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チャイルドシート(『子どもとの暮らし』令和6年7月号)

こんにちは。

つい先日の8月19日、お盆開けてすぐの日、福岡市早良区にて軽自動車とバスとが正面衝突し、5歳・7歳の子どもが亡くなるという事故がありました…

この現場、実は私の家から近いところなんです。生活圏内とでもいいましょうか。

だからという訳ではないんですが、何と言うか、やるせないというか、ただただ悲しさが募っております。

交通事故に関するコラムの話題として、前々からいつかはチャイルドシートに関するものを取り上げたいとは思っておりましたが、なかなか今まで筆が進んでおりませんでした。

ただ今回の事故を受けて、こういう時にこそ!と思い、臨時号コラムを書きました。

不幸な事故が少しでも減ることを願い、また、万一事故に遭ったとしても被害が少しでも小さくなる事を願っています。

***** テキストver.です!*****

『子どもとの暮らし』令和6年8月臨時号
装着しよう、チャイルドシート!


〇チャイルドシート、装着してますか?

 つい先日、私が住んでいる所の近くで、バスと軽自動車の正面衝突事故が
ありました。そして残念ながら、軽自動車に乗っていた7歳と5歳の子どもが亡くなっています・・・ご冥福をお祈りいたします。

 報道によれば、この子たちの座席には、いわゆるチャイルドシート(類)の装着は無かったようです。もちろん、あれば必ず助かる・・・という訳ではありませんが、その確率を飛躍的に上げてくれる装備であることも確かです。

 今回はそのチャイルドシート(類)の事についてまとめてみたいと思います。そして、一人でも多くの人が「ウチもちゃんとしなきゃ!」と思ってくれることを期待し、今回の臨時号を書いています!(><)

~ いろいろ呼ばれる「チャイルドシート」 ~

 まず最初に、少し堅苦しい方面の話からスタートしていきたと思います。

 私たちはよく「チャイルドシート」という名称を口にしますが、これは法律上での名称ではありません。法律上では「幼児用補助装置」という名前で、幼児(6歳未満)の子どもを乗車させる際には、これを使わなければなりません。

 では、法律上の「幼児用補助装置」と「チャイルドシート」が同じなのかと言うと…ここには少しズレがあります。なぜかというと、お店で見かける際には「ベビーシート」「チャイルドシート」「ジュニアシート」という名称がの方が一般的だからです。

 またややこしいことに、用語の使いかたも、店舗やメーカーによっても多少異なったりもします。さらにはそれらの対象年齢を見ると、法律上の使用義務期間をはるかに超えるものもあったりして、とてもややこしいのです(><)

 下に、これらの対応関係を示した資料を掲載しますので、まずはこれらがどういった性質のものなのかを、大まかに理解してみましょう。

~ 6歳以上でも、装着したほうがイイ! ~

 上の資料を見ると、法律上の使用義務期間は6歳未満であるにも関わらず、それ以上の年齢の子どもを対象とした商品もあるのはなぜでしょう?

 これは、通常の車のシートベルトは、140cm~150cm以上の体格を前提に設計されていることが大きく影響しています。言い換えれば、それ未満の体格の人については、考慮されていないのです。

 6歳以上であっても、身長が140cm未満である子どもは沢山います。あくまで平均ベースで考えた場合ですが、この身長を超えるのはおおよそ10歳~11歳頃になるので、法律上の使用義務期間と、子どもがこの体格になるまでの期間には、さらに4年~5年程度の開きがあります。ここが落とし穴なのです。

 シートベルトが衝撃を吸収するためには、ベルトがしっかりと鎖骨や胸郭、骨盤にかかり、体の中でも丈夫な部分で衝撃を受けとめることが必要になります。

 これが、体格が未熟な子どもに適切な補助具を使用しない場合だと、肩ベルトは鎖骨から首にずれ、また腰ベルトは骨盤から腹部(内臓)にずれてしまい、体の弱い部分に衝撃がかかってしまい、非常に危険です。せっかくシートベルトをしていたにも関わらず、このようなことになると頸椎や内臓に大きなダメージ加わってしまうので、被害が大きくなってしまいます。

 このようなことから、たとえ法律上での使用義務期間(6歳未満)を過ぎたとしても、安全上の観点からすれば、体格が140cm以上になる頃(おおよそ10歳~11歳以上)までは、幼児用補助装置(この年齢では、いわゆるジュニアシート)を装着することが、強く推奨されるのです。

(※なお、国内の現状では140cm以上と言われることが多いですが、国際的には150cm以上とする基準がスタンダードになりつつあります。)

 このような安全性の検証は様々な機関で行われていますが、比較的分かりやすい実験がJAF にて行われていますので、下にご紹介します。

(※この実験では、不適切な姿勢(背もたれを少し寝かせた状態)で乗車
していた場合にどうなるか、ということも検証されています。併せてご覧く
ださい。)

~ 「正しく装着」がミソ! ~

 みなさんに理解していただきたいのは、チャイルドシート(類)はそもそも論として、車に対して正しく装着がなされて、そこで初めて効果を発揮するものであるということです。

 まず装着位置です。法律上の規制はないのですが、安全上の観点から原則
的に助手席はNG で、後部座席がマストです。なぜかというと、現行の車のほとんどは、前部席にエアバッグが装備されているからです。

 特に乳児用の後ろ向きベビーシートでは、構造上ダッシュボードにかなり近くなります。そこまで大きな事故でなくとも、エアバッグは、開いてしまうことがあり、そういった際におもいっきり吹き飛ばされてしまう事例もあるため、危険です!

 また、単純にガラス片や飛来物が当たりにくい点からも、後部座席が推奨されます。

(※メーカーによっては、確かに助手席OK ものも一部存在はします。ただその場合だとエアバッグ機能をOFF に指定されるものがほとんどなので、現実的にはNG だと思っておいてください。)

 次に装着方法です。現行のチャイルドシート(類)は、①ISO-FIX 固定か、②シートベルト固定かのどちらかです。①の場合では比較的誰でも強力に固定することができますが、やや値段が高めなこともあり、②の人気も未だ根強いです。

 ②の場合に注意してほしいのが、装着者がきちんとシートベルトのたわみを取りながら固定できるかどうかで安全性が大きく変わるということです。慣れるまでは結構難しい作業なので、②を使用する場合は特に、周りの大人は装着方法をきちんと理解し、作業できるようになっておきましょう。

 最近では、大手のメーカーであれば、車への装着方法の動画を提供していることがほとんどなので、不安がある方は確認のために視聴されることをお勧めします。

 装着位置と装着方法、この2つはよくよく注意しておいてくださいね!

~ どのぐらい安全になるの? ~

 チャイルドシート(類)の装着によって、どの程度安全になるのでしょうか。

 適切に装着していた場合と、不使用の場合の致死率を比較すると、調査
対象期間や年度で差はあるものの、数倍程度の開きが見られます。警察庁発
表の令和元年~令和5年度のデータの合計で計算した場合だと、約4.2 倍の
開きが見られます。

 また興味深いのは、上記と同じ期間の集計データでは、チャイルドシート(類)を載せていたにも関わらず、固定方法(シートの座席への固定に加え、子どもへのベルト固定も含む)が適切でなかった場合の致死率が、適切に装着していた場合にくらべ、10倍以上開きが出ているという事です。

 これは、事故後にチャイルドシート(類)自体の固定が外れていたり、事故後、シート外に子どもが飛び出してしまったケースが該当します。子どもがシートを嫌がって、固定せずに事故に遭うケースもこの中です。せっかく設置したシートも、適切に使用できていなければ、まったくもって役に立たないということです。

 この統計は性質上、分母も分子もそこまで大きい数ではないという事もあって、集計年度ごとにかなり差が出るデータではあるものの、チャイルドシート(類)を適切に利用しさえすればマイナスに働くことはありません。間違いなく子どもの安全性は向上します。

~ 大人がちゃんとする、それが一番! ~

 そして最後になりますが、一番肝心なのは、そもそも大人が事故を起こさない事です。スマホを扱わない、よそ見しない、眠い時は早めに休む、こういった基本をきちんと守ることに尽きます。そもそも、大人が事故を起こさなければいいわけですから…(><)

 自動車同士の事故の場合、子どもにはなんの責任もありません。大人の責任に他なりません。不幸な事故を減らすために大人ができる事はなんなのか、今一度考える必要があるのではないでしょうか?

 ご覧いただきありがとうございました!

文: 防災士/保育士/応急手当普及員
牛尾崇彦

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***** 『子どもとの暮らし』 おわり *****

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