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短編もしも小説「あの鳥人間の正体」 5 恐竜がもし進化していたら

4 ハンコック教授 からの続き。

分かるかねって、その前にxxx万年前を耳だけで聞いてても訳わからん、、と思いはじめたと同時に。
さすが大学教授、しゃべりながらホワイトボードにカンタンな年表図を描きはじめた。
でかしたハンコック。後で映像にCG入れる手間が省ける。

ハンコックは授業さながら、猫背のヒトの絵を描きながら続けた。
「私たち人類の祖先が、二足歩行で大地を踏み締めはじめたのが300万年前。
人類最古の壁画と言われているメキシコのイルカスディージョ壁画が発見されたのが約4万年前。つまり絵を描くぐらいまで進化するまでに約300万年かかったわけだ、我々ホモサピエンスという種は。

一方、1億6000万年もの膨大な年月を生き抜いた恐竜は、隕石の衝突によって絶滅したということになってはいる。しかし、その衝突の前の時点で

もし既に進化していたとしたら?

もしくは、衝突後の地球で生き残った恐竜種が本当にディノサウロイドのように人型に進化して、文明を築いていたとしたら?

可能性はゼロではないはずと私は本気で思っている。
世の中ではもっと飛躍したトンデモ話が真剣に議論されているんだよ。

例えば。シュメール文明のことを記載した残存する唯一の文献である石板を解読したゼカリア・シッチンによると。宇宙人であるアヌンナキ が恐竜のDNAを使って作り出した人型生物をレプティリアン。神話の中ではドラゴニアンと呼ばれていたりする。そんな風に恐竜の行く末を人型化させてしまう論理もあるわけなんだよね。

君たち最近の若者だったら、この手の話を都市伝説や陰謀論と入り混ざった形で耳にしていることだろう。ただ、宇宙人が出てきてしまうと私の専門ではなくなってきてしまうからね。確かにそう想像することは愉快ではある。
一旦宇宙人による操作かどうかは置いておいたとして。私としては、恐竜進化論の方が、まだ生物学的にも進化論的にも、科学的見地が立っていると思っているんだがね。

「おおー!アヌちゃんキターっ」

本当の声か、おべっかなのか分からないナオミの「おおー」は置いといて。
確かに、言えてる。シュンの想像力にもギアが入ってきた。

「それに我々がまだ発見できていないだけという可能性だってまだ十分ある。当時とは地形も海の海抜も全然違うからね。私たち人類は海の中のことを1%もまだ把握できていないと言われている。恐竜の子孫たちによる文明が海の中でひっそりと眠っているかもしれないじゃないか。
有名な与那国島の海底で発見された建造物の階段なんかは、一段一段が我々人間のサイズには合わないほど大きく作られている。あの大きな恐竜が進化した人型生物の身長は、人間よりも大きかったと考える方がむしろ自然だと思わないかい?

まぁ、神話にはネフィリムと呼ばれる巨人族も登場してくるから、あるいは人間が縮んでしまったのかもしれないけどね。はっはっは。」

最初の入り口が、ナオミの"女子女子した"お願いと格好にホイホイとついてきたおじさんというなんとも失礼な色眼鏡だったもんだから尚更。ギャップがすごい。良い意味で。シュンのハンコックの持つ深い知見に対する見方が、この短時間でその印象が大きく様変わりしていた。

段々とこの取材の映像素材のことよりも、話そのものに引き込まれていった。
ここから更に。ハンコックの自説は、想像を超えてきた。

(続く)

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