アメリカではじめての妊娠、そして稽留流産
※タイトルの通り今回は私が経験した流産についてのお話です。流産についての不安や悲しみのある方などは閲覧にご注意いただくようお願いします。
先日、初めてのウルトラサウンド(エコー検査)に行ってきました。
そこで、赤ちゃんの心拍の確認ができなかった為「Missed misscarriage(稽留流産)」であると診断されました。
流産についてこんなにすぐに記事が書けるなんて、心のない人だと思う方もいるかもしれません。
それでもこの経験について記事を書くと決めたのは、人それぞれ悲しみ方や向き合い方は違うし、私がこの経験をシェアすることによって「自分だけじゃない」とひとりでも多くの人に知ってほしいからです。
そしてもう一つの理由は、超初期の妊娠について記事を書いた時点で、この先どうなっても事実を書きつづけると決めていたからです。それに、書くことによってわたしも心の整理ができると思いました。
※これから先は少し細かい描写や状況も含めて書きます。もう一度お願いしますが、このような内容が苦手な方や、気分を悪くしてしまいそうな方は続き読むことをお控えください。
不安な気持ちで迎えたエコー検査日
アメリカでは初診が8週以降で、初めてのエコー検査は翌週か翌々週になるので、私は10週目にしてはじめてのエコー検査でした。
初めてのエコー検査というと普通は「早く赤ちゃんが見たい!」だったり「どれくらい大きくなっているんだろう」とワクワク、楽しみにされる方も多いかと思います。
しかし、私の気持ちは不安と心配ばかりでした。
理由は、最近になってひどくなるはずの悪阻の症状が最近ほとんど現れなくなったから。
あとは不思議なことに妊娠したという実感が消えたことです。
もちろんそんな不安を抱えながらもついにエコーが見れるという嬉しさはありました。楽しみにもしていました。
しかし、喜ぶのはまだ早いと心のなかで何故かいつも自分に言い聞かせるようにしていました。
そのせいもあって、周りへの報告は私の両親と一緒に妊活を頑張っている大学からの親友1人にしか知らせていませんでした。
はじめてのエコー
今回も引き続き、コロナ対策のため家族の付き添いが許可されておらず、診察へは私一人で行きました。
病院で受付を済ませると、しばらくしてエコーの部屋に呼ばれました。
お医者さんがエコーを見るまえに、赤ちゃんの成長について少し不安があることを告げました。
画面にわたしのお腹の中の様子が写り、先生がそれぞれの箇所の説明をしてくれました。
人生ではじめてのエコーだったので、どこに赤ちゃんが写っているのかも分からずにただただ先生の話を聞いていると
先生は赤ちゃんであろう影を指さして「本当に残念ですが心拍の確認ができません。」と言いました。
本当なら現在10週であるはずの赤ちゃんの成長は8週目で止まっていて、心拍数の確認もできないとのこと。
「やっぱりそうか。」と思うと同時に、画面に写った小さな豆のような影をみて、「これが赤ちゃんか」と今更自分が妊娠していたんだという実感が沸き、もう心拍数のない豆のような赤ちゃんをじっと見つめました。
涙は出てきませんでした。
だんだんと湧いてくる実感
先生と今後の予定を話すための部屋が空くまで、少し待つように言われたので、その間に旦那と母に連絡をしました。
二人ともすぐに返信がきて、私の心配をしてくれました。
待合室で周りを見渡すと、おなかの大きい妊婦さんたちがたくさん座っていて漠然と「すごいなぁ」と思いました。
あんなにお腹が大きくなるまで赤ちゃんを育てることができてすごいなぁ、と。
そうしているうちに、前回もお世話になったアジア人の看護師さんが私を呼びにきました。
待合室からすこし離れると「I'm so sorry. (本当に残念でしたね。)」と声をかけてくれました。
「I’m sorry.」という言葉をきくたびに、本当にいまお腹にいる赤ちゃんは育つことはないんだなと痛感しました。
看護師さんは、「これまでに激しい運動をした?」だったり「不正出血やお腹の痛みはあった?」などと次々に問診に必要な質問をしてきました。
質問以外の会話はないものの、私を気遣ってくれているのが声のトーンや喋り方で伝わりました。
問診が終わると、先生を待つまでの間に「何か飲み物とかいる?アップルジュースとか持ってこようか?」と気遣ってくれました。
悲しむ間もなく迫られる選択
すこし待っていると先生がやってきて、まずはじめに「本当に残念でしたね」と声をかけてくれました。
「何か聞きたいことはある?」と聞かれましたが、すぐには考える余裕がなくて「今は何も思いつかない」と答えました。
すると先生が「おなかに残っている赤ちゃんをどうやって外に出すか、方法を選ばないといけない」とわたしに説明を始めました。
どうやら私のおなかのなかにいる赤ちゃんはもう育つことがないけど、わたしの身体はまだ自分が妊娠していると思っているらしくて、次の妊娠の準備をするためにもいまおなかの中にいる赤ちゃんに出ていってもらわないといけないらしい。
そのための方法は3つあって
・手術で全て摘出する
・薬を使って排出を促す
・自然に排出されるのを待つ
手術と薬を使った方法については周りに経験者がいて、話を聞いたことがあったので私もそのどちらかの方法にしようかなと思いました。
先生は「いま急いで決めることじゃないし、家に帰ってからご主人とゆっくり話し合ってから決めてもいいのよ」と言ってくれましたが、旦那と相談しても結局最後に決めるのはわたし自身だし、悲しいけど少しでもはやく前向きに次のステップに進みたかったのでその場で決断することにしました。
手術のメリットは一日で確実に全摘できるけど、デメリットとして精神的にも身体的にも負担がかかるということ、子宮を傷つけるリスクがあるということで排出を促す薬を選びました。
薬はその場で処方してもらえるわけではなく、以前自分で病院に伝えておいた自宅の近くにある薬局に処方箋が送られるので、そこに自分で薬を取りに行くという仕組みです。
「こんな日にまたやることが増えたな。。」と内心思いながらも、旦那に「薬の方法に決めたから、仕事から帰ったら薬局についてきて」とその場で連絡しました。
今後の診察の予定
薬を摂取したあとは1週間後に病院に戻って確認するのだそう。
おなかの中に残っているものが全て排出されて、ホルモンバランスが整い、また生理がきたらいつでも妊活を再開させてOKだと教えてもらいました。
もし、薬を使っても全て排出されなかったらそのときは手術をすることになるという説明も受けました。
先生にきいたこと
一通りの説明をうけて、少し気持ち的にも整理がついてきたので
・また妊活に挑戦したいこと
・もしまた妊娠することができたら、生活で改善すべきことはあるか
・妊娠発覚前の飲酒と流産の関係
について聞きました。
以下はそれに対する先生の言葉です。
「今回起きてしまったことは何もあなたの行動が悪かったせいじゃないし、25%の確率で起きてしまうことなのよ。」(日本では15%といわれていますよね)
「今回の妊娠は、赤ちゃんにとって何かの組み合わせが悪かったり、今後うまく成長できない理由が見つかったりして、起きてしまったことなの。」
「あなたは残念ながら今回その25%に入ってしまったけど、もう一度妊娠することがあったら、そのときに同じことが起きる可能性はずっと低いわよ。」
「もし妊娠発覚前の飲酒で流産を引き起こしてしまうなら、初期流産の確率はずっと高くなっているわ。だから気付かないうちの飲酒は仕方ないことだし、それが流産に関係したとは思わないで。」
説明と励ましの言葉をかけてくれました。
ここでも先生の話を聞くだけで、涙が出てくることはありませんでした。
病院からの帰り道
病院を後にして、家への運転をはじめたときに突然「もうこの足で薬局にも行って、すべて終わらせてしまおう」という気持ちになりました。
グーグルマップの行き先を自宅から薬局へ変更して、薬局へ向かいました。
薬局を目の前にして赤信号を待っている間に、ふと涙が流れてきました。
エコーで映し出された豆のような赤ちゃんの姿を思い出して、さらに涙が止まらなくなりました。
エコー前から不安で仕方なかったけど、心のどこかでは悪阻が軽いだけで赤ちゃんは元気に成長しているんだと信じたかった自分の気持ちにも気づきました。
自分だけじゃない
今回、初期流産を経験して「自分がどれだけ子供がほしいと思っているか」に改めて気付くことができました。
わたしの周りには、私たち夫婦が妊活を始める前に同じ流産の経験をしてしまった人や、ずっと前から不妊治療に励む人たちがいて、その周りのみんながそれぞれの辛い経験をシェアしてくれていたおかげでわたしは今回「自分だけじゃない。」と思うことができました。
アメリカでは「 I’m 1 in 4」(わたしは4人のうちの1人)という言葉を使って、「あなたは一人じゃないよ。流産は妊婦さんの4人に1人は経験しているんだよ。」といって流産を経験した女性やそのパートナー同士で励ましあっています。
命を授かれること、そしてお母さんのおなかのなかで成長して赤ちゃんが生まれてくることは本当に奇跡です。
「もうこんな思いはしたくない」と、しばらく妊活をおやすみをする方も多いそうです。その気持ちもわかります。わたしも正直また流産してしまうのではないかという気持ちで怖いです。
ですが、わたしは自分たちの準備が整い次第ふたたび頑張りたいと思います。
Never in our arms, forever in our hearts.
最後に、わたしが見つけた言葉をシェアさせてください。
“Never in our arms, forever in our hearts.”
直訳すると、「私たちの腕の中にいることはないけど、いつまでも私たちの心の中にいるよ。」
わたし的な意訳だと、「わたし達があなたを抱っこすることは一度もできなかったけれど、一生わたし達の心の中で生き続けるよ。」といった感じの赤ちゃんへのメッセージです。
これを見た瞬間に胸がぶわぁーーっと熱くなりました。
今回、ほんのすこしの間でしたが人生ではじめて「母になる」という経験をさせてもらうことができました。
妊娠から流産を経て、たくさんのことを学ぶことができたし、わたしたち夫婦にとっても将来についてより真剣に考えるいいきっかけになりました。
残念ながら会うことはできなかったけれど、この小さな1人目の赤ちゃんによって私たち夫婦はたくさん成長することができたので、感謝の気持ちでいっぱいです。
おわりに
流産してしまったことは本当に残念で未だに悲しいですが、わたし自身の気持ちは驚くほど前向きです。
このような記事には賛否両論があるだろうし、それでも書こうと決意したのは最初にも書いた通り、わたし自身が周りの経験者の話を聞いていたおかげでとても救われたからです。
やっぱり、仲間がいることや同じ経験をした人の話を聞くほど心強いことってないと思うんです。
なので、これからはこれまで通りに恋愛や美容、そして海外生活についての記事の他にも、わたしの経験に基づいた「流産〜妊活の記録」という本来の予定とはすこし違ったテーマの記事も書いていこうと思います。
もともとは恋愛、美容、海外生活についてだと謳ってきた私のnoteですが、いくら私が前向きでいても、これまでの明るくて楽しい話題とはやっぱり異なるので苦手だったり、読みたくないと思われる方も多いかと思います。
そのような方は誠に勝手なお願いではありますが、よければいまのうちにフォローを外しておいてください。
わたしも、「せっかく自分のnoteを読んでくださっている方の苦手な内容の記事を書いているかもしれない」と思うととても申し訳ないので、どうぞよろしくお願いします。
こんなに長い記事を最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
この記事がすこしでも誰かの役に立つことができれば、光栄です。
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