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亡き母へ

「お母さん」
何年振りに貴方を呼んだのでしょう…。

貴方を亡くした
あの日からあの時から
貴方の事…
忘れたい一心で子供ながらに貴方の記憶を
消そうと必死で過ごして来ました

貴方が記憶にいたら
きっと
あたしは貴方がいない事を受け止めきれずに
貴方のあとを追いかけてた

貴方とおとーさんがいつものように
言い争いを始めた
あの日のあの時間あのやりとり…

悔しんだ 
悲しいんだ
 
貴方の事は必死に記憶から
消そうとして消えてたはず…

なのに事の始まりだった
貴方とおとーさんのヤリトリ…
消えてないんだ
撮っておいたビデオを見返すように
色付きでそのヤリトリが繰り返される
 
貴方が自分の意志で決めた最期の日から
今日で37年経ちますね

後悔してませんか…?
貴方の人生 楽しくて幸せでしたか…?

毎年5月9日が来ても記憶から消そうとしてたから
そちらにいる。おとーさん。おねぇちゃん。より
思い出すって事…なかったんだよね。 

去年の12月頃でしょうか
貴方のようにいなくなる予定でいました  

貴方がいなくなろうと決意した瞬間の気持ち
悔しすぎるし悲しすぎるんだけど
自分と重なったんだ 

同時にこんなに苦しく悲しくなって
この決意のまま呼吸が止まれば楽になるなら
楽になりたかった
その時のあたしがいました
   
貴方があたしに兄弟という宝物を
プレゼントしてくれましたよね…

あたしの名前を付けてくれたおねぇちゃん
あたしを見守り時には叱ってくれるおにぃちゃん

おねぇちゃんは何年か前の冬に
そちらにお引越して来ませんでしたか?

おにぃちゃんは、おとーさんに似たのでしょうか
あたしの幸せを願ってか
あたしが困った時には
必ず手を差し伸ばしてくれます

貴方とおとーさんの毎日の言い争いを
おにぃちゃんも子供ながらに見ていたから
深く傷ついてたんだと思う

じゃなかったら
兄の戸籍に入ってくれた唯一無二の人に
自分が間違ってなくても
俺が悪かった。 ごめん。って言うんだよ…。

言い争いを避けたいから
貴方のように言い争って勝手にいなくなって
欲しくないからなんだよ

同じ悪夢見たくないんだよ…

貴方におにぃちゃんとあたしの気持ち
わかりますか…?
 
自分の意志でいなくなった 
あたしの大嫌いな貴方にも思うんよ

どんな姿/カタチであっても生きていて欲しかった
生きていれば… 
いつか…
会えるでしょ


5/8    
貴方と状況は違えど…。
何 言っても伝わらない 
何を話しても否定する
とっくに分かり合えないのは諦めてた人だけど 
間違えてる考えだったり
価値観を否定すればイィのに

あたしの人格/存在さえ完全否定され
こんな想いしてまで生きる意味がわからなくなった

大切な存在のその人を
身勝手な選択で悲しませたくなかったから
あたしはブレーキ踏めたあたしがいた

貴方の脳裏は何もよぎる事なかったですか…?

貴方に生きていてほしかった気持ち
伝わりました?
 
後悔してますよね…?
貴方の人生  楽しくて幸せだったよって
言いきれますか…? 

あたし
貴方の子供で良かったと思ってる

貴方の子供で生まれて来たから
「悪い事してもイィ
好き勝手生きてもイィ
ただ…
お母さんと同じいなくなり方だけは頼む!
それだけは、本当に頼むから約束してくれよ」

って電話口で時々 鼻声になりながら
言ってくれた。
世界でたった1人のおにぃちゃんの妹になれた

大好きなおにぃちゃんの悲しい顔見たくないし
忘れられない人のそばにいたいし
こんなあたしを大切だって
言ってくれる人がいるから
逃げないよ

貴方が守れなかった 
おにぃちゃんはあたしに言葉のプレゼントで
あたしを守り続けてくれています

37年経っても貴方がいた事実は消えないまま

あたしを生んでくれてありがとう
 

 






 

 


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