が相対的に高くなり、屋根に設置するのではなく、フェンスのように地面に設置するようになっただけです。
『それなら、米国証券取引所に上場している太陽光関連株の中で、できるだけ長く持ちこたえられる企業が一番有利なんですね。』
そうです。実はアメリカの証券市場に上場された太陽光関連株はファーストソーラー(FSLR)、エンフェーズ・エナジー(ENPH)、サンラン(RUN)などなどいろいろあります。 みんな同じ事業をしているのかというと、そうではなく、ある会社は太陽光パネルなどの設置、ある会社はパネル製造というように分野があれこれと多様です。
ただし、実際のところ、こんなに複雑に考える必要はありません。
いずれにせよ、ここでの核心は…
米国証券市場に上場された代表的な太陽光関連株の総売上(Revenue)と営業利益(Operating Income)を見てみましょう。 面白いことがわかります。
下の図表では、左が総売上、右が営業利益です。
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