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UNISON SQUARE GARDENというバンドに心を救われた話。①序論

UNISON SQUARE GARDEN(通称:ユニゾン・USG)というバンドをご存じだろうか。まぁ名前は聞いたことあるかな、くらいの層が結構なボリュームを占めているのではないだろうか。
「オリオンをなぞる」「シュガーソングとビターステップ」が主にアニメ界隈でバズったので単曲としての知名度は高いかもしれない。

また、メインコンポーザー兼Bassの田淵智也は本バンド以外にも多数のアーティストに楽曲提供を行っている。有名どころでは某アニメのOPで認知度を高めたLiSA、彼女の曲の1/3位は何かしら田淵が関わっている。

そして今年で結成16年,メジャーデビューから12年を迎えたユニゾン。
音楽、ライブに対して閉塞感を抱えていた自分を救ってくれた恩人のような存在なのだ。心を救ってくれたといっても過言ではない。

本記事では、ユニゾンの紹介というよりも
そんな自分がユニゾンに救われた経緯の自分語りを記したい。
タイトルを見て思ってたんと違う、と感じた方はブラウザバックの方向で。

自分は幼少期より音楽が好きだった。
父の影響もあったのだろうか、年の割に松田聖子などの往年のアイドル曲にも詳しかったし、SPEED・MAX、小室ファミリー、avex系列などのJ-POP
を聴き漁り、2000年に突入しようかというタイミングで当時小学生であった自分はその年代にしてはかなり音楽知識を持っていた気がする。

そして、中学2年の時にアコースティックギターを手にした。
きっかけが俗っぽくてちょっと恥ずかしいのだが、
YUI主演の「タイヨウのうた」という映画を見てその弾き語り姿が格好よく見えたこと、
また男ながらにして当時好きだったグループw-inds.のボーカル橘慶太が「道標」という楽曲でそれまでの印象とは異なるスタイル、バックバンドを従えアコギで歌い上げる、その姿に憧れた。
この2つが影響として当時14歳の自分がよし、ギターやるかと思った理由である。恥ずかしい。

そして時を同じくしてバンドミュージックを聴くようになった。
といっても当時は割とバンド過渡期だった気もする。
ジャニーズ、女性シンガー、ジャパレゲなどがオリコンチャートを占めていた記憶がある。

当時前線を走っていたバンドを調べてみた。
エルレ、RAD、UVERworld、Aqua Timez、オレンジレンジ、チャットモンチー、ストレイテナー、Base Ball Bear、レミオロメン辺りだろうか。

その中で特に感銘を受けたのはBUMP OF CHICKENだった。リアルタイムで聴いていたのはカルマ、涙のふるさと、花の名辺りだったが
遡ってjupiter、ユグドラシルを聴いてこちらも非常に素晴らしかった。

また高校では、school food punishmentというバンドが非常に好きだった。ミニアルバムからのメジャー1stの流れは素晴らしかったが、同時にすべてを出し切ってしまったのではないか、そんな雰囲気を感じとってしまった矢先に解散してしまった。

そして高校では、軽音楽部に入った。
当時はボーカルをやっていたり、引き続きアコギでバンドに参加していたが、新しく自身主導のバンドを組むに辺り、高2の時にエレキギターを手にした。
音の好み、色の好みなどを勘案して白・ミントグリーンのストラトを買った。

6万程度のHISTORYのギターであるが、偶然にも斎藤宏介が使っているATELIER Zとほぼ色分けが一緒である。パッと見、見間違う色合いだ。
余談に過ぎないし、この頃はまだユニゾンがメジャーデビューしたてであったが、6年ほど後に彼らの楽曲をコピーするときにそれに気付いた時はちょっと運命的なものを感じた。
勿論本家より40万ほどお安いストラトなのだが、今もユニゾンを趣味で弾く時に愛用しているギターである。

閑話休題。
高校時代より、自分はオリジナル曲を学内などで披露するようになった。
小・中学生時代に頭にあったものをそのままバンドサウンドや弾き語りにアウトプットしていった形なのだが。

別に何かの大会に出たり、ライブハウスに出まくったりといった活動はしておらず、仲間内の学生バンドで学祭で披露したり、宅録をとある投稿サイトに上げた程度であったが。

ただ、自分の作った曲最高とは思っていた。

というのも、上記に書いたように幼少期に多く音楽に触れていたこともあり、当時の自分の将来の夢はシンガーソングライターだった。恥ずかしい。
(卒業文集とかには恥ずかしくてゲームプログラマーとか書いてた気がする)

さすがに高校生になった折にはその夢は潰えており、
周りの学生バンドとの実力差、そして何より自分の実力の無さ、そしてそこからの努力に対する才能の無さに打ちひしがれていた。
ただ、相変わらずも自分の曲は良いよなとは思っていた。


やっと本題に入る。
自分がユニゾンというバンドを認知したのは、
高校2年、3年どちらか忘れたがお勧めの若手バンドを挙げていくスレッドをまとめたサイトにユニゾンの名前があった。
YouTubeで検索をかけ「センチメンタルピリオド」という曲を聴いた。

非常にみずみずしい、爽やかな面と合わせ棘をちらつかせた良い曲だった。Aメロの歌詞のリフレインがとても耳に残る。
ちなみに当時の初聴感想は「ベースよく動くな」という感想よりも「ボーカルめっちゃ声高えな」だった。

しかし、この時点ではハマるまではいかず、単曲としていい曲だな、という程度の認識だった。

少し時系列が進み、大学に進学し
とある講義の前に音楽好きの知人と話をしていた際、
お勧めのバンドいる?という話題になると彼はユニゾンの名を挙げた。
その前後に自分はユニゾンのメジャー1stアルバム「UNISON SQUARE GARDEN」をレンタルしていた。
知人から借りたのか、それともTSUTAYAで借りたのか記憶が定かでないがとにかくセンチメンタルピリオド以外も聴いてみた。

一聴した感想は、「新進気鋭のロックバンドの1stアルバム」だった。
感想というか、帯とか店のポップに書いてそうな売り文句である。

言い表しずらい感じだが、「そこそこ好き」といった感じである。
カラクリカルカレ、マスターボリューム、クローバーなど良いなと思った曲はあったが、当時の自分はこのアルバムを咀嚼しきれていなかった。

(どちらかというと、その知人がユニゾンと同時に勧めてきたandropに当時めちゃくちゃハマった気がする。Bright Siren良いよね)

その後ちょっとして、ユニゾンは「オリオンをなぞる」という曲で一躍有名になった。
当時の自分はユニゾンというバンドは割とルックスに反し硬派よりのロキノンバンド、という認識があったので、この曲のアプローチはびっくりした。
ちなみにこの曲の自分の感想は、「そこそこ好き」である。メロは耳に残るがどうもアレンジのシンセ、キーボードが馴染めなかった。
(ファンになった今でも未だにそういう所があるので、この曲の到達点はYouTubeに公式で上がっているの3人の現演奏だと勝手に思っている)


そして、自分がユニゾンに心を揺り動かされた第一波が「流星のスコール」という曲だった。何だこれめちゃくちゃ良い。個人的に今まで聴いたユニゾンのどの曲よりも刺さった。
当時ユニゾン初心者の自分でもわかりやすい歌詞、ギターのカッティングやディレイがタイトルの流星を思わせる。そしてシンプルなバンドサウンドにキャッチーなメロディが乗っかる。
何でこの曲がいまいち売れなかったのが分からない。あれか。結局はタイアップの力なのか。

そして間を置かずに発表された次作、「リニアブルーを聴きながら」
この曲がユニゾンにより自分の人生を動かす一歩となった曲だ。
当時、いまいちハマり切れなかったオリオンの系譜をつなぐ曲であるが(今は好きだよ)、この曲には衝撃を受けた。ただ、その理由・ロジックを全く言語化できない。

PVがカッコいい、メロディが良い、ギターのフレーズが良い、サビの歌詞の余白が良い、シンセの使い方がオリオンに比べて抑え目で良い、等それっぽい理由を挙げることはできる。
ただ、どれも正解であり、正解ではない。
単純に魂を揺さぶられる良い曲だと感じた、というのが本音で、本能だ。

正直、歌詞も未だに良く分かってない。全体的な語感の良さは素晴らしいが、そもそもリニアブルーって何だ。聴けるのか。

そんなこんなでひたすらこの曲をリピートしていた。

しかし今更ながら懺悔すると、自分は上記2曲を表題曲しか聴いていなかった。この2作はカップリングにもシングル級の化け物が潜んでいるのだが、それを知るのは後になってからだった。


そして2013年、「CIDER ROAD」というとんでもないアルバムがリリースされた。もし無人島に一枚だけ音楽アルバム持ってって良いよ、と言われたら間違いなく自分はこの作品を選ぶだろう。

上記2曲の期待感もあり、これらが収録されたアルバムが発売された暁には是非聴きたいと思っていた。しかし、まだ当時の自分はファンと呼べるような人間ではなく、恒例のTSUTAYAレンタルムーヴをかました。

自宅に帰り、レンタルしたCDを取り込んで歌詞カードとともにWALKMANで聴いた。
それにしてもこの歌詞カード可愛い。タイトル通りサイダーをイメージしているのか穴あいとる。オサレ。

そんな事を考えつつこのアルバムを一聴した感想。
「あれ、俺レンタルしたのってベストアルバムだったっけ?」

捨て曲がない。全部いい曲。語彙力が失われる。

もう一度聴いてみる。
M1,M2,M3,と最初からトップギアを走っている。M3は前述のリニアブルーだが、前2曲もシングルでも通用するであろうキラーチューンだ。

あれか。このハイテンション具合、間違って9mmかサンボマスターのアルバムでも借りてきたのかな。

と思ったらジャズ調のM4、超好み。こんな引き出しもあるかと驚かされた後、M5~M7からのミディアムチューン。普通のアルバムであればここらでダレてもおかしくないのだが、とにかくメロの良い良曲が続く。
M7のクロスハート1号線なんて聴いてて恋する乙女の気持ちになってしまった。
そしてまだ手を止めぬぞと言わんばかりにロックチューンのM8,M9の流星のスコールに続き、
これまた癖になるダンスチューンのM10から、エルレかなとも思う3分ポップロックのM11、壮大なバラードの12を挟み、
今ではユニゾンライブの代名詞の一つ、シングルでもこれまたおかしくない、シャンデリア・ワルツのM13で幕を締める。
そしてまた、フェードインから始まるM1に身を委ねてしまいたくなる。

アルバムレビューみたいになってしまったが、
書いての通り単純な良曲の詰め合わせ、というだけでなくちゃんと一つのアルバムとしても巧みに構成されているのだ。

後に、メンバーはこのアルバムに対して「他のアルバムに比べ収録時間が長くなってしまった(62分)」と話しているが、自分はこのアルバムは致し方ないと思う。どの曲も欠けてはいけないピースの1つなのだから。(とはいっても、自分も短いアルバムのが好き派なのだが、それでも。)

そして、思い出した。自分がこのアルバムをTSUTAYAで300円で借りてきたことを。
こんな大傑作を300円で味わうのはあまりにも失礼である。速攻店舗に返却し近隣のタワレコで初回限定版を購入した。
DVD内容も素晴らしい。3人のメンバーが3人のみでストイックに演奏している。非常にシンプルかつカッコよく自分好みだ。
パフォーマンスに絶対の誇りと自信があるからこそできる芸当だろう。

ちなみに、自分はまんまとこの「「ガリレオのショーケース」って何だ?前のアルバムにこんなんあったっけ?」「ファーストシングルのカップリングかい!」ってのを地でまんまと田淵の思うつぼにはまってしまった男です。


そしてこのアルバムで、自分は同時に打ちのめされた。
傲慢にも街中から流れる音楽を尻目に「自分の方がもっといい音楽作れるのになー」と自分がなれなかった表方への未練のような気持ちが完全に打ち砕かれた。
自分がやりたい、やってほしい、いやそれ以上の音楽をユニゾンが提供してくれるからだ。
自分は彼らにお金を払うことで音楽を楽しもう、そう思ってからは創作活動をすることはほぼなくなり、趣味の範囲でコピーバンドをする位になった。
自分に音楽の道を諦めさせてくれるとどめの一撃をくれたこと、これがユニゾンに心を救われた理由の1つである。


以降は、バイト代などでひたすらユニゾンの旧譜を集めた。
当時はぴんと来なかった1stも好き補正がかかると途端に別アルバムに聴こえる。更に、ユニゾンはむしろカップリングが素晴らしい。
流星のスコール、リニアブルー、桜のあとなんかはシングルというよりミニベストアルバムだ。

「桜のあと」もとても良い曲だ。
CIDER ROADの次にこれ来るのか、というポップさで
これはユニゾンお茶の間に見つかってしまうだろ、とドキドキした。
「harmonized finale」の時も同じく、こんな素晴らしいミディアムバラード、ナウなヤングにバカ受けだろうと戦々恐々だ。Mステ出たし。

しかし、上記2曲でバズるかというとそこまででもなく、
(桜のあとはじわじわYouTubeの再生回数やシングル売上伸びたけど)

2015年、初聴の際に「等身大の地球」や「instant EGOIST」をタイアップに合わせてポップ調にしたんだな、たまにはユニゾンのバイオグラフィーでこんな変化球も良いもんだな、と思った
「シュガーソングとビターステップ」が10万枚の大ヒット、
オリオンの時もそうだけど、あ、自分の感覚って人と違うんだな、と思った記憶がある。

その後スターの仲間入りを果たすかと思いきや、
田淵智也、そしてユニゾンは自分のやりたい音楽をやり遂げるため「売れすぎない」ための戦略を描いた。傍から見て見事というほかなかった。

やや時系列がまた戻るが、
自分はCIDER ROADを聴いたことをきっかけに、大学でユニゾンのコピーバンドをやったり、ユニゾンのライブにも足繁く通うようになった。
本記事のタイトルにある「心を救われた」というのはもう1つ大きな理由があり、彼らのライブにその契機があった。
本来このエントリーで書きたかったが文字数がなかなかえぐいことになったので本記事を序論とし(長ぇ)、次記事を本題としたい。


→②へ続く


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