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#スキな3曲を熱く語る(嵐・DIALOGUE+・UNISON SQUARE GARDEN)

前談


note公式さんがこんなイベントをやってるらしい。

以前、公式には「音楽」カテゴリで自分の記事を取り上げて頂いてなんかビュワー数が爆上がりした経緯があるので、その恩ではないけど自分も参加してみようかと。

色々考えた結果、note始めた当初より結構閲覧してくれる人も増えてるっぽいので自分の過去の記事から「これは楽曲感想としてエンジンかかってるな」ってレビューを再掲することにしました。推敲して再構成してはいますが内容はほぼ一緒、言うなれば再放送です。


1.カイト / 嵐(2020)

58th Single「カイト」収録曲

昨年を以って活動休止した国民的アイドルグループ「嵐」のラストシングルです。提供は今やこちらも国民的アーティストになった米津玄師
東京オリンピックのテーマソングにもなった曲です(オリンピックほぼ観てないけど)
調べたらこの「カイト」唯一のミリオンセラーみたいで、活動休止前にでかい一発打ち上げられたようで何よりです。

一方で米津玄師はとても好きなアーティストなので、提供曲ということもありこの曲に触れました。
そして、この曲は「米津玄師」の作家性を貫いた曲だと思いました。
オリンピックの応援テーマソング、という逆張り人間の自分からしたら胃もたれしそうな案件なのだけど、びっくりするぐらい好きになってしまった。

それはこの曲が「頑張れ頑張れソング」ではないからです。まず前提として楽曲が良いのは勿論として、自分が着目したのは歌詞です。

母は言った「泣かないで」と  父は言った「逃げていい」と

この一文。
オリンピックという「勝ち負け」が求められる行事のテーマソングで「逃げていい」というワードをぼかさずに使うその誠実さが米津玄師だなー、と感じました。

ありがちな曲なら「逃げ出したくなった夜もある」といった感じで逃げることを婉曲に否定しつつの頑張れ頑張れに繋げるかもしれない。
しかし、この「許し」のフレーズで「頑張れの押し付け」による閉塞感が一気に無くなり、サビのポジティブであり普遍的な歌詞に強い説得力が込められてるように感じます。

いつだったか米津玄師本人の本楽曲に対するインタビューで読んだのですが、

『自分たちは見えない所で沢山の人に支えられている。その中で「許され」ながら「お前はここで生きてていいんだ」と活かされてきた。それを忘れてはいけない』

という想いを歌詞に込めたとのことででした。

それが「逃げていい」の歌詞に繋がるし、「泣かないで」も只の「泣くこと、悲しむことの否定」ではなく「他者への寄り添い」への意になる。

「頑張れ」とか「あきらめないで」と言ったフレーズを使わずに、「許し」のフレーズを「カイト」という願いに込め、その凧が高く飛んで行けるよう自分へ、はたまた誰かへ想いを込める。

風が吹けば 歌が流れる 口ずさもう 彼方へ向けて
君の夢よ 叶えと願う 溢れだす ラル ラリ ラ

これほど品のある「応援」の歌詞は日本の応援歌を探してもそこまで無いんじゃなかろうかと。

そしてちゃっかりDメロで「の中をかき分けていく小さなカイトよ」とちゃっかりグループ自身の応援歌にもなっており、ずるいなぁ(誉め言葉)と。

シングルとしてではありますが、
グループのディスコグラフィーを締めるに相応しい曲になったのではないでしょうか。

2.おもいでしりとり / DIALOGUE+(2021)

4th Single「おもいでしりとり」収録

「DIALOGUE+」という声優ユニットの曲です。
アニメタイアップの曲ですが、不勉強ながらそのアニメは観ていなくて。
ただアニメを知らずとも楽曲だけで食べきれない位の楽しみを与えてくれる一品です。

終始王道を行くキャッチーな歌謡曲。メロディが美しすぎる。
冒頭のソロボーカルから始まり、メンバーの声質を活かした歌割も完璧。「星に願いをできるだけ愛を」のリフレインが何回聴いても飽きない。
純粋に何も考えずとも楽しく聴けます。

で、この曲も歌詞の仕掛けが凄い。普段は音楽においてそこまで重視してない自分でさえ着目せざるを得ない内容。

まず、歌詞中に出てくる「」付の台詞表記の歌詞があるんですが、言葉の語尾を順番に繋いでいくとしりとり構成になっています。
そしてそれがループ構造にもなっていたり。以下。

(1番サビ)
「嬉しい」「いつもありがとね」「ねえちゃんと見て」「手を繋ぎたい」
(2番サビ)
「行かないで」「できるだけそばに」「似た者同士だ」「抱きしめたい」
(落ちサビ)
「いっぱい考えてさ」「探し出したんだ」「だから聞いて欲しいです」「好きです。」
(ラスサビ)
「すごく綺麗」「今ならわかるよ」「欲張りでいい」「一緒にいよう」

また、これは推察ですがラスサビの歌詞で
”どこにいたってこの胸にいるよ 最後の文字に繋ぐまで”という一節が出て来ますが、最後の文字=平仮名の「ん」と捉えると、上記枠内のカッコ付き台詞、「一緒にいよ」の「う」に繋げると「うん」という言葉が歌詞の外ではあるけど作り出され、「一緒にいよう」「うん」という想いを伝え合うやり取りの情景が浮かび上がります。

また、それを踏まえるとこの曲名は「おもいでしりとり」とあえて平仮名表記ですが、まず連想するのが「思い出しりとり」でしょう。
ただ、上記を踏まえるとこの曲は「想いで」「しりとり」の意がかなり強いんじゃないか?というダブルミーニングにも思えます。

そしてもう一つ。
この曲の歌詞は上記にも書いた通り「」付の箇所をしりとり構成で繋ぐ内容になっていますが、締めの一節は台詞ではないですが"届けるんだ!"で幕を閉じます。

ここで思い返しましょう。彼女たちのグループ名は何ですか?
DIALOGUE+(「ダ」イアローグ)です。
歌詞全体の最後の文字が彼女たちのグループ名に帰結します。

こんな歌詞、作詞能力は勿論グループ自体に相当な愛を持ってないと書けないだろと。

じゃあこの曲を作詞作曲したのは誰かと言うと、自分の敬愛するバンドUNISON SQUARE GARDENのベーシスト、田淵智也氏です。
本家ユニゾンもそうだけど、本当に田淵智也は曲提供の際は提供するアーティストと作品に誠実に向き合った曲を作る。
何ならアーティストのバックボーンや理念をめっちゃ理解して田淵智也なりにテーマソングを作ってしまう。

本当にすごいクリエイターだと思っています。
そして、次に紹介する曲はそんなユニゾンの曲です。


3.君はともだち / UNISON SQUARE GARDEN(2013)

4th Album「CIDER ROAD」収録

今年の8/24(火)東京ガーデンシアターにて、2014年に開催したアルバムツアーをそのままのセットリストで7年振りに再現するという内容のRevival Tour「CIDER ROAD」という公演を観てきました。

6分超えのバラード曲。
楽曲自体の発売は2013年なのですが、今回のリバイバルツアーで改めて聴いて自分の中で受け取り方が変わった曲です。

当時の自分は表題通りストレートな友情ソングだと解釈していて、もしかしたら作ったユニゾン本人もそれ以上の意味は無かったのかもだけど、今のコロナ禍、そこにおけるライブシーンに繋がりすぎる気がして。

この「ともだち」がライブに足を運ぶ観客、彼らの言葉で言う「物好き」に充てた曲のように感じてしまったのよね。思い上がりかもしれないけど。

昨今は様々な音楽フェスが中止になったり、メディアで問題として取り上げられてしまったり。音楽自体が不要不急なものとして扱われ、音楽をしようとするものは悪者に思われるような世の中で。
実際、この日ギターボーカルの斎藤宏介さんは上記のような事をMCで言っていました。

勿論観賞上ルールやマナー、感染対策は守られるべきで。
それを各音楽フェスでしなかった人がいるのは事実だろうし、それが事実として存在する以上悪い面がメディアに取り上げられてしまうことは仕方ないとは思っていて。
ただ、音楽ファン全体がルールを守らない存在、音楽そのものもまとめて悪者にされてしまうのは辛いなと感じていて。

その中でこの楽曲の歌詞にある
「何も知らないやつに君の事決めつけられてたまるか 」「見えないところで強く生きてる 気づいてるよ」だったり、
「君の名前を呼ぶよ 沢山の想い 刻み込まれた 他の誰でもない 君だけが持ってる宝物」
こういった歌詞が、音楽を大事にして生きている、いや、そうしないと生きていけない人々へのエールに感じてしまったのです。

その上で楽曲を締めるラスサビ終わりの
「僕だけが知ってる だから優しい声で、君はともだち」と斎藤さんが歌ってくれたこの一節に感極まりそうになりました。

この日、斎藤さんは「ライブをやることで人を傷つけてしまったり、絶対にやってはいけない状況になったらそれを押し切ってまでやらないけど、音楽が出来る状態であれば、ライブを見たい人がいつでも見れるように、様々な状況で会場にいま足を運べない人がいつでも戻ってこれるようにライブをやり続ける」と言っていました。

その気持ちに応えるために、自分達が観客としてやるべきことは、「ルールとマナーを守って」「誰かを傷つけないように行動する」。これに尽きるんじゃないかと。
それはコロナ禍であろうがそうでなかろうが不変のものだと思っていて、そこに感染対策としての「喋らない」「他者との距離を空ける」等が乗っかっただけで。

音楽を守って、そして止めないこと。そのために聴き手側もささやかではあっても努力を怠らないこと。改めてこの曲、そしてこの曲が演奏されたライブでそんなことを思ったのです。

あとがき

以上、語りたい3曲を紹介しました。

全体として、楽曲として素晴らしいのは勿論ですが制作者の凝った強いメッセージが詰まった曲を選んだ気がします。
勿論受け取り手はあくまで自分なので解釈はそれぞれですが。

上記にも書きましたが、
緊急事態宣言が空けたとはいえ、まだまだ音楽が悪者にされがちなこのご時世、音楽好きとしては肩身の狭い今日この頃ですが。

それでも、音楽が無いと死ぬ人は居て。
物理的にも、精神的にも。

スポーツ、演劇、飲食、etc…
それぞれ、大切なものが違うという話だけで、誰かにとっての不要不急は、また別の誰かにとって必要な物なのかも知れない。

昨日も、今日も、明日も、不要不急な音楽が最高です。

またどこかの記事で、好きな音楽を語りたいと思います。

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