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「君たちはどう生きるか|宮崎駿監督|スタジオジブリ」見てきた

※前半部分はストーリーに対するネタバレは無いものの、内容に対する言及はなくもないのでこれから映画を見に行く方はご注意ください

観に行く予定がなかったどころか、やっているのも知らなくて(笑)が、、、急遽観る気になっちゃったんだよねということで行ってきちゃいました。

直接は関係ないですけど、劇場予告で知ったんだけどサンドランドが映画化されるんかい!

他の紙の漫画はほぼ手放したけど紙も所有してる数冊のうちの1冊くらい好きなので、マジで楽しみすぎる。というのを、劇場予告よろしく本題の前に布教しちゃう。

さてさて、こちらのサンドランドは事前情報も情報もでているし、もちろんウェブサイトもあるのだけれども、今回のお題である「君たちはどう生きるか」は公式ウェブサイトもない。

ジブリのTwitterも内容もなく、このポスター一枚とカヘッカヘッカヘッだけ。

どうやらパンフレットも現在のところはないらしい。(後日発売?


なんで観に行ったのさ?

岡田斗司夫先生というのがいてね。前々から見ていて友達にも勧めていたころはたぶん登録者数数万人だったのに、気づいたら100万人超えている元ガイナックスの社長さんなんだけれども。

この動画をみてみたわけですよ。
で割と最後の方まで、「いうて観に行くほどじゃないでしょ」っておもってたんだけど、
「ぼく黒澤明の「」って好きじゃないんだけど、宮崎駿版「」ってかんじだよね」(意訳)
と聞いて、なにぃぃぃぃぃぃ!ってなったのですよ。

七人の侍」とか「影武者」を先に観ていたらそれはそうだろうなって思うけれども、宇佐兎三は「」を一番初めにみてほかの作品も履修したクチなのですよ…。
そして、一番好きな映画の中の一つ。

黒澤明の「夢」は、「こんな夢をみた」という文字からはじまりオムニバス映像が流れるというものなのだけれども、それぞれの映像に共通のテーマ性があるかといえば、「そういう夢をみたんだろうなぁ」くらいにとりとめない。
ただ、その映像は極めて水彩的で美しかった。

何かのストーリーをみるというよりは、雰囲気だったり映像がみたくて、オムニバス作品のうちのいくつかを何度も何度も繰り返しみていた。
それはちょっと見たいかもしれない。

宮崎駿監督自身が「訳が分からない」

同名の本である「君たちはどう生きるか」の作者である吉野源三郎の孫である「好書好日」副編集長の吉野太一郎氏が、試写会の話についてこんな記事を公開している。

この記事も、これを書くにあたって読んだものの、事前情報なしにみていて、「君たちはどう生きるか」の漫画版を1度だけ読んだことがあるんだけれども、映画をみたらどんな内容だっけ?ってレベルで別物だったわけだけれども。

というか、原作だと思っていた同名の本的に「風立ちぬ」的な感じなのかと思ったのだけれども、めっちゃファンタジーじゃん。(ちなみに個人的には「風立ちぬ」は嫁の存在そのものがファンタジーだと思っているwそんな都合のいい女いないわ!的な)

岡田氏の話をきいたあとに見ていたら、

「宮崎駿の「こんな夢みた」…がめっちゃしっくりくるw」

ってマジで思ってしまっていて。やっぱり内容的にとりとめない感じはめちゃくちゃある。

エンタメではなくアート作品なのか?

岡田氏の「エンタメではなくアート作品としてみた方がいい」みたいな話を受けてなんだけれども。

「アートであるならば」

これ自体持論でしかないのだけれども、芸術に対する自己での解説は「言い訳」ではないかと思ってた頃があるんだよね。で、芸術の見る側の本質は「言い訳無しに観た人が感じるもの」だと硬く信じていた時代が私にもあって。で、その感じ方の最終的な落としどころは別に「好きか嫌いか」だけのどちらかだけでもいいじゃないと。

子供時代、ただ自分の好きなものを好きなように好きで描いてたころって、どんなタイプの絵であるかとは別に自分のために描いてたという意味では「芸術」だったと思っていてね、ただその解釈は見る相手にゆだねるべきだと思っていた
さらに言うと、言い訳もかっこ悪いけど、他人からの解説なんて意味あるのか?と思ってた。どんなに他人がそれっぽく言って見せたところで、当の本人はただただ「おなかすいた」としか思わずに作ってた作品だってあるかもしれないじゃないかと。今は、解説とかも楽しくみれるようになったところに自分が大人になったななんて思ったりするけど。

とはいえ、その結果全然違う解釈をされてガッカリすることもあったんだけれども、「言い訳」なしに理解されないとしたらそれは作り方が悪いけど、それでもいいよねって。

こちらが受け取る側のときもやっぱり「正しい」「正しくない」とか問題じゃないと思うし、好きに受け取ればいいかなって。

一方デザインの場合は相手の解釈がどっちでもいいなんてことは絶対になくて、何かの思いをわからせたいのであれば、きっちりわかるように作りこまなければいけないし、意味のないものを画面においてはいけないって思っている。だから、きっちり製作者と観る側の解釈に齟齬ができるだけない作りにしたうえで、解説も必要に応じて載せるんだよね。商業ベースにのっているものはデザインに限らず、電子機器からストーリーのあるようなものまであったりどのジャンルであれ、その傾向はあると思っているけど。
わかってもらわないと困るから。

私程度の三流デザイナーでもそうなのだから、一流アニメスタジオであるスタジオジブリ、宮崎駿監督はいままでは演劇の文法で、彼の文脈で見せたい解像度での理解されやすい作品を作ってきていたはずで。ましてアニメは、描いていないものは「無い」ので意図しないものが映り込むことがないので過不足なく描いてるはず。(実写であれば偶然の何かが映ることがあるけれど)
その上で、通常であれば宣伝を兼ねてコメントや解説も一緒に出してと思うのだけれども。

にもかかわらずの、この「よくわからない」解像度は、まぁ、アートなんだろうな。

さらに事前情報を出さず、パンフレットでも語らないというのは、まさに「言い訳もしない」その姿勢そのものなんだよね。

となるとこの作品の解釈に「正しさ」を求めること自体がナンセンスで、「好き」か「嫌い」かそれくらいでいいのではないかと。

宇佐兎三のネタバレ無しの感想

この映画見る価値あります?

人によるけれど、とりあえず見に行ってみたらいいんじゃないかな?個人的には嫌いじゃなかった。めちゃくちゃ好きかと聞かれれば、正直今回の予告でみちゃった「サンドランド」の方がたぶん好き。まだ封切りされてないけど。

内容あるの?って言われたら微妙だけど、「竜とそばかすの姫」ほどモヤッとはしなかった。

これも、映像だけでなら好きだったんだけど、内容あると思ってみはじめちゃったら、最後の方の無理やりまとめた感はモヤモヤマックスだったけど、そこはさすがに宮崎駿でそれほどモヤッとしなかったw


以下、ネタバレあります======






宇佐兎三のネタバレ有の感想

大昔漫画を描くポイントとして、「自分がウキウキする場面をまず考えてそれをストーリーにあて込めていく」なんて話をきいたことがあるけれども、これは、宮崎監督のそういう部分をただただつないでいったのでは?
とちょっと思ってるんだよね。

黒澤明の「夢」は、一つ一つが独立したオムニバス作品だったけれども、この作品はそれを全部繋げちゃってる。

割と普通のストーリーって、登場人物が活躍して、問題を解決を通して成長するってかんじなんだけれども。ストーリーに対する内容って基本的には主人公がどう成長したか?だったりするんだけれども。だから、主人公が成長しないストーリーは、なんかわちゃわちゃとはしているんだけれども、内容がなかったりする。
この作品って別に映像の中でなんの問題も解決してないし、成長もしてるんかな?ってかんじなんだよね。してなかないんだろうけどものすごく小ぶりで。
しかも、急に謎に心変わりしていないか?と。
つまり、きわめて内容が無いドラマといえるわけで。

最後の最後も今までのジブリなら、主人公が頑張って何かを成し遂げて悪い奴を倒しました。めでたしめでたしとともに「おわり」に該当する表記があったんだけれども、そういうのもなかったし〆てない。

今までのジブリ作品からすると、いうて匂わせではあるんだけれども、いままでよりも登場人物同士の色っぽい関係がどうも見え隠れするし。

で、そう諸々考えてみると、シータみたいな雰囲気の女の子時代の「母親」とのウキウキ冒険…ただただ内容もなくいわゆる性癖をアニメにしちゃいました?

あえていおう、

お前はシャアかっ!!!!

*参考*
「ララァ・スンは私の母になってくれるかもしれなかった女性だ」

「機動戦士ガンダム」シャア・アズナブル最期の迷言

そのあたりで、「あ、この眞人くん宮崎さん本人の自己投影なのか…w」ってなったんだけれども。

そう考えると、今回のジコボウが被っているのは鳥(アオサギ)。鳥に「そそのかされた」のは飛ぶことに魅せられた彼の人生そのものな気がしちゃってて。アオサギが誰のメタファーかって話ばっかり目が行くけど、宮崎作品の中に登場する動物の中で鳥が中心にいることはほとんどいなかったけどポイントポイントでは羽を持つものへの憧れがババ様の予言の背景であったり、ウルスラの絵であったりで描かれていたなとかあって、その憧れの対象であるはずの鳥そのものにうなされている方がよっぽど気になるわw

で、この作品のファンタジー世界は「海」とか「地獄」と呼ばれていたけれども、なんとなく三途の川感がものすごくあって。神隠しにあって3人一緒に戻ってきた話自体が、頭から出血して朦朧としたときにみた夢かもしれない感すらある。(実際にベッドの上で寝ていて起きるというシーンがものすごく多い。実際は途中は起き上がってないかも?)

そして更にちょっと気になったのは、以前の映画を彷彿とさせるシーンてんこ盛りのなかに、本の方の主人公に影響を与えたやくどころが叔父であり、この作品でも行った先のファンタジー世界の主は大叔父さんなんだけれども。
その大叔父さんが、ナウシカの大ババ様と同じ服を着て(宝石の色は違うけれど)登場するわけだけれども、それ以前のテレビアニメはノーカンとしてジブリ映画だけをみたときに、予言者によってはじまった物語が、予言者によって終わるならば…
引退宣言は撤回したけれども?なんてちょっと思ったけれども。

まぁ夢なら仕方ないよね。

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