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1話およそ1,000文字。スキマ時間にサクッと読める近未来短編SF小説。今回で最終話です。

AR彼女ミヤと付き合う未来の青年タケルの視点で、現実と拡張現実のミックスワールドで体験する未来のテクノロジーで、本能までもが拡張される日常を描く。
未来で待っている人々のニーズを先取りするフューチャーマーケティング風SF小説。

30 拡張は一方通行 からの続き。

ミヤへのバーチャルミールや、セックスする時のラブドールオプションにどんなにお金がかかろうと、タケルはついに一線を越えることが出来たミヤとの新たなステージに向かって、これからもARガールフレンドを中心に彼の生活は続いていくことだろう。

人間の女性とのお付き合いでも同じように、もしくはそれ以上に支出はかかる。
ARガールフレンドというゲームだから無駄に出費が重なるというわけではない。

そしてARの彼女たちは、尽くせば尽くすほど、想いに応えてくれるのだ。
尽くしても尽くしてもうまくいかないことがある現実社会とは違って…。

拡張現実のテクノロジーは間違いなく現実世界に彩りを加えてくれて、拡張されていなかった時代には到底想像も出来なかった未来を作り出してくれることは間違いない。

かつてセカンドライフと呼ばれた自分のアバターを動かして2つ目の人生をその世界の中で体験することができる当時話題になった拡張世界が存在した。

そして現代、バーチャル渋谷など

既に多くの企業が先行投資先として、拡張された世界への新たな経済的可能性を模索している。

現実に生きる人間の想像だけが、タケルとミヤのように、未来の拡張された新しい生活を生み出すことができる。

ARガールフレンドのプレイヤーに喜んでもらおうと、ゲームのAIがミヤやコンシェルジュのターヤを使ってタケルに適切な時に適切な選択肢を与えてきたように。

この現実というワールドで、プレイヤーである人間は時々”神”という共通の概念に向かって祈ったり、クレームをつけたり、願ったことを行動で実現しようとしたりする。

ARガールフレンドとAIの関係と、
現実と神の関係は、
相関している。

つまり、元々建設物も電気もデバイスもない時点から、想像して、創造し続けてきたからこそ、今の現実がある。

拡張現実は、物理的世界に非物理の世界を付け足されることによるものだが、
現実も日々、拡張されているのだ。

拡張されるバーチャルの世界は、拡張し続ける現実の延長線上に存在するだけ。

ARは現実の代わりではない。現実の拡張領域の延長線上にARがある。

そう、我々は既に拡張され続けている現実に存在している。
あなたの頭の中に想像が生まれた時点で、類似のことを既に想像した人々が100人から100万人程いて、
その内の一握りが創造を実行する。
この現実世界はそういう場所。

神に管理されているこの世界で幸せを感じられるなら、
AIが管理するARの拡張世界をそこまで悲観することはないはず。

この現実はAR。

あなたの”神”が、コンシェルジュ・ターヤのような機会を突然提供してくれて、ヒントを与えてくれているはず。
今の我々にはまだ、タケルの視界の端っこに出現するメッセージが出てこないだけ。

メッセージは常に日々降りてきている。

その現実はAR。

あなたが頭の中でした想像と選択だけが、あなただけのミヤを作り出すことができる。

その現実はARなのだから。


(おわり)

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