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日本の美意識

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日本の美意識、余白、に関して調べるために読んだ本
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#余白

日本の美意識 ~長谷川等伯「松林図屏風」より~

余白の美は、長谷川等伯の松林図、と暗記した気がする。等伯は南宋の牧谿の画に影響受けたらしいので、牧谿画の受容が室町時代だから、余白の美は桃山時代に意識化された美意識なのかな。

長谷川等伯「松林図屏風」

長谷川等伯が私淑した、南宋時代の牧谿の水墨画は、室町時代に茶掛けとして人気だったらしい。好んで日本に輸入された理由は、独特な霧の中のような表現が好まれたとか、死後中国での評価が下がったので輸入し

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日本の美意識 ~世阿弥『花鏡』より~

舞台上での余白の美を言語化したのは、世阿弥なのだろう。動作と動作の間(隙)がよいのだと。"見所の批判にいはく、「せぬところが面白き」などいふことあり。”『花鏡』

『世阿弥芸術論集』(校注者:田中裕、平成30年、新潮社)より以下引用

" 見所の批判にいはく、「せぬところが面白き」などいふことあり。これは、為手の秘するところの安心なり。
 まづ二曲をはじめとして、立ちはたらき・物まねの色々、ことご

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日本の美意識 ~散らし書き~

紙面上では、平安時代中頃の三色紙の和歌の散らし書きが、余白の美の源流なのかなあ。

「継色紙(つぎしきし)」(伝小野道風)・「寸松庵色紙(すんしょうあんしきし)」(伝紀貫之)・「升色紙(ますしきし)」(伝藤原行成)は三色紙とよばれ、平安時代中頃(11世紀後半頃)の名筆。
万葉集や古今和歌集など和歌を、散らし書きにしたもの。

「継色紙」
『万葉集』『古今和歌集』等の古歌を集めた未詳私撰集の写本断簡

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余白の美の源流

長谷川等伯「松林図屛風」

 漆塗り教室で「歴史的に見ると、中国の螺鈿は余白がなく貝が貼られているけど、日本の螺鈿は余白があり、黒く鏡面のように仕上げられる部分も美しいのです。」と話していたら、「日本の余白の美っていつからですか?」と質問を受けた。

「いつからだろう?」と即答できず、うーん、と考えてみた。
そして、余白の美は、安土桃山時代の長谷川等伯の松林図、と日本史で暗記した気がする、と思い出

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