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うしをいのお気に入り記事

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#小説

【短編小説】涙くんと涙ちゃん

「見ててな」 藤野は上目で俺を見ながら、人差し指で自分の目頭を差した。そこから、ツー、と涙が溢れ出す。鼻筋を通って、口元まで垂れてきたところで、涙を手で拭う。 俺は、急に泣き出した友人をまじまじと見る。 「まあ、びっくりするよね。これが俺の特技というか、特殊能力」 藤野はテーブルの紙ナプキンで涙を拭き取っている。 「自在に涙を流せる・・ってこと?」 藤野は頷く。 テレビで見るような、役者さんが役に入り込んで泣くのとはワケが違う。2秒ほどで、蛇口を捻るように藤野は

からやぎ【短編小説】

インスタグラムを開けば、都会に出ていった同級生たちのすてきな日常が、私をボコボコに殴ってくる。打ちのめされて、モヤモヤとした暗雲のような気持ちが心の底に溜まっていくのを感じる。ハァ〜〜〜。煙草の煙と一緒に、思わず特大の溜息をつく。流行りの店、都会にしかない服、化粧品、話題のスポット…。そんなものこの田舎町にはない。何処を探したってひとつも無い。 「幸せが逃げたな」 いつの間に隣に立っていた上司がせせら笑う。彼は胸ポケットからiQOSを取り出して吸い始めた。ひとつひとつの動作

小説 | 友達の彼女の誕生日

今日は友達の彼女の誕生日。 でも今日、一人らしい。 「お祝いしよっか?」というと「うん!」と嬉しそう。 その子の家の近くにオシャレなイタリアンがある。そこを予約し、誕生日用にお花とケーキを用意してもらった。最近はネットで完結する。便利なもんだ。 二人で会うのは初めてかもしれない。 僕たちは「3人」で仲がいい。 なんかちょっと緊張してきた。 待ち合わせに現れた彼女。 「お祝いしてもらおうじゃない」っていたずらっぽく笑う彼女は、僕の知ってる「いつもの」彼女だった。ほっと胸を

小説家になった方法

はじめまして。 溝口智子と申すものです。2016年に小説家デビューしました。 小学3年生のころから物語をつくる人になるという夢を持っていて、数十年後に叶えました。 私が夢のためになにをしてきたのか、書き残しておこうと思います。 ①訓練物語をものするためには、空想しているだけではダメだということは小学生にもわかったので様々な訓練を行いました。 1、読書 2、作文 3、オタ活 1の読書。 これは文章上手になるには必須だということもありますが、ただ単に好きだったので読んでい

【第3回】誰でも「小説家になれる可能性」を持っている。

 気がついたら、前回から随分経っちゃった、、、、  ちょっと自分のお仕事で手いっぱいでございまして。  すみません(てへ)。  さて、前回のTIPS第二回では、小説家になるために必要な能力についてご説明いたしました。おさらいがてら申しますと、小説家になるために必要なのは、「ある程度正しい日本語で、原稿用紙300~400枚程度の話が書ける能力」というものでしたね。おい、なめとんのかワレ、とお思いの方に、いやこれが難しいんですよ実際、というお話をさせていただきました。「正しい日