【牛島薫子のそんな資格取ってドーするの番外編②「2年間で9つの国家資格を取得した勉強法」】
丙種危険物取扱者というごくごく平易な国家資格から、大学院修了相当の公認心理師まで、この2年間で9つの国家資格を取得しました(比較的難易度が低い資格ばかりですが)。
しかし「全ての試験を全て一発で通している」のと「ひとつの資格試験の勉強期間は約2カ月くらい」ということを鑑みれば、それなりに資格試験の勉強法というものを語ってもいいんじゃないか。偉そうかな。どうかな。やっぱり偉そうかも。でもなー、ちょっと語りたいしな。
という訳で「2年間で9つの国家資格を取得した勉強法」について今回はお話しさせていただきたいと思います。
僕が資格取得を半ば人生の趣味とし始めたのは2年前、32歳の頃です。なぜ資格取得をはじめたのかはこのドーするのシリーズ①を読んでいただければわかるのですが、なぜ資格取得を続けているのかと言うと、それは僕の持病にも関わってきます。
僕は何度も公表していますが躁うつ病という精神疾患を患っており、現在は医師から働くことを許されていません。妻が家計を支えています。しかし、僕は僕自身の経験から「誰だって心の健康を害する日が来る可能性がある」と信じていますから、もし妻が倒れた場合に僕が働くことができなければならない、と思っています。
その時に、無職の期間を無視できて就職にこぎつけるなら「まぁ資格を持っといた方がいいだろうな」ということで資格取得を半ば趣味、半ば人生の保険として取得を続けています。
すでに現在持っている資格ですぐに就職することはできるのですが、まだ医師から就労は許されていないので、せっかくならこのままステップアップして難関資格を取得していこうと思っています(文系のゴールは社労士、理系のゴールは電験三種と決めています)。
前置きが長くなりましたが、モチベーション自体が「趣味と人生の保険」なので、会社から強制されて取得する訳でもなく、働きながら取得するのはツレーなーという訳でもないので、一般の会社員さんに比べればその点は僕がかなり有利なのはよくわかっています。しかし何度も言うように僕は精神疾患を抱えていますので、一般の健康な人ほど勉強に時間を割けません(正しい表現を用いれば、もちろん長時間勉強することは物理的に可能ですが、その後に精魂尽き果てて2,3日間はずっと寝込む羽目(比喩ではなく)になります)。
そうなると「効率的な勉強法」というのが必須になってきます。
いかに自分の能力の範囲で勉強できるか、ということころが鍵となり、ここを常に追求して勉強してきたので少しくらいは偉そうに語ってもいいとお許しをいただきたいと思います。
それではお許ししていただいた方より順次、次章に進んでください。
効率的な勉強法
1.ステップアップをバカにしない
これは勉強法というよりは勉強の心構えになります。
たとえば不動産鑑定士という資格があります。年収が軽く1000万円を超え、独立することもできるスーパー士業のひとつです。これを取得しようと思って書店で参考書などに目を通すと何を書いているかさっぱりわかりません。99%の人は第一章の第一項を理解できずに諦めることになります。
当たり前です。それは英語を勉強しようとするのに英和辞典を一冊覚えようとするとか、中学理科を勉強し直そうとしてマクマリー有機化学を買うようなものです。頭のよろしい人はそれで通じることもあるかも知れませんが、自分を過大評価してはなりません。あなたのしたいことはなんですか。資格を取得することです。決して「俺はこんなに難しいことを勉強しているんだ」と自慢する、あるいは自己満足することではありません。
不動産鑑定士がなぜ難しいかと言うと、専門用語がたくさん出るのはもちろんですが、普段は全く目にしない・身近ではない法律や理論を覚えなくてはならないからです。「イチから」勉強しなくてはならないからです。英語や理科は最低限は義務教育で習っているので、多少はとっかかりがあります。しかし急に民法だの不動産法だの頭に入ってくるはずがありません。
だからこの資格に近い、そして難易度が平易な資格からステップアップしてこの資格に到達するのです。
たとえばFP(ファイナンシャルプランニング技能士)の3級は誇張抜きで1週間がんばればたいていは合格してしまう難易度です(問題自体が簡単なのではなく2択か3択しかない問題構成が簡単だからです)。しかしFP3級の中には民法や不動産関連の領域があります。試験の合否は別として、この資格を勉強することにより、いきなり不動産鑑定士の参考書で法律を学ぶよりもはるかに平易で簡潔にそれらの基礎を学ぶことができます。
FP3級を終えたら2級があります。1級もあります。そして他に宅地建物取引士などの難関資格もあります。こうしてステップアップして資格を取得していけば、いきなり参考書とにらめっこするよりスムーズに勉強と向き合うことができます。
「働きながら一発で難関資格を取得した」という人はもちろんいます。そしてそういう人は最初からその難しい勉強について行けます。
某資格予備校で「最短で司法試験に一発合格!」なんて紹介されていたりしますが、よくよく合格した人を確認すると東大・京大の学生さんだったり、難関大学を卒業して超大企業の法務部に勤めている方だったり、すでに「完成された人たち」ばかりです。ご自分が天才である自覚があるなら別ですが、ステップアップはバカにしないで最終目標を組み立ててみてはいかがでしょうか。
2.テキストは書店に行って買え
これも勉強法というよりは心構えになりますが、資格試験の勉強に使うテキストはよほどのことがないかぎり書店に行って買った方がいいです。要するに中身をキチンと見て自分に合ったものを買うべきだという話です。
たとえば僕が危険物取扱者の勉強をはじめようと思ったころ、某Amazonでテキストを調べたら購買数もレビュー数も星も多い書籍がおすすめされてきました。これでいいんじゃないかとポチる寸前で、たまたま書店の近くに用事があったので買う前に確認しにいくと「いやこれわかりにくいやんけ」となりました。それはそのテキストが悪いというより、僕自身に合わなかったという話です。
少し心理学の話になりますが、なにかを理解しようとするとき、視覚理解が優位な人と文章理解が優位な人に分かれます。視覚理解が優位な人は図やイラストで理解するのが得意です。反対に文章理解が優位な人はそのまま文章で理解する方が得意です。
僕は完全に文章理解の人間で、映像を見るより自分で本を読んだ方が理解しやすい傾向にあります。だからよく資格テキストには「図やイラストをふんだんに用いているのでわかりやすい!」などの謳い文句がされているものを見かけますが、僕からしたら「そのページ分を全て文章で説明してくれ」と思います。もちろん図やイラストがなければ理解できないものはありますが、文章で説明できるものは文章で説明してもらった方がわかりやすいのです。
人それぞれなので、どのテキストが優秀かどうかは別で、どのテキストが自分に合うのかというのをよくよく理解しなければなりません。
その意味で、書店に行ってちゃんと中身を確認してからテキストを買った方がいいのです。
また「マンガでわかる系」は僕が文章優位人間に関わらず基本的におすすめしません。「単純にその資格に興味があるだけ」というなら話は別ですが、それらは資格を取得しようと思って勉強するテキストではありません。マンガでわかる系のテキストは3行で済む簡単な説明や写真一枚で済む説明を数ページまるまる使って特におもしろくないストーリーと共に無駄に冗長的に説明することが多いです。ページ数をマンガで割く分、重要な説明や細かな知識が全体的に不足しています。そこは視覚が優位とか文章が優位とか関係なく、普通に苦痛です。流し読みして体系的にサクッと表層を理解したい場合に限り有効だと思いますが、本腰入れて勉強するものじゃないです。
また「参考書と問題集はできるだけセットのもの」が理想です。社労士とか司法書士とか、知識が膨大過ぎて参考書と問題集が別冊になっているようなものは除きますが「知識を即解答」あるいは「解答して即知識」を両立できるようなテキストが望ましいです。まれに参考書をだけ読んでそのまま理解を深めて合格しちゃうような人もいますが、だいたいの人間は知識を定着させるのに問題を解いたり、資格試験の実践的な問題を訓練しなければ覚えきれません。資格マニアの中には「なにより先に過去問題を一通り解いてからわからない所を参考書で確認する」という人もいます。どんな問題がでるか、つまり「なにを聞かれるか(答えさせられるか)」というのを先に知ってから知識を吸収する方が効率が良いのです。
一方で「全く知識がない状態で問題を解くのは苦痛」と感じる人もいます。僕も若干そっちです。そこは人それぞれなので、どちらにせよ(できれば章立てが細かくてすぐに即解答即知識ができる)参考書と問題集がセットになったテキストが理想です。
3.満点をねらえ
よく資格試験のテキストや資格予備校などで「この試験は6割取れたら合格するのでその分の最低限の知識を最短で効率よく学べ」などと言うことがありますが、ナンセンス過ぎて話になりません。
仮に6割得点できる最低限の知識を最短で習得したとしても、合格点は6割なので「ひとつもミスできない」のです。人間はミスをする生き物です。そのミスも考慮しておかなければあと一問とか二問で不合格になってしまいます。資格試験は満点をねらうつもりで勉強するくらいでちょうどいいです。それでも満点を取れるのはごくごく珍しいです。僕もこれまでの試験で満点だったのは危険物取扱者乙種4類と丙種だけです。甲種は試験終了後に「確実に満点やろ」と思っていましたが二問くらい間違っていたみたいです。確実に満点だと思っていても、ミスなんか普通にあるのです。合格できる最低ギリギリの知識しかないなんてただのギャンブルです。「ギリギリに懸ける!」というなら止めませんが、受験料やこれまで勉強してきた時間を無駄にする可能性が強いなら、いったん受験を置いて次の試験に臨むのは決して悪いことではありません。
4.勉強時間に惑わされるな
特に国家資格では合格時間の指標があります。たとえば先ほどから例に挙げている危険物取扱者で一番の人気を誇る乙種4類なら70時間ほど勉強するとだいたいの人が合格するよ、という指標です。
絶対にこれに惑わされてはいけません。
YouTubeなんかで「乙4一週間で合格したったwww」みたいな動画がよくあるんですが「へー、すごいですねー」以外になんの感想を持てば良いんでしょうか。すごいことです。すごいと思いますよ。乙4はそれなりに勉強しなかったら普通に落ちる試験なので、一週間の勉強だけで合格したならそりゃすごいと思いますよ。
しかしその投稿者と同じ勉強をして自分が合格できるかは別の話です。
人によって条件がまるで違います。働きながら取得を目指す人、学生で取得する人、時間に余裕がある人、一週間で取得できなかったら動画を投稿できない人、それぞれの理由や環境や能力が様々にあるんです。合格時間はただの指標です。それ以内に取得できたから頭がいいとか、それを超えたから効率の悪い勉強をしているとか、まるで関係ないです。仮にそうだったとしても最終的には合格か不合格かです。そんなことはどうでもいいです。
もし合格時間を参考にするなら「このくらいの勉強時間なら確実に不合格だな」という指標にするべきです。社労士の合格時間は1000時間と言われています。3か月程度の勉強で取得するというのは無謀だとわかります。だから「今年の受験はやめて来年受けよう」とか、それくらいの指標にとどめるべきです。決して「1000時間以上勉強したら確実に合格できる」というような指標にしてはいけません。
5.効率的な勉強法
それではこれまで勉強の気構えや事前準備の話を進めてきましたが、話の中核となる効率的な勉強法についてお話ししたいと思います。
一言で言えます。
「効率的な勉強法は勉強する内に自分で編み出せ」
以上です。
以下、補足説明。
効率的な勉強法というのは半分は幻想です。それは人によって何が効率的なのかが違うからです。一度にたくさん覚えることが効率的なのか、短時間で暗記できることが効率的なのか、暗記ではなく考え方そのものを習得することが効率的なのか、最終的に資格試験は「合格か不合格」なので、合格できたならそれは全て効率的な勉強をしていたと言っていいと思います。
多少ありますよ。参考書だけ読んで勉強した気になるなとか、過去問は必ず解いた方がいいとか、テキストは複数買うより1冊を3周しろとか。でもそんなもんみんな知ってますやん。
知ってるけどやらないのはただの怠惰っていう話です。どんなに効率的な勉強法を考案しても実践しなかったらまるで意味がないです。だから勉強しながら自分に合った勉強法を編み出せばよろしいのです。
僕の話をすると、僕は選択問題だと解答の番号だけ完全に覚えてしまうので周回するメリットが薄く(内容を理解しきれていないのに問題を見ただけで答えがわかってしまうので)問題集を複数買ってできるだけたくさんの種類の問題に触れます。でもこれは僕の話であって別に頭がいいとか悪いとか関係なく、そういうもんなのでそういうもんです。これが自分には合っていると思う効率的な勉強法なので、他人には「問題集は1冊を3周しろ!」と言いますが、自分では複数の問題集を1周ずつやっていきます。
この勉強法は自分なりに編み出したものなので、他人に真似した方がいいとも言えませんし、おすすめもしません。ごく普通に1冊を3周した方がいいと思います。しかし色々な人がいます。僕みたいな人間もいれば、そうでない人もいます。それは勉強をやっている内にわかってくるものです。
逆に言いますが「勉強しないなら効率的な勉強法なんてわからん」というのが真だと思います。テキスト選びの話で即解答即知識のテキストが良いという話をさせてもらって、これは普遍だと僕は思っているんですが、勉強している内にそれすら自分には合わないと思う人だっているでしょう。酷評しましたがマンガでわかる系のテキストが最も効率的な勉強法になる人だっているかも知れません。それは限りなく少ないと思ったので、テキスト選びの話では僕の最適解をお話ししましたが、とにかく自分で勉強して自分に合った効率的な勉強法を身につけなければ「それが自分にとって効率的かどうか」の話にはならないんです。
見たこと聞いたこと全て丸暗記できる能力を持っているなら、とにかくたくさんの種類の問題に触れまくって全て暗記するのが効率的な勉強法になるでしょう。暗記より論理立てて考える能力に長けているなら問題数にこだわるより問題の質にこだわる方が時間と記憶容量に余裕がある効率的な勉強法です。
全ての人に必ず普遍の効率的な勉強法なんてありません。
あるのはただひとつ。
「効率的な勉強法は自分で確立するしかない」ということです。
その意味で、僕はなによりも先ず「とにかくやってみろ」ということをおすすめします。ステップアップをバカにしてはいけませんが、とにかく難関資格を取りたいんだ!という気概があるなら、つまり挫けない自信があるなら難しい参考書をイチから読み進めて行くのだって良いのです。とにかくやってみなくては話になりません。「効率ガー」ばかり言っていたらいつまでたっても勉強なんかできません。効率を言い訳にしてやらない理由を探し始めたらお終いです。
まず、やれ。
話はそれからです。
6.おまけ
今後も資格について色々とお話しして行こうと思いますが「おい牛島、とにかくすぐに働ける資格を教えろや!」という方向けのために少しおまけを付け加えたいと思います。
すぐに働けて手取り25万円くらいもらえる即取得できてそんなに難しくない資格と言うのは実は存在します。その代わりダブルライセンスである必要があります。
①「甲種危険物取扱者」+「第一種衛生管理者」
このふたつはほぼ毎月試験を実施しているため、勉強するタイミングや時間に関係なく取得が狙えます。甲種危険物取扱者は(受験資格がない限り)乙種の資格を4つ以上取得する必要があるので少し時間がかかりますが、やろうと思えば1年以内に取得することができます。
第一種衛生管理者は、勉強の内容は幅が広くて結構難しいんですけど、試験自体は過去問から8割くらい出るので、合格率ほど難易度は高くありません。過去問を何週もしていたら軽く9割ねらえます。(合格率が試験の難易度に比べて低いのはおそらく会社から強制されて受験させられる層が一定数いるから)。
このふたつを持っていると大きな工場や製造所で管理者として働くことができます。結構、求人があります。大きなくくりとしては肉体労働なんですが、下手にキツい営業とかやるよりもしかしたら体は楽かも知れませんね。決して給料が良いとは言いませんが、即働けます。
②「第二種電気工事士」+「消防設備士(甲種1・4類)(乙種6類)」
電気工事士単体でも食える資格なんですが、消防設備士を持っているとより安定した働き方ができます。
電気工事士はペーパーテストの他に実技試験があって、実際に配線や回路を作る試験ということと、工具を自前で揃えなきゃならないということで少しハードルが高いんですが、決して難関の資格ではありません。年に2回試験を実施しているので、上期はペーパーテストだけ受験して下期に実技を受けることもできます。知名度がそれほど高くなく、また肉体労働系なので忌避する人が結構いるんですが、この資格取ってうまいことやれば年収1000万円も夢じゃないです。(両津勘吉みたいな働き方をしなくちゃ無理ですけどね)。
消防設備士は毎月試験を実施していることと、それほど難易度が高くないので取得しやすいです。知名度が低く軽視されがちなんですが、めちゃくちゃ安定した職域です。消防設備士はその名の通り消防設備に関する資格なんですけど、消防設備は需要が絶対になくならないし、産業革命でも起こらない限り他にできない仕事なんですよ。だから消防設備会社は基本的にホワイトだし、小さな会社に見えても福利厚生や待遇がめちゃくちゃいいところが多いです。
どちらか単体でも悪くないんですが、両方を持っている方が求人先が多いのと、より安定した仕事を得られやすいのでこのダブルライセンスは超絶オススメします。
以降、ほんのちょっとした生きるヒントなんですが、地味だけど食える資格って「圧倒的に理系の方が多い」んですよね。しかも大学卒業レベルの難しさじゃなくて、工業高校とか高専レベルの知識でなんとかなるんです。
だから無理して奨学金を借りて中途半端な大学に行って就活に失敗するより、工業高校や高専、専門学校でいっぱい勉強して資格を取って働いた方がよっぽど年収や暮らしの質が良かったりします。あと職場の人間関係(環境)は職場によってそれぞれでしょうけれど、心の病気になりやすいのはオフィスワーク系の方が多いです。
肉体労働がバカにされがちな世の中ですが、特に衛生管理者の勉強をしていると「肉体労働は普通に人が死ぬ可能性があるので、めちゃくちゃ労働というものに気を付けている」ことがわかります。だから肉体労働の現場は(職場によるのはよくよくわかりますが)人間という部品を大切に扱います。ブラックなオフィスワークは人間を部品どころか消耗品としか思っていないからねぇ。
肉体労働はもしかすると、オフィスワークより安全かも知れません。
長々と語ってきましたが、資格を取るためにはまずやってみては?
以下、もし危険物取扱者を取得するならこのテキストがおすすめだよリンク。
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