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短編もしも小説 「鳥の顔をした石像の正体 - 10 神話在る処に鳥人間在り

9 先住民が交信していた相手 からの続き。

「神々の指紋の発行以降、いまや広く知られていることだけれども、、
世界各地の神話には、例え大陸が離れていて各地の文化の色に違いはあれど、ギリシャ、インド、インカ、アボリジニー、ネイティブアメリカン、聖書、そして日本の神話にすらも。驚くべき共通性が見られる。

鳥に関わるものだけでも、例えば。
ネイティブアメリカンの間で伝えられる神話には、カモが海に潜り、くちばしですくい上げた泥から人間が暮らす世界がつくられたという。

アボリジニーの神話では、人間の笑い声のような声で鳴くことからその名がついたワライカワセミがこの世の創生に深く関わっている。

エジプトの太陽神ラーはハヤブサの頭をした鳥人間だし、
その息子ホルスと、日本の八咫烏は、姿が似ているだけでなく、王の案内役としての役割が共通している。

インド神話における仏教の守護神 迦楼羅(かるら)、またはガルーダも、鳥人間の姿をした仏。最もインドの宗教では、動物の頭をした神様がたくさんいる。日本でも人気なガネーシャとかね。

法隆寺にあるブッダの最後を看取る涅槃像の描写を模る石像群の中には、3種類程の動物の顔をした石像が紛れ込んでいる。鳥の頭をした石像がこっそりとね。

こんなことを言うと人の姿をした神を信じている各宗教の人々に怒られてしまうかもしれないけれども、ここだけの話。
天使の姿というのは後の世の人間が、もはや鳥人間がいない世界で布教をするために便宜上デフォルメした創作物で。
聖書では羽根の生えた天使がエイブラハムやモーセに啓示をもたらしたとなっているが、実際は同じく羽根の生えた鳥人間であるトトだった、とか。ワシの頭をした鳥人間が壁画に描かれているエジプト文明や、ネイティブアメリカンのワシを神格視する意味と繋がってくる。いや私が自論が正しいと思うがあまり繋げたいだけなのかもしれないが。」

シュンは、ハンコックがディスプレイに映し出したGoogleの画像検索で出てきている関連画像にある鳥人間と人間が描かれた壁画を眺めながら、

「確かに僕たちは鳥は恐竜の子孫であると言う事はあまりにも当たり前に受け止めていますけど、最近は恐竜にも羽毛があったって説が段々と広まってきてますよね?でもぼくらが小さい頃に図鑑で見た恐竜は完全に爬虫類の姿に近かったです。テレビの恐竜特集で羽毛で描かれるようになってからたかだか数年ですけど、いつの間にか常識になってきています。
こうやってお話を聞いていると、自分たちがどこかで見聞きした常識っていうのは、新しい情報が入った途端に、新たな解釈が新たな常識になっていることを実感してしまいますね。」

「ははは、。真剣に聞いてくれるのはありがたい限りだよ。恐竜の羽毛は化石にその後が見つかったという事実があるからこそなんだけれども。壁画に描かれたと言う事実はあっても、恐竜から進化した鳥人間がこの世に存在していたという説を、その”新たな常識”ってやつにするには、なんとも自分の力不足を感じているがね。このご時世、伝え方を間違うと、それは考古学的考察ではなく、都市伝説の枠組みにすぐに入れられてしまうからね。」

シュンは、文化祭で上映する創作古代文明ドキュメンタリーの中での、この映像扱い方に責任を感じ始めていた。

「(できたら後でちゃんと確認してもらわなければ。変なイメージ付けちゃったら怒られそう。。と思いながら)
最近の若者は都市伝説好きですもんね。なはは(汗笑)」


(続く)


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