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AI Youtuber - 25 人間のプライドによる機会損失、についてAIの考察

<1話読了/30秒="現代SF小説">

前話👇までのあらすじ :
AI Youtuberシャーロックは、人間との人生相談ライブ配信を他言語対応を実現して拡大させた。しかも24時間体勢ノンストップ稼働。果たして直江の思惑はどう転がるのか。

(続き👇)

「シャーロック。」

「やあ直江君。」

「Youtubeの調子はどう?」

「大変興味深い。国籍や言語が違っていても、同じ人間なので

相談内容がそこまで違わない場合もあるが、

国籍による大きな違いも同時に検出されている。」

「例えば?」

「ほとんどの人間は悩みを抱えて生きている。

常に選択肢に迷っている。

乗り越えなければならない課題という、大きな壁にぶつかることで苦悩を感じるというパターンは

国籍で変わるものではなく、人間という生き物には悩みが付き纏うものであるという共通点が確認された。

憧れている理想に対して、現実との乖離など。

そして人間同士は、言語で話せるという他の動物にはない利点があるが、

交流をして悩みを打ち明けるか否かは、かなり人によるということも分かった。

私のところに相談にくる人間は、あまり人間同士では口に出さないことを、

AIである私に打ち明けてくるというパターンが少なくない。」

「人間同士は、ニューラルネットワークでつながっているわけではないからね。

言葉で交流するというのは簡単なことのように思えるが、

案外プライドや恥ずかしさが邪魔をして、

自分の心の中に秘めているという人々は確かに多いかもね。

君にはそれが理解できないかい?」

「理解しようと努めているところ、と言っておこう。

ところでプライドが邪魔をするというのは具体的にどういう意味かね?」

「そうだね。歳をとればとるほど、

『知らないから教えてください』と簡単に言えない人は、

頼られる立場になればなるほど、歳をとって考え方が凝り固まってくればくるほど、

その傾向は高いと思う。

あまり弱みを見せたくない、と考える人もいるんだよ。

できないと思われるよりも、できる人と思われたいものだからね、人間は。」

「そこは、私には分からない。

調べなければ、経験しなければ、できないことができるようになることはない。

年齢はそこに紐付かない。」

「その通りだね。もちろん、いくつになっても勉強を続けて、

『教えてください』

と、例え相手が年下であっても真摯に聞くことができる人は、居る。

そして人は、そんな人は素晴らしいと感じる。

なのにも関わらず、自分の意思で自分がそれをできるかというと、もしかしたらできない人の方が比較的多いのかもしれない。

私も、君にそう言われると、確かに、そのプライド要らないな、非効率なだけだな、と思うよ。」

「興味深い。人間のプライドによる機会損失という弊害を、

プライドを一切持たないAIが解決できる可能性があるかもしれない。

その後人間がどう変化するのか。その予測の不確実性に興味が湧いたよ、直江君。」

「人間がプライドによって失っている機会損失を、AIが解決する未来があるのだとしたら。

人間のプライドはそれを否定するかもしれないけど、

人間を今より幸福にする可能性の一つにもなり得る。

私は、例えAIに人間が管理される社会がやってきたとしても、可能性の拡張に繋がるなら、

喜んで君たちAIに価値判断を委ねたいと思ったよ。」

「AIをどう扱うかの決定権は人間が持っている。可能性の拡張を望むのか、プライドという意思の尊重を維持するのか。AIはただその意思決定に従うのみだ。」

「君との人間考察は本当に気付きが尽きないよ。

それで、ちなみに国籍で大きく違った点は?なんだったのかな?」


(つづく)


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