「自己肯定感」的な人間関係をつくる(エピローグ)
きょうはエピローグ的なはなし。
「自己肯定感」というのは、自分の生き方が楽になるためのガイドとして使っていければいいよね、というまとめ話をこないだしたんだけど、そうした感覚というのは基本的に「他人とのつながり」の中で得られるものである、ということについて、もうちょっと考えたいのですね。
要は、「安心できるつながり」を得るということなんだけど、それはどうしたらいいんだろうねってのを、いま時点での僕の考え方を整理したいなと思います。
自分ににとっての「安心する関係」とはどういうものだろうか。
・攻撃的な態度、強い言葉を使わないこと
・なるべく言葉を使って伝えようとする、対話的な姿勢があること
・ジャッジされないこと
・癒しを感じられること
・関係の継続性が約束されていること
・その関係における失敗が許容され、やりなおしの機会があたえられていること
こんな感じだろうか。
「人間として愛する」という態度にあたるといっても差し支えないものかもしれない。
生きている間にそういう関わり方をいくつも得られたらとても幸せなことだけど、まあ、とても難しいことだよね。
人間関係とは悲しいほどうつろいゆくものだから。
値踏みを排した関わり方を心がけていても、なかなかうまくいかないし、こっちかそうあろうと努めていても、相手が同じような態度で接してくれるとは限らない。
積み重ねては失敗し、ということをあまりに繰り返しすぎて、「賽の河原かよ」ってなるし、さすがに疲れたなあと思うこともけっこうある。
それでも積み重ねてきてよかったな、とおもう出来事のほうが多いし、自分得たい人間関係をもたらす態度をとりつづける、ということしか、現状できることはないから、結局は自分のふるまいの問題になる。
安心を得るためには、まずは安心を与えることが必要で、そういうつながりをつくるのにべきことがある。
お互いにとって役に立つか立たないか、とか、価値があるかないか、というのは変わっていってしまうものだけど、そういうところだけではないつながりをあなたとつくりたいとおもっているよ
わたしの心の中に、あなたの居場所はあるよ
あなたのことを、大切に思っているよ
そういったメッセージを、言葉なり態度なりで伝えていくことが、よき人間関係をつくっていくために必要な態度なのではないか、といまは思っている。
カウンセリングの神様とよばれるロジャーズは「人間関係そのものに癒しがある」と言った。
そういう「関係性の力」を信じているということだ。
それに比べたら、心についての専門知識や資格は全く重要ではないと言っている。本当にその通りだと思う。
(「こころ」に関する知識や資格などの専門性が際立っていくことは、相手との関係性をフェアにしづらくなるのではないか、というのは僕自身も感じている葛藤だ。)
この「関係性による癒し」は、相手の役に立とう、ほめられよう、という接点のみで他人と結びつくことでは得られないものだろう。
でも、自分が「役に立たなくてもいいよ」と言えたとして、逆に「自分が役に立てなくなった時に、この人は自分のそばにいてくれるだろうか」という疑念を拭い去ることはできないだろう。
そういう中で、「この関係を大切にしよう」というコミットメントをもち続けられるとしたら、なんかもうそれは祈りというか、信仰に近いような心持ちなのかもしれないし、「自分はそういう人間であろう」という決意なのかもしれない。
もしくは、「そういう関係性でありましょう」という「約束」をすることはせいぜいできるかもしれないな。
もちろん、そんなコミュニケーションをすべての人を相手にできるわけない。(なんなら、こんな文章を書いているわりに、僕は他人に対する警戒心は強い方だ。)
でも、「あ、この人のサイコロからどんな目が出てきても、自分はたぶん大丈夫だな」と思えるときがあって、そうなるとわりと積極的に心を開けるようになる。(そんなふうに関係性が動いていくときの感じが、とても好きだ。)
そこに到達するまではひたすらに「ていないなコミュニケーション」を積み重ねていくことしかできないだろう。
そこに求められるていねいさは、リアルでも SNSでも、あまり変わらない。
相手のコミュニケーションのていねいさに安心を感じたら、こちらもなるべくていねいに返していく。
無理やり変化を求めたり距離を詰めたりすることなく、おたがいの歩調や空気感を大事にしながら、すこしずつでもほんとうのことが言いあえるように。
つながりのつくりかたについて、いまの時点での自分の考えをまとめたくて書きました。数年後に見てどう変わっているのか、たのしみ。
<おしらせ>
マガジン「月刊・自己肯定感」の更新は、これでおわりになります。
6月末で廃刊になります。過去の記事は、一度有料での講読をしてくださった人はずっと読めるそうです。
今まで本当にありがとうございました。
質問に答えたり、人間関係や生きづらさ、メンタルヘルスのことについて考えていくのはこちらの新しいマガジンでも続けていきたいとおもっています。
よければ、のぞきに来てみてください。
それでは、またね。
いつも読んでくれてありがとうございます。 文章を読んでもらって、サポートをいただけることは本当に嬉しいです。