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「かえるくん、東京を救う」を読んで


映画「めくらやなぎと眠る女」を観終わってから、真っ先に読んだ作品。かえるくんが可愛くて即ファンに。3回くらい小説を読み込んだ結果、片桐さんへ(片桐さんのような人へ)エールを送る作品だと感じた。

終盤での「ぼくは非かえるくんの世界を表象するものでもあるんです」という、かえるくんのセリフから、非かえるくん=片桐さん自身のことを示していると思う。(最後、かえるくんの身体から出た虫が片桐さん自身に戻っていく描写も、裏付けになっているだろう。)
かえるくんは、片桐さんをとても尊敬していて、片桐さんへの恩を軽んじている人はぶん殴ってやりたいという。片桐さんの心の奥底にしまっていたであろうセリフを、片桐さんに代わってかえるくんは語る。日々の自分の行いを賞賛してくれて、肯定してくれる誰かがいて欲しかった。そんな気持ちから、かえるくんが生まれたんだと思う。

ただ、かえるくんはみみずくんと闘って、東京を地震から救う一世一代の大仕事をしたにも関わらず、誰かから褒められることも、ましてやこの功績に気づかれることさえない。自分の日々の行いが他人の目に止まって、賞賛される機会など、ごく僅かだということに気づかされる。

だけどきっとそれでもいいのだ。
『かえるくん、がんばれ。大丈夫だ。君は勝てる。君は正しい』
このかえるくんのセリフは片桐さんが自分自身に送ったエールだろう。日頃の行いを賞賛してくれる誰かがいなくても、「かえるくん」はいつも見守ってくれて、味方でいてくれる。自分自身が「誰よりも」自分自身を好きでいる限り。

私にも「かえるくん」がついていると思って、明日からも仕事を頑張ろうと思う。

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