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アメリカの高校の実情

いよいよクリスマスが近づいてきました。アメリカでもライトアップや飾り付けなどに本腰を入れていて、街中がいつも以上に活気で溢れています。そして今週が冬休み前最後の週であり、セメスター1(1学期)が終わる時期でもあります。
さて今回はアメリカの高校の実体を日本との違いを踏まえつつ、私の視点から綴りたいと思います。

①学校制度について

まず一般的にアメリカの高校は4年間あります。Freshman(中3), Sophomore(高1), Junior(高2), Senior(高3) に分かれており、私の学校では留学生は一律Junior(高2)です。
四学年が集まっているので、必然的に年齢層の幅も広く、人数も多くなります。ちなみに私の高校は合計で2500人以上いるマンモス校です。

②選択授業

アメリカの高校の良さの一つとして、自分の興味分野に応じて授業を選択することができるという点です。例えば将来消防士になりたい人の Firefighting class があったり、軍隊に入るために高校生のうちから訓練を受けることができるクラスがあったりなどなどバラエティーに富んだクラスから選ぶことができます。私は留学生には必修科目の U.S. History, U.S. Economy with Financial Literacy, Government, English に加え、セメスター1では Math, Keyboard, Career Design を取りました。数学について気になっている方もいるかと思いますが、日本よりも何倍も簡単です。なので私は学校のカウンセラーに数学のクラスをもっと上のレベルにしてほしいと何度かお願いしに行きました。その度に「また!?そんなに数学が簡単なの!?日本ってすごいんだね。」と言われたことが、今でも印象に残っています。
私の1番好きな授業は U.S. History です。今学期の最後に第一次世界大戦について学び、日本で習った内容とはまた少し違う角度から見れて興味深かったです。同じ歴史でも違う側面から多角的に見ることができるのはなかなかできない貴重な経験だと思います。またアメリカ史の授業では特に、日本からの交換留学生ということもあってよく意見を求められます。例えば「ポーツマス条約は日本にとって不公平な条約だったと思うか?」「移民法や日米紳士条約についてどのように考えるか?」などです。日本にいた頃はあまり考えたことのない質問が多く一瞬言葉に詰まりそうになりましたが、なんとか答えることができました。1月からは早速第二次世界大戦に入っていきます。授業は主にパソコンでテキストやビデオを参照しつつ、先生の講義を聞き、毎回の授業で与えられる課題をこなすという形です。講義は、日本のように一方的ではなく生徒と対話しながら双方向に授業を進めていきます。これはどの科目においても共通することです。日本の学校ではクラスで発言や質問しづらい雰囲気が少なからずあると思いますが、アメリカでは気軽にどんな些細なことでも発言したり質問したりして授業に貢献することが重視されています。

③試験・成績について

これは学校にもよるとは思いますが、日本のように中間試験や期末試験などの1発で成績が決まってしまうほどの大きいテストはありません。2週間に一回ほど小テストが行われますが、自分の思い通りに行かなければ Retake という希望制の追試を受けることができます。また Extra Credit といって何かプラスのワークを行うと、その分が点数に上乗せになる制度があります。(例えやらなくても減点されることはありません。)このように先生は成績を上げる機会を何度も与えてくれます。そうは言っても Extra Credit をやる人は本当に少なく、この間出された物では私ともう1人しかやっていませんでした笑。

④忠誠の誓い

全てのアメリカの学校はまず Pledge of Allegienceから始まります。これは朝の放送に合わせて起立をし、左胸に手を当て各教室に掲げられた国旗に向けアメリカへの忠誠を誓うことです。全員強制ではないものの、やっていない人は国に対して無礼で失礼だという認識にあたります。正直私はこれが良いことなのか疑問に思っています。日本の教育現場で「愛国心」を巡る議論が交わされていますよね。小さい頃から愛国心を教えることが果たして正当なことなのか引っ掛かりを感じていますが、文化の違いとして捉えていければなと思っています。

⑤セキュリティー対策

アメリカの高校で私がとても驚いたことの一つはセキュリティー対策です。
まずアメリカの全ての学校には拳銃を携帯している警察官が常駐しています。彼らはスクールポリスと呼ばれており、学校内でのトラブルの対応や抑止をします。スクールポリスは本当に必要不可欠な存在です。アメリカは銃社会な上、人種の違いから生徒同士の取っ組み合い・殴り合いの喧嘩が想像以上に頻繁に起こり、その度に彼らは仲裁をしています。これまでにあった例としてはランチタイムに白人の子が黒人の子に喧嘩を売り、そこから殴り合いに発展したケースです。また先月授業中に高校で爆破予告を受けた関係で、2時間半ほど教室から一歩も出ることができなかったこともありました。他にも沢山あり紹介しきれませんが、その度に人種問題や銃社会の現実を突きつけられています。
またベルが鳴ると各教室はオートロックで施錠され、外からは開けることができません。これも同じくセキュリティー対策をする為です。友達に日本はドアや窓を開けたまま授業を受けるという話をすると「ありえない!いつ何が起きるかわからないよ。」と言われました。
アメリカは学校でも万全のセキュリティー対策が備わっている状況に驚きを抱いたと同時に日本は平和ボケしてしまう程、とても安全な国なのだなと改めて気付かされました。

⑥タバコ、ベイプ

セキュリティー対策の他にも驚いたことは校内でタバコやベイプを吸っている人がいることです。勿論未成年でのタバコ・ベイプ・飲酒は法律により一切禁止されていますが、ランチタイムにトイレや酷い場合は授業中に先生から隠れて吸っていたり、廊下にベイプのゴミが落ちていたりなどの目を疑うような物を頻繁に目撃します。私が所属しているSWAT(若年層のタバコやベイプを禁止する為にアクションを起こすという部活)では年々タバコやベイプが簡単に手に入りやすくなっている問題を取り上げ、ポスターとして廊下に貼り出しましたが、正直収拾がつかない状況となっており、教員や警察は見て見ぬふりをしているように感じます。渡米してアメリカの良い一面だけでなく様々な社会問題を目の当たりにしていて、その都度深く考えさせられています。

⑦トイレ事情

日本では自分の所属するホームルームクラスがありますが、アメリカはありません。大学のように個々が選択した授業の担当教員の教室に毎時間移動します。私の学校では1限から6限まであり、それぞれ50分授業、時限の間は5分しかありません。一般的にアメリカの高校は迷路のように敷地が広く、クラスを移動するだけで休み時間が終わってしまうのでなかなかトイレには行けません。その為多くの生徒は各教室に支給されているホールパスというプラスチックのカード、または先生のサインが書かれた紙を持って授業中にトイレへ行きます。授業中に廊下へ出ることは禁止されている為、ホールパスという許可証無しではトイレに行くことはできません。更にホールパスを持って廊下へ出れるのは各教室1人ずつです。つまり、万が一予期せぬ腹痛が生じた場合でもホールパスを待たなくてはならないという状況が起こります(笑)緊急時でトイレに行くことができないことは不便だなと思っていますが、これも一つのセキュリティー対策だそうです。

私が感じている率直の感想

ここからは私がアメリカの高校に対して抱いている率直な感想を簡単に綴っていきたいと思います。アメリカの高校は日本の高校のように「暗記」重視のテストはほとんどなく、宿題の量もあまり多くありません。あくまで私の意見ですが、日本では高校生になると良い大学に入ることを目標に、大学受験に命をかけて勉強を沢山する風潮が少なからずあると思います。一方アメリカでは勉強が全てではなく、バイトや課外活動に重きが置かれているように感じます。例えばある大学の奨学金を得るためにはバイト、コミュニティーサービス(ボランティア)それぞれ何時間以上と義務付けられています。勉強の負担は日本と比べると何倍も少ないですが、課外活動はとても重要視されているのです。
また授業はとてもフランクで自由です。授業中にお菓子を食べるのは勿論のこと、カップラーメンを啜っている人までいたりイヤホンを片耳に付けたまま授業を受けている生徒も多いです。(カップラーメンなどは匂いが充満するのでそれだけはやめて欲しいです笑)アメリカの高校へ通い始めた頃は日本との違いに驚きを抱いたことが沢山ありましたが、約5ヶ月経った今は慣れ、アメリカの高校生活を大いに楽しんでいます!

長くなりましたが、アメリカの高校の実体について少しでも知って頂けたならとても嬉しいです!
あと留学も残り半分。多くのことを吸収し、1日1日を大切に過ごしていければなと思っています。

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