子育て 未婚シングルになる事を決めた当時について

妊娠中、怖いことがいっぱいあった。

息子はヤンチャだ。
そのクセ甘えん坊で、お茶目だ。
可愛くて笑える。愛おしい存在。でも、私だって人間なので、急に怒りが沸いてスクリームしてしまうことは日常茶飯事である。

「子どもに怒りの感情が沸いたことがない」
そんなお上品なママさんとは気が合わない。
そんな私だ。

息子と2人家族。
周りに比べると少しイレギュラーだが、
どうだっていい。
時代は令和なのだ。
色んな家族のあり方があって当然。
世間の目を気にするなんて面白くない。

そう思う私も、数年前は泣き虫で、妊娠中は怖いことばかりだった。
打ち明けた彼氏には喜んでもらえず、相談した陽気なおじさんに言いふらされた。故郷から遠く離れた田舎の町でひとり、毎日泣きながら先の未来を考えていた。
そして、彼との未来を手放したのだった。

『別れたい』と願ったはずの縁が、本当に切れることは辛かった。一緒にいて苦しいことが多くあったが、同じくらい幸せな時間もあった。それでも(もう会わない)(産まれてきた子どもに一生会わせてやらない)妊娠した私をすぐに受け入れられなかった彼を、完全に許すことは出来なかった。

実家に帰った。それでも私は泣いてばかりだった。

「戸籍に父親の名前を載せないなんて子供がかわいそう」
保健センターのおばちゃんに説教された。
お腹の子どもに『口唇口蓋裂』が見つかった。
大きくなるお腹を、周りや友人に自慢することが出来なかった。

泣いて泣いて、一日涙が止まらず不安定な日々が続いた。
産前産後は常に体の調子が悪く動けなかった。辛かった。
新生児を可愛がれる心身の健康が不足していた。産後、半年で16キロ痩せた。

限界を超えていたと、思う。

ただ、その時お腹にいた「胎児」も、昼夜世話に追われた「新生児」も、全てがこのお茶目な息子だったのだ。そう思うと、笑えた。泣き虫だったあの頃からずっと君と一緒だったのかと思うと何も怖くなくなった。ずっと独りだと感じていた当時、既に2人だった。そこにはこの息子がいたのだ。とても心強いじゃないか。悩んでいたあの頃が、違う色に塗り替えられた瞬間だった。

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