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マンガ『約束のネバーランド』で現代社会に向けられたメッセージ -2

約ネバ読んでて思わずメモった、強烈なメタメッセージを感じたセリフを考察します。

前回👇

次にメモったセリフはこちら。

「もったいないよな。これ全部捨てるんだぜ?この程度の不揃い食えるのに。」

鬼が、食べ物である人間のことを指して話している一コマ。

でもこのフレーズ。現代社会でもよくよく言われています。

一定基準の形や色合いになっていないと『訳あり』対象になってしまう

潔癖すぎる野菜や果物の格付け制度。

にんじん、きゅうり、なす等、形が変でも味は同じはず。

でも今のルールではスーパーに並べてもらえません。

農家さん、漁師さんもだと思いますが、1次産業の現場では

その売りものにならない基準のせいで、せっかく育てて、全然食べられるのに、

捨てられている食材が間違いなく存在します。(農家の孫、語る)

食品ロスという意味で少し飛躍して考えてみると。

コンビニ食材の廃棄量問題なんかも、潔癖すぎるルール先行型、

全部食べられないの分かってて大量に作り過ぎ体質が、止まりません。

ムダを防ぐことよりも、お金を稼いで見入りが増えることの方を優先してしまう

人の業と、それを助長するエコシステムは、

見る人が見たらありえない日常なんですが。私たちは止められずにいます。

例えば毎日、明日のご飯の心配をしている途上国の人。

まさかまさかの此処日本で、学校給食でしかご飯を食べさせてもらえない子どもたちもいます。

それって、一時的に寄付して凌ぐとか、そういうことじゃないはず。

いやもちろん、誰か1人が悪いわけじゃないし、誰か1人とか1つの組織を悪者扱いしたいわけでもなく。

みんな必死にストレスと不安を抱えながら働いています。

テレビとかで限られた時間の中で照明を当てているキラキラしたほんの一部の影で、

そういう困っている人々を救える食べ物とか仕組みとか、実は身の回りを見渡せばあるはず!

... そこまで気を遣い切れないほどに、働く大人はがんばっている(頑張りすぎ?)とも言えるんでしょうけど。

約ネバの中には、生まれた時からぶくぶく太らせるためだけに死んだ目をして感情もなく

ただ鬼に喰われるためだけに生かされている食用人間工場も出てきます。

この描写も、人間がお肉を食べるためにやっていることを描いているだけ。

喰われる対象が人間だからおぞましく見えるだけです。

原作者の白井カイウ氏はマンガで、フィクションで、それを描いて

「私たち本当にこれでいいの?」

と痛烈にメッセージを投げかけてきていると見えています。

脊髄反射で「肉くうなってこと?」とかもうそんな馬鹿げた議論をするフェーズはとっくの昔に終わっていて。

若い世代である作者から社会に向けて、世界に向けて、大人に向けて、伝えてます。

フィクションだから、ストーリーだから、受け止めたくなるっていうのもありますよねー。

眉間にしわ寄せて、暗に誰かを批判するかのように「こんなの間違っている!」とか新聞記事とか字面だけで書いてあっても、

人は動けない生き物だから。

なんか自分が怒られている?と思うと、つい反撃しちゃう生き物だから。

そういうのも既に見越しているんじゃないかと思うほど、まっすぐに発信されています。

あとはこれとかも。

「王達からすれば農園より人肉の供給を握れている今、いつどいつにどれだけ肉を与えるかで意図的な格差を作れる。よりこの世界を好きに支配できるだろ。そんな方たちにとって農園を必要としなくなるムジカたちの力は邪魔でしかないだから捉えて殺して独占した。」(15巻)

読んだことのない方向けに軽く説明します。

農園とは、例えて言えばAランク牛を育てる牧場みたいなもんで、

鬼の貴族に献上する食用児の、最も美味な部位であるAランクの脳の成長を育ませる場所。

ムジカは...、えーっとネタバレになっちゃうから説明難しいけど(汗)、

"ある力"を持つ鬼のことを指しています。

その力によって鬼が人間を食べずに済むことが可能になる。

それを現代社会版の社会課題とキーワードに差し替えてみます。

そちらは次回!


(本日はここまで。メモったセリフシリーズ、次回も続けます。)



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