社会人になる。

今日から私は、社会人になる。夢の社会人だ。

社会人になって、当たり前にその辺の道を歩いていい人になりたい。

私の根底にある動機は多分これだ。

私の実家は田舎で、家に職もなく住んでいる人のことを、みんなよく知っている。なんでそこまで他人の家のことに詳しいのか、逆に知りたい。そして「良くわからん家」と、いい意味でも悪い意味でも言う。世間話にさえ毒が込められている、と思うのは、被害妄想的かもしれないけど。「働かざるもの食うべからず」なんて、その家の当事者達が思うことなのに、ご近所さんが、どう思う、どう話す、そんなことに敏感で、小さく小さく、悪いことをしているわけでもないのに、生きてきた。

「いい歳して、働きもせずに、ねえ？」

私が働けない理由なんて知らないし、興味もない人たちからの視線が怖くて、辛かった。

だからなんでもいいから、働く人になりたくて、「働いてるの！」と言えることが、すごく大事だった。

でも、現実は厳しい。

そもそも働けない理由があるから、働いていないわけで。家で資格の勉強をしたり、家でできる仕事をしてみたり。色々やってみたけど、思った就職や収入につながらなかったりして、もはやこれまで、と思ったりもした。

そんな時期が7年くらいあって、先月やっとやっと、就職先が決まった。

今は、色々あって、もう実家には住んでいない。でも地元に帰っても痛くも痒くもない！　と思えるのが、小さいながらも、とても誇らしいという事実がある。

多分、「あの歳になって新社会人って？」って噂されるけど、それはそれだ。

しかしながら、どうして働いていないだけで、あんなに肩身の狭い思いをしなければならないのか。家族にならともかく、ご近所さんに。考えれば考えるほど、変だ。

こんな話など、日本中どこに行ってもあるあるな感じがしないでもない。

社会的な信頼度は、働いていることとイコールなのか、と言うとそうでもないと思うのに。でもクレジットカードひとつ作れないとなると、やっぱり働いていないことは、だめなことなのかもしれない。

私は今まで働いても、1年続いたことがない。

今日から働くところが、続く保証もない。でも、頑張ろうと思う。
まずは、2ヶ月の試用期間の勤怠を守る。

そんな小さなこと、と言われようと、私は私。スモールステップでしか進めない自分を、応援する。

頑張れ、私。

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