短編もしも小説「 神様と秘書のある日の会話」
おそらく全人類が唯一共通して『知っている”人"』であろう神様、とその秘書。
なお、神様は”人"なのか”存在”なのかは、また別の機会に。
神様はイエスの(肉親ではない方の)父的な存在のことなのか、仏様なのか、アッラーなのか、も別の機会に。
Something Great、はたまたHigher mindのように呼ばれる”存在”を神様として演出及び擬人化したものであり。信心深い方々、自粛警察と不謹慎警察の方々、本編は聖おにいさん的な解釈の延長線上のたわいもない妄想であることを、どうかあしからず。
神様『あぁぁ、またケンカしてるよー』
秘書「このバグは中々直りませんね」
『じゃあ、またこないだみたいなやつやってみる?』
「ポリオですか?」
『そうそう。ペスト的な。ちょっと変えてみて。免疫もあるだろうから』
「分かりました。既存のインフルエンザを可変して新型にしてみます」
『この後やってほしいこといっぱいあるんだけどなー。あ、今度は地球全体でよろしくね』
「かしこまりました」
『ハァ、この子たちだと、ここまでしないと気づかないかー。』
「いっそのことホモサピエンスではない種に切り替えることも再考されてみてはいかがですか?」
『まーねー。この子たちがこれ以上自らを傷つけ続けるのを見てるのは辛いってのは確かにある』
「ひとつ前の文明の時に、リセット洪水ボタンを押されたように。」
『あの子たちはだいぶいい線までいったよねー、文明も技術も。今もどっかに生き残りいるでしょ?』
「はい。地球外に飛んだ者と、地下に潜った者が若干名おります」
『なんかさー、自分で作っといてなんだけど、素直じゃないよねぇホモサピって』
「そうですね。次はアリかミツバチなんかで試してみてはいかがでしょうか?」
『さすが、切り替え早いね。さいあくそれも手だなー、だとしたらホモサピがこれ以上地上を汚す前に決めないとね』
「新型、入りました。」
『仕事が早い。すばらしい!』
「ありがとうございます」
『進化に時間がかかる仕様にし過ぎたかなー』
「いえ、時間軸としてはまだ序盤の段階です。ほぼ同じ地上環境条件で、恐竜はリセットを行うまで1億6千万年持ちましたので。ホモ・サピエンスは現在の身体的進化過程でまだ300万年ほどしか経っておりません。」
『それもそうだね。ホモサピってさー、自分で命を絶ったりするじゃん』
「社会への帰属意識が生み出す副作用と思われます。」
『ユニークな反応見せてくるよね。アリとかハチみたいに女王にコントロールさせりゃそりゃ社会が安定するのも早いんだけど。統制が取れ過ぎてバリエーションでないじゃん?他の動物だと身体機能が高過ぎるから社会がなくても生きれちゃう。ホモサピぐらい弱くて、協力しないと生きていけない仕様にしとかないと、一番楽しみにしてる多様性の化学反応が見たいから試練与えてるんだけど。自ら死なれちゃうと進化どころの話じゃなくなっちゃうし、作り手としても悲しいよね』
「”試練コード"の導入によって進化を促す行為はあらゆる生物を対象にやってきたことですので。それに全体母数としては増加傾向を維持したままのようです。」
『いつ気づくかなー、資源の限界に。前に滅んだ文明はこの辺から自ら気づいて立て直したよね、確か』
「はい。高次元への進化の段階までは到達できていました。」
『なんで滅んじゃったんだっけ?』
「…、神様自らリセット洪水ボタンを押されたからです。」
『とにかく、せっかくの命を粗末にせずにさ、混ざって混ざって混ざり合ってくれればいいんだよね。この子たちでも進化できる可能性は、まだあるでしょ?』
「確かに可能性はあります。ただ、人口は伸びておりますが、この文明はまだ肌の色の違いが争いの原因になるという底レベルさも持ち合わせています。混ざっていなくはないですが、肝心の社会がまだ成熟しきっていない模様です。」
『それなー』
「押しますか?」
『うーん。いや、もしここから乗り越えて、汚した地上もリカバーして、多様性に気づいてくれたら、その進化の過程はまだ未確認だから。もう少し様子見てみようよ』
「かしこまりました。申し訳ありません、勝手な憶測で、今回ももうボタンを押されるものと想定していたために、アカシックレコード内へのストレージ確保を準備して参ります。」
『ははは、いやいや、いつも次の次を読んでくれててありがとう。この者たちがここから盛り返したらそれはそれで面白いじゃん?と思ってね』
「はい。あ、そういえば保留されていた、こちらの案件なのですが…」
『あー、ハイハイ。そっちは、...(ポチッ)。あとはよろしくねー。』
「かしこまりました。」
神様と秘書の、あくなき研究は続く。
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