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「意外と距離があったね…」 車社会で生きているらしい神崎が音を上げそうになったが、ふたり…
水上バスが桟橋に近付いていく。東京を象徴する赤と白の塔に、地方出身のふたりは歓声を上げる…
「神崎…さん?」 思わず、半疑問形で尋ねていた。 研修期間中ずっと見せていたクールな雰囲…
揺れる水面を足元に感じると、子供のように心が弾む。 研修最終日の移動手段は、水上バスだと…
「__さん」 彼の名を呟く。切なさが、どうしようもなくて。 枕に頭を預けて、いつものよう…
大都会の駅は広過ぎて、小さな街の片隅に息を潜めて暮らす自分には、英雄の脱出を拒むダンジョ…
お祭りに誘われたのが、嬉しかった。 メンツの中には、憧れのあの人もいる。 ちょっとでも可愛い格好をしなくちゃ。 でも、私はスタイルも悪いしTシャツも似合わない。そもそも洋服が似合わない。 そうだ、浴衣を着よう。 和服が似合うねって、よく褒めてもらえるもの。 母に尋ねてみたら、紺色に花柄の浴衣を箪笥から出してきてくれた。 亡くなったおばあちゃんが縫ったもので、ほとんど着てないんだって。 帯も、草履も箪笥の奥から見つけてもらった。 あとは、実際に着てみるだけ。 ああでも
地上にも星は流れる。 赤や白や黄色のランプが、溶かしたドロップスのように道路を流れる。揺…
うなじに焼き付いた魔法陣を、きみは髪をかきあげて太陽に晒す。 きみを呪う、小さな魔法陣。 …
闇に氷のつぶてをいっぱいに敷き詰めて、星空が生まれる。 ぼくはその星も空も好きだったし、…
きみがいなくなったとき、ぼくはほっとしたんだ。 きみが悪い人だったとぼくはあまり思ってい…
「春輔、風邪を引きますよ」 窓を思いっきり開けて雑踏を眺めている青年に、カウンターの奥か…
からん。扉が鳴る。 この界隈には時々足を運ぶけれど、こんな店があるとは今の今まで知らなか…