見出し画像

「プログラミング×実験で結晶成長過程を解析」研究室紹介 Vol.2

名古屋大学大学院1年生の池田君に研究についてインタビューをしました。

「微小球結晶の結晶成長過程を解明し、より良い製造条件の発見を目指す」

<研究テーマ>
「火炎法を用いたAl2O3微小結晶球作製における結晶成長過程の解析と制御」

近年、電気・電子機器の小型化、高集積化により、機械内部で発生した熱によって温度上昇し、寿命の低下や故障を引き起こすことが課題となっています。
効率的な排熱方法の1つに、樹脂部分へのミクロサイズのセラミックスの充填があります。セラミックスは樹脂よりも熱伝導率が高いため、熱が伝わりやすい経路ができ、熱伝導率が上がる仕組みです。

私の研究対象であるアルミナ球結晶は、よく使われているセラミックス充填剤の1つで、結晶球内部の空洞や結晶粒同士の境界が少ないほど熱伝導率が高まるため、その製造条件確立を目指しています。

「粒界ネットワーク解析を活用し、熱伝導率の高い結晶球の成長過程と製造条件を探る」

効率的に目的を達成するためには製造条件が結晶成長過程に及ぼす影響の解明が重要ですが、製造装置内部を観察できないため成長過程が分かりません。
そこで「粒界ネットワーク解析」を活用し、成長過程の推定をしています。
この手法は製造された結晶球における結晶粒の向きを測定、結晶粒間の関係を判定し、結晶粒を点、結晶粒間関係を線として図示するものです。

さらに、推定した成長過程と製造条件や結晶球の形状、結晶粒数などの特徴における相関を調査することで、製造条件が成長過程に及ぼす影響の解明を目指しています。
この結果から熱伝導率が高い結晶球の成長過程と製造条件を仮定し、新しい結晶球を製造することで、効率的な条件設定と解析を行っています。

これまでに、製造条件が成長過程と結晶球の特徴に及ぼす影響に関する知見が得られました。今後は、更なる成長過程の解明と最適な製造条件の確立を目指しています。

「研究室は研究・就職活動・プライベート全てを楽しめるところ」

研究室は各学年6~7名程度おり、努力している人が多く常に刺激を受けられます。研究、就職活動は真剣に取り組みつつ、プライベートも確立できるため充実した生活を送れる研究室だと思います。

<研究室の過ごし方>

ゼミは週1回対面で行っており、年4回程度の進捗報告と年1回の論文紹介があります。

また、イベントが多いことも研究室の魅力の1つだと感じています。秋の研究室対抗ソフトボール・バレーボール大会では、大会1ヶ月前からみんなで練習をして挑みました。

就職活動はインフラ業界と素材メーカーを志望しており、M1の6月から始め1月に内定をいただきました。内定承諾の決め手は「自分がやりたいことを実現できる環境」、「業務内外で多くのことに挑戦できる時間や環境がある」と感じたからです。
研究との両立は大変でしたが、困ったときは周りに相談し、納得できる就職活動ができました。

<研究実績>
23年12月 JCCG-52(愛知)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?