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Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

2021 Winter & Christmas Selection
(12月1日~12月25日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」

詳しい放送内容はこちら
D-03 usen for Cafe Apres-midi
http://music.usen.com/channel/d03/



橋本徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー) Toru Hashimoto

一年で最も心暖まりたくなる季節、そんな心象風景を素敵な音楽で彩ることができたらと、今回もメロウ&グルーヴィーで心地よい楽曲を中心に、計34時間分を新たに選曲しました。
月〜日を通してのTwilight-timeの特集は、遂に12/24(クリスマス・イヴ!)にリリースされる、今年20周年を迎えた「usen for Cafe Apres-midi」アニヴァーサリー・コンピ『music with a view ~ so reminding me』の収録曲や惜しくも収録されなかった曲を主役とした、チャンネルの集大成セレクションにクリスマス・ソングをまじえた「音楽のある風景〜ウィンター&クリスマス」。
20周年コンピCDは、セレクター17名の選曲が最高なのはもちろんですが(ライナー・ブックレットにはそれぞれがセレクトに際しての思いを綴ったエッセイを寄せています)、アートワークやパッケージ・デザインにもアイディアを凝らしていますので、楽しみにしていてください。表面は写真が美しく映える鏡面コート、裏面は上質紙(マット)でクラフト感のある感じの少し厚めの用紙で、ジュエルケースを包むようにセットして、最後に金色の伸縮性のある紐とファッション性の高いタグ(そう、帯やステッカーではなく、タグを使った特殊仕様にもかかわらず、価格を据え置いてくれたレコード会社に感謝!)をつけて仕上げています。自分自身、クリスマスにプレゼントしまくりたくなるような作品になったことが、何より嬉しいですね。
その他の時間帯はいつものように、引き続き豊作だった10〜11月のニュー・アライヴァルをたっぷりとフィーチャーして構成しています。今期のNo.1アルバムは、南アフリカのTRESOR『Motion』とMsaki『Platinumb Heart Beating』が素晴らしすぎて双璧、と思っていましたが、タイプこそ違うものの“ミスター・クワイエット・コーナー”Scott Orrの『Oh Man』もかなり愛聴しました(チャンネル20周年コンピにも名曲「Know U」を収録!)。僕の最新コンピ『Free Soul Nomak ~ Twilight Mellow Rendezvous』も含め、セレクションで大活躍してくれた36作のジャケットを掲載しておきますが、11/17放送「dublab.jp suburbia radio」の特集「アンビエント・ジャズ&アンビエント・フォークロア」でも大推薦したTeeth Agency〜Dan Nicholls〜Bremer/McCoyなどは、特にお聴き逃しありませんように。
今シーズン出たクリスマス・アルバムでは、やはりホセ・ジェイムスとノラ・ジョーンズを重宝しましたが、個人的にはロビン・シックの新曲「Perfect Holiday」を、コロナ禍をしばし忘れさせてくれるNo.1クリスマス・ソングとして推したいと思います。

「usen for Cafe Apres-midi」20周年記念コンピ
『音楽のある風景~ソー・リマインディング・ミー』
(『music with a view ~ so reminding me』)
12月24日リリース!

1. Roos Jonker & Dean Tippet「Lorelei」
2. Emma Noble「Woman Of The World」
3. Natalie Prass「Never Too Late」
4. Agata Pisko & Werner Radzik「So Reminding Me」
5. Antonio Loureiro「Saudade」
6. Naive Super「Pacific Sketches」
7. Booboo'zzz All Stars feat. Celia Kameni「Unstoppable」
8. Sulu And Excelsior「Misery Luv」
9. Remy Le Boeuf「Strata」
10. Kiefer「What A Day」
11. Night Beds「Love Streams」
12. David F. Walker「Lay It On Me」
13. Rosie Frater-Taylor「Be So Kind」
14. Bruno Pernadas「L.A.」
15. Holy Hive feat. Mary Lattimore「Oh I Miss Her So」
16. haruka nakamura「Reflection Eternal」
17. Scott Orr「Know U」

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V.A.『music with a view ~ so reminding me』
Nomak『Free Soul Nomak ~ Twilight Mellow Rendezvous』
TRESOR『Motion』
Msaki『Platinumb Heart Beating』
Scott Orr『Oh Man』
Teeth Agency『Cherry Blossom Child』
Dan Nicholls『Mattering And Meaning』
Bremer/McCoy『Natten (The Night)』
The Vernon Spring『On The 21st Of May』
Rosie Lowe & Duval Timothy『Son』
Omar Sosa & Seckou Keita『Suba』
Adam Bałdych『Poetry』
John Roseboro『Human Nature』
Le Ren『Leftovers』
Grouper『Shade』
Adeline Hotel『The Cherries Are Speaking』
Santilli『Tidal』
José James『Merry Christmas From José James』
Norah Jones『I Dream Of Christmas』
Anna Greta『Nightjar In The Northern Sky』
Makaya McCraven『Deciphering The Message』
Rejoicer『Voodoo At Home』
Sam Wilkes『One Theme & Subsequent Improvisation』
Helado Negro『Far In』
Dina Ögon『Dina Ögon』
Asa Tone『Live At New Forms』
808vic『Lived To Love』
Funky DL『Beautiful Soul』
Aimee Mann『Queens Of The Summer Hotel』
MUNYA『Voyage To Mars』
Jordana & TV Girl『Summer's Over』
Wet『Letter Blue』
Jennifer Souza『Pacifica Pedra Branca』
Catbug『Slapen Onder Een Hunebed』
The Cavemen.『Love And Highlife』
Malcolm Jiyane Tree-O『Umdali』

Dinner-time 土曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~10:00
Brunch-time 月曜日10:00~12:00
Brunch-time 火曜日10:00~12:00
Brunch-time 水曜日10:00~12:00
Brunch-time 木曜日10:00~12:00
特集 月曜日16:00~18:00
特集 火曜日16:00~18:00
特集 水曜日16:00~18:00
特集 木曜日16:00~18:00
特集 金曜日16:00~18:00
特集 土曜日16:00~18:00
特集 日曜日16:00~18:00



本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) Yoshiaki Honda

去年のクリスマス・セレクションで吉本宏さんが紹介していたThe Cosmotonesのクリスマス・アルバム。シアトルのソウル・バンドということくらいしか情報がないのですが、このアルバムは全曲ソウル・マナーな演奏ながら、1曲ごとに違うヴォーカリストがフィーチャーされていて、それが表情豊かで楽しい。自分はBrown Sugaという人が歌う1曲目「It's Beginning To Look A Lot Like Christmas」と、Brandon Ghorleyという人が歌う「Jingle Bells」が今のところ特に好みです。

2021_xmas_本多

The Cosmotones 『Merry Christmas』

Lunch-time~Tea-time 木曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 金曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 土曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 日曜日12:00~16:00



中村智昭 Tomoaki Nakamura

A面の1曲目「Christmas Calling (Jolly Jones)」に針を落とした瞬間に、僕はもう一度彼女に恋をしました。活動初期の名盤たちの冒頭を飾った「Don't Know Why」や「Sunrise」同様の凜とした輝きがここにはあります。昨年のチリー・ゴンザレス『A Very Chilly Christmas』 に続き、新型コロナウイルス禍の困難な時勢にあるクリスマス・シーズンに届けられた、この上ない素晴らしい作品です。

2021_xmas_中村

Norah Jones『I Dream Of Christmas』

Dinner-time 月曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00



添田和幸 Kazuyuki Soeta

José JamesやNorah Jonesをはじめ今年も届けられた素敵なクリスマス・アルバム。去年の締め切りに間に合わなかった作品も加えて心地よいハートウォーミングな選曲に仕上げました。紹介しきれないほど良質な新譜が目白押しなので、曲目リストの方もぜひチェックしてみてください。

2021_xmas_添田

José James『Merry Christmas From José James』
Norah Jones『I Dream Of Christmas』
Gabriel Latchin Trio『I'll Be Home For Christmas』
Matt Dorrien『My Christmas Plea』
S. Raekwon『Where I'm At Now』
Pleasance House『Digging Strawberry Ditches』
Close Counters「In Need Of Love」
Michael Kiwanuka『Beautiful Life』
Secret Night Gang『Secret Night Gang』
Cool Company『Bless You』
Iris Deco『Golden』
Young & Sick『Brother』
Fernie『Aurora』
Cousin Kula『Double Dinners』
Anthony Lazaro『Time Traveling』
The Magic Lantern『A Reckoning Bell』
James Blake『Friends That Break Your Heart』
Jamael Dean『Primordial Waters』
DJ Drez『The Paramahamsa Mixes (White Swan Taking Flight)』
Herbert『Musca』
cktrl『Zero』
Omar Sosa & Seckou Keita『Suba』
Dos Santos『City Of Mirrors』
Golden Brown『Gems And Minerals』
Sam Gendel & Shin Sasakubo『Sam Gendel & Shin Sasakubo』
Piers Faccini『Dunya Remixes EP』
Chancha Via Circuito & Luvi Torres『Ceremonia』
Beverly Glenn-Copeland『Keyboard Fantasies Reimagined』

Dinner-time 火曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00



中上修作 Shusaku Nakagami

伝染病という未曾有の狂想曲をいくぶんか乗り切った(かのようにみえる)後のキリスト生誕日にはどんな景色が似合うのだろう。戦後80年を迎えるいま、数十年つづいた浮き世は「遺物」としてキャッシュされるのだろうか。いや、それでも人間の脳は嫌悪や遺恨を忘れるようにできているから、伝染病のことはすっかり忘れて「狂想が競争をよぶ」時代に戻るのだろう。シン資本主義経済が喧伝されて久しいが、けっきょく経験を学びに反映させるのは無駄なことなのか。

クリスマスという名でよばれる「浮き世の狂想曲」が過ぎさったころ、P.B.は神の許に召されてしまった。黄泉で6歳となろうとしているかれは、これまた2年後の冬に幕を閉じた作曲家のともだちと肩をならべて悪戯な笑顔でグラッパでも飲んでいるのだろう。そういえば、かれに会うたびレコード・ジャケットへサインを求めると必ず末尾に “L' Amitie"(ともだち)と書いてくれたな。

かれはとてもやさしかったが、薔薇の花びら一枚一枚にさまざまな陰影を点し、棘をキレイに磨ぎすました人だった。このアルバムで新録された「ノエル」というみじかい曲に、かれの人生すべてが凝縮されている気がする(オリジナル曲はフランシス・レイのペンによる『白い恋人たち(13 Jours en France)』のサウンドトラックに収録)。

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V.A.『Chanson ouverte à mon directeur artistique』

Dinner-time 水曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00



高木慶太 Keita Takagi

その音楽家の素顔が覗くようなクリスマス曲が好きだ。ロビン・ハンニバルがプロデュースした諸作品で知られるミステリアスなシンガー、ニーアがひっそりとリリースしていたこのシングルもそんな一枚。いつもの艶めかしい媚態のドレスを脱ぎ捨てた、飾り気のないTシャツ姿に彼女の歌い手としての本質が見え隠れする。

2021_xmas_高木

Niia『Holiday Covers』

Dinner-time 木曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00



FAT MASA

毎年クリスマスが近づくと、どんなクリスマスの曲が出るのか楽しみでありますが、今年はJosé Jamesのクリスマス・アルバムが普遍的な内容にグッときてしまう一枚です。ダニー・ハサウェイの「This Christmas」のカヴァーは適度にレイドバックした現在進行形ジャズ・アレンジが新鮮であります。
「My Favorite Things」はジョン・コントレーンを彷彿とさせるアレンジに感動してしまいました。
このアルバムのアナログ盤が出てほしく思う、お気に入りの一枚です。

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José James『Merry Christmas From José James』

Brunch-time 金曜日10:00~12:00



三谷昌平 Shohei Mitani

メリー・クリスマス!
2021 Winter & Christmas Selectionからは、ノラ・ジョーンズのキャリア初となるクリスマス・アルバム『I Dream Of Christmas』をご紹介。新型コロナウイルスの影響により自宅で過ごす時間が増えたことからクリスマス・アルバムを作ろうと思ったという彼女。今年こそはみんながクリスマスに大切な人と集まれることを願う気持ちを作品に込めたとのことで、オリジナル曲ではここ数年の複雑な思いから喜びに向かうものまで、ノラ・ジョーンズの率直な気持ちが表現されています。そんな彼女のクリスマス・アルバムからオリジナル曲の「Christmas Calling (Jolly Jones)」とクリスマスの定番曲2曲「Christmas Time Is Here」「Winter Wonderland」をセレクトしました。
もう1枚はロサンゼルスを拠点に活躍する女性シンガー、レディ・ブラックバードのデビュー作『Black Acid Soul』。アデルやエイミー・ワインハウスらの系譜に連なるアーティストとして注目されている彼女は、ビリー・ホリデイやティナ・ターナー、チャカ・カーンといったアーティストらの影響を受けたソウルフルなヴォーカルが魅力のアーティスト。アルバムでは、ビリー・ホリデイを彷彿させる深みのあるヴォーカルを聴かせてくれるリード・トラック「Blackbird」が白眉ですが、本セレクションではベースとピアノのリフレインがビル・エヴァンスの名曲「Peace Piece」やエリック・サティのピアノ独奏曲「Gymnopédies」を思わせる「Fix It」をセレクトしました。それでは皆さま、素敵なクリスマス・シーズンをお過ごしください!

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Norah Jones『I Dream Of Christmas』
Lady Blackbird『Black Acid Soul』

Dinner-time 金曜日18:00~22:00



渡辺裕介 Yusuke Watanabe

クリスマスの選曲は、昨年のクリスマス選曲が終わった瞬間から始まります。
まだまだ歴史に刻まれたクリスマス・アルバムはたくさんあります。ので、気づいたときに買っておかないと、逢えないかもしれない衝動に駆られます。
しかしながら、自分の思い描くクリスマス・ソングに出逢えるとは限りません。しかし、今まで聴いたことのなかったジャンルにも出逢えます。
「これはセレクションに収録できないなあ」のレコードやCD多数。
でもこんな音楽でも「メリー・クリスマス」なんやと心和むのであります。
各国のチャートをいつも眺め聴いている側としましては、このクリスマス時期は、争いのない平和な時間に感じます。
毎年あの曲たちがジワジワとクリスマスにやってくる。
そんなことを思いながらも、今年のクリスマスの夜はスペシャルな夜にしなくてはと、常に考えながら選曲する楽しい時間です。
いつまでも終わらないでほしいクリスマスの夜になりますように。
メリー・クリスマス!

2021_xmas_渡辺

Roberto Perera『Christmas Fantasies』
Marcus Johnson『Solo Piano Session: Christmas』
Chris Isaak『Christmas』
Ron Ward Jr.『This Christmas』

Dinner-time 金曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00



富永珠梨 Juri Tominaga

2021 Winter & Christmas Selectionのベストワンには、ドイツを代表するジャズ・シンガー、リザ・ヴァーラントとスヴェン・ファラーが、2014年にリリースしたクリスマス・コラボレイション・アルバム『Home For Christmas』をセレクトしました。ジャズ、フォーキー、エレクトロニカなど、多彩なサウンドがちりばめられた、ちょっと大人っぽい雰囲気のユーロ・クリスマス・アルバム。今回はこのアルバムの中でもいちばん、キャッチー&フレンドリーな「Schlittenfahrt」(ドイツ語で「そりすべり」という意味)を選曲しました。ころころと転がるピアノの音色と、楽しげなジングル・ベル、リザの弾むようなキュートな歌声に、思わずステップを踏みたくなる、最高にハッピーな一曲。ドイツ語の歌詞もなんだか耳に心地よく響きます。愛らしいジャケット・アートもとってもお気に入りな一枚です。メリー・クリスマス! 皆さんにとって笑顔あふれる素敵なクリスマスになりますように。

2021_xmas_ジュリ

Lisa Wahlandt & Sven Faller『Home For Christmas』

Brunch-time 土曜日10:00~12:00



小林恭 Takashi Kobayashi

今年も昨年同様にコロナ禍の中、不安定な時を過ごした影響なのか、クリスマス・ソングが深く心の奥底にまで響いてきます。
なので64曲中27曲と多めにクリスマス・ソングを選曲しています。
そのほとんどが2010年代以降の曲で、新譜をメインとした曲たちと馴染むよう現代的なまとまりを意識して全体を構成しています。
特に昨年末に出て前回入れられなかったLouie Vega Familyによるハウス・ミュージックなクリスマス・ソングは華やかな雰囲気で、今回入れなかった曲も含めてとてもハッピーなアルバムでおすすめします。
祈るように、誰もが穏やかな雰囲気で暖かく楽しいひとときを迎えられたらいいなと、選曲していますので、楽しんでもらえればとても嬉しいです。

2021_xmas_小林

Louie Vega『Vega Family Christmas Collection』

Dinner-time 土曜日18:00~22:00



ヒロチカーノ hirochikano

今年のクリスマスは、切なさの中にもどこか心が温まるBruno Majorの“Saudosismo”溢れる声とギターが心に響いた、最近見つけたクリスマス曲の中でも特にお気に入りの曲を紹介します。彼の唄声を聴いていると、かつてジョアン・ジルベルトやチェット・ベイカーをよく聴いていた頃と同種の懐かしい感覚が蘇ります。そして、何よりこの「I Think It Must Be Christmas」というタイトルに込められた彼の優しいメッセージが、まだまだ先が見えない街の人の心を温かく照らしてくれることでしょう。セレクションでは他にも、最近出会った曲の中から、どこか人の温もりを感じるようなハートウォーミングなクリスマス曲を厳選して贈ります。
「誰もが素敵でシアワセな時間を過ごせますように」〜So Happy Christmas!

2021_xmas_野村

Bruno Major 「I Think It Must Be Christmas」

Brunch-time 日曜日10:00~12:00



吉本宏 Hiroshi Yoshimoto

エレクトリック・ピアノやサックスのイントロから、インティメイトなクリスマス・パーティーが幕を開けるような温かな雰囲気が漂ってくる。この5月には女性シンガーのMelinda Camilleをフィーチャーしたビー・ジーズのカヴァー「Love You Inside & Out」をリリースするなど、今年も多彩な作品を発表してきたニュージャージーのPat Van Dyke。Jeff Taylorをヴォーカルに迎え2019年と2020年の末にリリースしたホリデイ・シングルをカップリングしたクリスマス・カラーの7インチ・ヴァイナルは、楽しいパーティーにうってつけ。Have Yourself a Merry Little Christmas!

2021_xmas_吉本

Pat Van Dyke & Jeff Taylor「Merry Christmas, Baby / Just In Time For Christmas」

Dinner-time 日曜日18:00~22:00



高橋孝治 Koji Takahashi

「みなさ~ん、ABBAってますか?」
これは先日NHKのニュース番組でアバの復活が報じられ、その中で来日公演の貴重な映像が流されたのですが、そこでビョルンが日本語でお客さんに話しかけていたときのセリフなんですね。その言いまわしといい、タイミングといい、とてもコミカルで可愛らしく、爆笑して飲んでいたビールを吹き出してしまいました(笑)。
皆さんご存知の通りアバが40年ぶりに奇跡の復活を遂げ、先ごろニュー・アルバム『Voyage』を発表しました。さらに2022年5月27日にはジョージ・ルーカスが設立したインダストリアル・ライト&マジック社の協力のもと、モーション・キャプチャやパフォーマンス・テクニックを駆使し、デジタルに再現されたメンバーのアバターと10人編成の生バンドを共演させる革命的な「ABBA Voyage」と題したコンサートを、ロンドンのクイーン・エリザベス・オリンピック・パークに設置された3,000人収容の最新鋭アリーナ「ABBAアリーナ」で開催するそうです。
自分は世界中でコロナウイルスが猛威を振るい始めたときに、日本人では布施明とちあきなおみ、海外のアーティストではイーグルスとカーペンターズ、そしてアバの曲を何度も繰り返し聴いていた時期がありました。不安だらけの心の中を癒してくれたのは力強いパワーを持ったアーティストの音楽だったのですが、特にアバに関しては自分の人生を変えてくれたアーティストなので、コロナになって心の助けになったことで、自分の中での存在がさらに特別なものになりました。自分の人生を変えたとはどういうことかというと、小学生のときに初めて自分の意志とお金で買ったレコードがアバの「Chiquitita」のシングル盤でした。そこが原点となり、以降の人生は多くのことを音楽というフィルターを通して経験し、様々な人たちと出会い今の自分があると思います。
そしてこのコメントを書いている11月の上旬時点の話ですが(今後どうなるかの不安はありますが)、ここ日本ではコロナの新規感染者が急減していています。そこにアバの復活という明るいニュースも重なり、心が久しぶりに晴れやかな気持ちになりました。
そこで今年のクリスマス選曲のテーマを「笑顔」と決めて、難しいことは考えずに名曲のオンパレードという感じで構成してみました。もちろんその選曲のカギとなるのはアバの「Chiquitita」なのですが、この作品のプロモーション・ヴィデオを観てもらえば、クリスマス選曲にピッタリなことがわかってもらえると思います。

さて今回も映画にまつわるお話をしてみようかと思いますが、みなさんクリスマスといって思い出す映画は何でしょうか? 大人気アクション映画の記念すべき第1作『ダイハード』や、世界的人気を博したホーム・コメディーの大定番『ホームアローン』、鬼才ティム・バートンが贈る恋愛ファンタジー映画『シザーハンズ』や、2000年代では女性同士のラヴ・ロマンスを描いた『キャロル』も素敵な映画でしたね。個人的に好きなクリスマス映画は1962年製作のフランス映画『シベールの日曜日』です。そしてコロナになっていろいろな映画の徹底リサーチを趣味として行ってきましたが、ここ最近は1977年のアメリカ映画『ミスター・グッドバーを探して』の研究をしていました。そしてこの映画も描かれているのがクリスマスから新年にかけての出来事で、クリスマスはこの映画の重要な要素となっています。主演は同じ年に出演した『アニー・ホール』でアカデミー主演女優賞を受賞したダイアン・キートン。他にはまだ駆け出しのリチャード・ギアとトム・ベレンジャーが出演していることでも有名です。内容についてはネタバレになってしまうのでここでは詳しく触れませんが、1973年に起こったロズアン・クイン殺人事件というものをもとにして書かれた原作を映像化したもので、公開当時はダイアン・キートンの体当たり演技と、ショッキングなエンディングが話題を呼びました。その後日本では、1997年に非常に類似した事件が実際に起こり、映画ファンの間で再びこの映画が話題になりましたね。しかしこの映画は日本ではDVD及びブルーレイ化はされておらず、昔販売されていた字幕付きVHSはプレミア化となっています。さらに本国アメリカでも同じようにVHS以降ソフト化されていないことから、ある海外のサイトではDVD及びブルーレイ化希望作品第1位に輝いていました。
なぜDVD及びブルーレイ化されていないのかというと、そのショッキングなエンディングのせいだと囁かれることもありますが、実際にはオージェイズ「Back Stabbers」やテルマ・ヒューストン「Don't Leave Me This Way」、コモドアーズ「Machine Gun」、ボズ・スキャッグス「Lowdown」といった名曲がたくさん使われているために、著作権がネックになっているみたいですね。しかし画質はそれほど良くありませんがオーストラリア盤とスペイン盤でDVDが存在しているので、リージョンの壁がありますが手に入れることはできます。そして洋画専門CS放送チャンネル「ザ・シネマ」で近年も字幕版及び、昔「日曜洋画劇場」で放送した吹き替え版を再現したものを放送していたので、今後も再放送される可能性はあると思います(ちなみに吹き替え版でダイアン・キートンの声を担当したのは歌手の小柳ルミ子さん)。そしてこの映画の徹底リサーチで気づいた点をひとつだけ言いますと、主人公のテレサ(ダイアン・キートン)がバーでトニー(リチャード・ギア)を探す場面で、バーテンダーに最近彼を見たかと質問したときのバーテンダーの答えが、「ザ・シネマ」の字幕、吹き替え、さらにVHS版の字幕では全て「あのドラマーか?」的なセリフになっていましたが、実際には「Gomer man?」というセリフで、これは“get out of emergency room”の頭文字を使った一種のスラングで、「厄介者か?」というのが正しい訳ですね。
それではメリー・クリスマス(笑)。

2021_xmas_高橋

ABBA「Chiquitita」
Stevie Wonder『Merry Christmas』
Wham!「Last Christmas」
John Lennon「Happy Xmas (War Is Over)」

Dinner-time 日曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00



山本勇樹 Yuuki Yamamoto

毎年この季節になると楽しみなウィンター&クリスマス・セレクション。今年は、昨年よりも街の風景は賑やかになりそうです。家の中でも、外出先でも、とにかく幸福な時間を過ごすことができればと、そんなささやかな願いを込めて選曲しました。気品のあるサロン・ジャズ、フォーキーなシンガー・ソングライター、メロウなジャジー・ソウルを中心に、とっておきのクリスマス・ソングを織りまぜながら、ランチタイム~ティータイムのBGMのひとときを彩る心地よいラインナップになりました。その中でも特におすすめなのは、イギリスのシンガー・ソングライター、キャスリン・ウィリアムズのクリスマス・アルバム『Midnight Chorus』に収められたタイトル曲です。僕は2019年に彼女のベスト盤『Kathryn Williams for Quiet Corner』を作ったほど、とても思い入れの深いアーティストの一人です。この曲も、そんな彼女の魅力がつまったロマンティックな一曲です。何度も何度も聴きたくなります。ぜひお楽しみください。

2021_xmas_山本

Kathryn Williams & Carol Ann Duffy『Midnight Chorus』

Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00



武田誠 Makoto Takeda

クラウドファンディングでの支援の呼びかけのもと2020年に制作された、ペンシルヴェニアのピアニスト、VontmerによるクリスマスEP『Midwinter』。その呼びかけのコメントの中で、ゆっくりとした時間が流れる特別な季節にこそシンプルで静かなピアノ曲が必要、と訴えていたりする彼は、SNSで発信している動画で、ニルス・フラームやゴールドムンド、ヤン・ティルセン、エイフェックス・トゥインなどもカヴァーする、ポスト・クラシカルの系譜に位置するピアニスト。椅子の軋む音も聴きとれるアップライト・ピアノから紡がれるクリスマス・ソングの数々は、まさに彼が言うところの“日常生活の穏やかな背景”となるように、部屋のすみずみまで美しい響きで満たしてくれます。
今年も例年のように新旧から選りすぐったクリスマス・チューンやこのシーズンに馴染むハートウォームな新曲を織りまぜながら、“僕にはさしあげるものが何もありませんので、かわりに太鼓を叩きます”的な思いをこめお届けする2021年のWinter & Christmas Selection。どうか皆さまのもとへ素敵なクリスマスが訪れますように。

2021_xmas_武田

Vontmer『Midwinter』
Matt Dorrien『My Christmas Plea』
Butcher Brown『A Very Butcher Holiday』
Night Owls feat. Durand Jones「This Christmas」
Andrew Bird『Hark!』
Anna Burch「Your Heart May Be Heavy」
Shannon Lay『Geist』
V.A.『Salutations』

Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00



waltzanova

僕は根が単純な人間なので、クリスマスやお正月が近づくと何となくウキウキしてしまいます。昔、細野晴臣さんが「僕は「相合傘」の歌詞みたいな人間なんだよ」と話されていましたが、僕も休日を前にして主人公が心弾ませる「相合傘」やSMAPの「SHAKE」の歌詞に共感するタイプです(笑)。

さて、ストリーミングがリスニング・ライフの割合の多くを占めるようになってから、クリスマス・セレクションの充実度が一気に上がりました。配信リリースが可能になったおかげで、「usen for Cafe Apres-midi」チャンネルでよく取り上げるようなアーティストが1曲ごとにクリスマス・ソングをリリースすることが多くなったからです。今回エントリーしたクリスマス・ソングは、昨年の12月、つまりWinter & Christmas Selection選曲後にリリースされたものが多いです。そこにマイ・クリスマス・スタンダードや選曲期間中に出た新曲を織りまぜてセレクションを構成しました。

そのうちのいくつかを紹介すると、まずはティル・ブレナー14年ぶりのクリスマス・アルバム第2弾、その名も『Christmas』です。前作に比べ、ほぼインストゥルメンタルで聴かせる、グッとシックでリッチな仕上がりになっていますね。ここではMax Mutzkeがヴォーカルを取る、僕が世界一好きなクリスマス・ソング「Christmas Time Is Here」を選びました。昨年リリースされたコリー・ヘンリー『Christmas With You』の表題曲も、僕の2020年ベスト・ソングと言える「Happy Days」同様、冒頭に書いたような高揚感あふれるクリスマス・ソングです。この曲を聴きながら街へ出かけ、大切な人へのクリスマス・プレゼントを選びたくなりますね。こちらも昨年リリース、HONNEの「Warm On A Christmas Night」も良曲。配信のクリスマス・ソングはオリジナル・ソングの割合が高いので、どうしてもクリスマス~ホリデイ・スタンダードが多くなりがちなセレクションに変化を与えてくれるのもいいですね。もちろん、リリースされて間もないノラ・ジョーンズやホセ・ジェイムスのクリスマス・アルバムからも選曲しました。ノラ・ジョーンズの『I Dream Of Christmas』は彼女らしいインティメイトな雰囲気が素敵で、「usen for Cafe Apres-midi」チャンネルの定番クリスマス・アルバムになりそうですね。

インティメイトといえば、僕はエヴァリー・ブラザーズのヒットで知られる「Let It Be Me」という曲が好きで、ローラ・ニーロのピアノ弾き語りで歌われるライヴ・ヴァージョンを何回かWinter & Christmas Selectionで使っています。橋本さん選曲の名作コンピ『Cafe Apres-midi Christmas』のラストに「The Christmas Song」とのメドレーで収録されていたので、僕の中ではクリスマスのイメージがついているんですね。僕がこの曲を知ったきっかけは、竹内まりやのライヴ盤『Souvenir』での山下達郎とのデュエットですが、この曲ってジョージ・ハリソンやロバータ・フラックなども演っている、ほぼスタンダード化しているナンバーなんですね。恥ずかしながら今まで知らなかったです(汗)。まだまだ音楽の世界は奥深い……。

セレクションのラスト・パートは、数年ぶりのトレイシー・ソーン「Joy」に続けてアーチー・シェップ&ホレス・パーランの「Goin' Home」。「遠き山に日は落ちて」で知られるドヴォルザークの交響曲第9番『新世界より』第2楽章のアダプトですね。若干フリーキーなトーンのこの曲をここに置くことができたのが嬉しいです。そして実は初登場のビング・クロスビー「White Christmas」。あまりにも定番すぎて今まで選んでいなかったんですよねー。僕が子供のころ、TVでクリスマス・イヴに古い映画を放映していて、『ホワイト・クリスマス』や『三十四丁目の奇蹟』、『チャーリー・ブラウンのクリスマス』などを観たことを思い出しますが、その記憶が蘇るような感覚です。加えて言うと、村上春樹の『風の歌を聴け』もインスパイア元という感じですかね(ハッピー・バースデイ&メリー・クリスマス!)。ちなみにポール・マッカートニー「Wonderful Christmas Time」の歌詞は「The mood is right / The spirits up / We’re here tonight / And that's enough / Simply having a wonderful Christmas time」なので、この3曲の並びは「家でホワイト・クリスマスを祝おうよ」というイメージになったかな、と。そして今年最後の一曲、という感じで毎年選んでいるWinter & Christmas Selectionのラスト・ナンバー。昨年がグレゴリー・ポーターの「Thank You」だったから、というわけではありませんが、今年はレジー・スノウの「Arigato」にしました。11月上旬にリリースされていたので、聴いた瞬間「これを最後に置こう!」と思いましたね(笑)。

ちょっと気が早いですが、今年一年を振り返ると、選曲については例年以上に楽しくやれたというのが率直な感想です。その感じがリスナーの方に伝わっていれば、それ以上の幸せはありません。世の中として困難な時期が多かった2021年ですが、本当にありがとうございました。それではリスナーの皆さま、何かと忙しい師走ではあるとは思いますが、その先にある素敵なクリスマス・タイムをお過ごしください!

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Vienna Boys' Choir & Uwe Christian Harrer『Christmas In Vienna』
Till Brönner『Christmas』
Cory Henry『Christmas With You』
HONNE「Warm On A Christmas Night」
Norah Jones『I Dream Of Christmas』
José James『Merry Christmas From José James』
Healing Potpourri「Happy Xmas (War Is Over)」
John Legend「You Deserve It All」
Todd Rundgren & The Roots「Godiva Girl」
Terrace Martin『Drones』
((( O )))『((( 3 )))』
Micah Edwards「December 26」
Laura Nyro『Live: The Loom's Desire』
Archie Shepp & Horace Parlan『Goin' Home』
Bing Crosby『White Christmas』
Rejjie Snow「Arigato」

Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00





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