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はいよ!

昨日と同じ、アーシュラ・K・ル=グウィン『文体の舵をとれ』を読んでの文章の練習。

「動きのある出来事」を書く

振り向きざまに「はいよ!」と返事をしたラーメン屋の店主は、右手にまさに茹で上がったばかりの麺が入った茹で切りざるを持っていた。カウンター席の私の顔に、遠心力でもってそのあっつあつの湯が降ってきた。火傷をするかと言われるとわからないが、痛みを感じるには十分な湯のかたまりがとんできて、「熱いやないか!」と咄嗟に悲鳴じみた方言がとび出た。新規のお客に愛想を振りまく前に、食事中のお客にも気を遣えと、湯が飛んできた驚きの次に、怒りが湧き出、先程まで感じていた感動のラーメンの味など、どうでも良くなる。店主は知らぬ顔で再び厨房に戻り、ラーメンを忙しく茹で、丼にもり、その隣にいる従業員がぱっと受け取った丼に、スープやチャーシューや具やと手際よく乗せていく。勢いで腰を上げた私だったが、店主が厨房に戻ったことで、その怒りの矛先を失い、目の端で気の毒そうにラーメンをすすりながら、ひっそりと私を見守る数人のサラリーマンたちに囲まれて、恥ずかしくなった。悪態をつくのも、なんだか大人気ないし、このまま再度座ってラーメンを食べるのも、嫌な心地だった。もやもやしたまま、結局私は「ご馳走様」と言って、カウンターを出てレジに向かった。ここで「釣りはとっておけ」などど言うほど、心は広くない。「はいよ! ありがとうございました」と再び店主は言い、「したー!」と威勢のいい従業員の声が追いかける。私がラーメンを残したことも、茹で湯がかかって不快な思いをしたことも、彼らはまるで知らぬふうだ。もはや一人相撲にも疲れた。私は脱力して、ラーメン代をお品書き通りの料金で払い、今日はなんて日だと、暖簾の外の曇り空を見上げて呟いた。


主人公が驚いたり、怒ったり、モヤモヤする話。
「動き」は、こういう意味じゃない?

今ひとつ、肝心な課題の意図が掴めていない気がする。。。

ネットの常識になりつつある、改行の使い方を思い切って無視しているため、大変読みづらい。

もうすわけない。。。


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