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りんごの勲章

りんごを皮むきが、最近になるまでずっと下手くそで、上手くできなかった。

小学生のころ、「りんごむき大会」みたいなのがあって、参加は自由だったけど、私も参加したいなと思って母に言った。

その頃の私は、りんごむきどころか、包丁も上手に持てなくて、ピーラー(皮むき)で人参やじゃがいもをむくにも、ものすごい大変だった。周りはいつ手をピーラーで切るのではないかとハラハラし、私は私で、皮と実の区別が(人参の場合)よくわからなくて、いつまでもむいちゃって、めちゃくちゃほっそい人参を作ったりした。

そんな私だったから、りんごむき大会は「やめときなさい」とすぐさま言われた。

私は負けず嫌いで、悔しがり。

やめときなさいと言われて、母のサインをもらえなくて、ものすごく悔しかった。悲しかった。自分が信じて貰えないという勘違いまでして、悔しがった。

たぶん、りんごのついでに手を切ったり、怪我をすることで周りに迷惑をかけるのを母は心配したのだと思うけど、その時はそこまで考えが至らず、悔しいばかり。

その後私は、りんごむき、梨むきに、燃えるようになった。

でも相変わらず、ずっと下手。

でこぼこのりんごと梨。手で長時間握りすぎたために、妙にあったかくなった果物。氷水につけて、みんなに食べてもらった。

思えば、私は上達とか、習得というもののスピードが遅い。りんごや梨をむくスピードも、最近でこそ1個3から5分くらいでむくようになったけど、最初は15分とか余裕でかかっていた。

今朝は、昨日スーパーで買ったりんごをむいた。りんごトーストにするためだ(りんごをむいて切り、シナモンシュガーをかけて焼く)。

りんごをむく度、ここまでくるのは長かったなぁ、と思う。でもつるんとしたりんごの背中を見て、剥がれたような薄い皮を見ると、ニヤニヤしてしまう。

何事も全て、というわけにはいかないけど、粘り勝ち、やりたい根性勝ちというものもある。

「りんごの勲章」と言うべきもの、かな。

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