デンマーク2日目
昨日夜遅くまで地図を読み込んでいたから、寝たのは1時過ぎだった。けれどすでに興奮していたのか、目覚めたら朝の7時だった。
ホテルの朝食はとっていないので、支度を済ませてすぐ外へ出た。平日の朝8時なのでちょうど通勤ラッシュの時間だ。
車もそこそこ通っているが、その脇の斜線が自転車専用レーンになっていて、かなりの数の自転車が通る。
スーツを着ているお兄さんも、タイトスカートを履いているお姉さんも、みんな自転車で通勤している。面白い。
40分くらい歩いてよさげなカフェに入った。
このカフェのトイレを使用したのだけれど、トイレの中の壁には落書きが書かれていた。それもかなり。
デンマークのドラマのRitaでも、学校のトイレの中に落書きはたくさんあって、その落書きを眺め、Ritaが面白がって追記するシーンがあったな。なんてことを思い出した。
背景の本棚の柄に合うように、書かれている落書きもあって、もしかして、この国の一部の人は、落書きはアートだと思っている? vandalism(ヴァンダリズム)の一種なのかも。
トイレの中に落書きがあったのはここだけでなく、街中の裏路地ぽいところや、美術館のトイレや、駅、地下鉄の窓ガラスにもかなり落書きがあった。
カフェを出て少し歩くとコペンハーゲンのCity Hallの広場についた。
まず目に入ったのが広場の中央にある噴水だ。なんか、なんか、とっても変だ。違和感がすごくある。これはいったい何の生き物なのか、どういうことなのか、噴水の周りをぐるっと一周してみたけれどわからない。
噴水の外側にはワンピースに出てくる悪魔の実みたいな植物が並んでいた。
このなんだかよくわからないものを町の中心地に置いてしまうというこの感じ、私が市長だったら許可できるだろうか。この噴水はすごく変だけど、この「変なもの」を受け入れる寛容さがこの国にはあるんだろう。さすがアンデルセンが生まれた町だ。
街を歩いていると、建物の装飾や、細かいところの装飾がほんとにかわいくて、感動する。
街歩きしているだけでとっても楽しくて気づいたら2時間ずっと歩いていた。
鳥がとまってこちらを見ているだけで、「ハロー」とでも声をかけたくなるような街の雰囲気である。なんだこの国。
今日の目的は美術館に行くこと。コペンハーゲンカードというカードで、公共交通機関や美術館、博物館などが無料もしくは割引付きで入れる。
ここにはコペンハーゲンカードを提示して、無料で入ることができた。貯蔵品は、宗教絵画や彫刻、デンマーク、ノルウェー、そのほかヨーロッパの絵画、一部現代アートもあった。かなり幅広い作品が展示されているので、キリストの絵とか興味のない私でもかなり楽しめた。
美術館では写真撮影がOKで、HPにはvery welcome to share photo plese hashtag us!とまで書いてある。新しい作品でなければ著作権が切れているのでアップロードOKみたいだ。
1836年の作品。2つのコントラスト要素がある。1つは、静かに輝いている月と、右下で走っている人。分かりやすい静と動のコントラスト。もう一つは、その月の光で照らされて落ちた人の影と、その一方でキラキラひかる波。光と影のコントラスト。手前から奥に向けて橋の幅や建物の大きさを変えてあって、奥行きもリアル。いい絵だなあ。
足元で嘆く母と死神の腕の中には小さな赤子が。死神が子供を連れて行こうとする場面だ。伝染病とかで子供が死んじゃったのかな。恐怖と悲しい気持ちでいっぱいになる。
一番印象に残った作品。とても大きい絵画で、4m×3mくらいあった。
本当にこの風景を見て描いたのか、想像で書いたのかは分からないけど、まるで今ここでこの風景を見ているような気にさせてくれる作品だった。
絵の右下に描かれている岩場の上に自分が立って、その目の前の風景を今見ているみたい。絵画から1.5mくらいの距離に立ってみるとドンピシャに絵の焦点が合う感じ。あまり詳しくないけど、こういう技法があった覚えがある。Greenlandの夜中の風景を見た経験はないけど、こんなに美しい瞬間がある国なんだなあ。絵ってすごい。
現代アートも面白い物がたくさんあった。著作権があるので載せられないけど。
やわらかそうなビニール製のソファの上に男性のマネキンが座っていて、その目の前に映像作品が流れている。これをこの男性のマネキンが見つめている。作品のタイトルはall retired fatherみたいな名前だった。笑ってしまった。うちの実家にもいるなあ、なんて。
あとは、いろんな種類の椅子が同じ向きで整列して並んでいる作品。作者の人が知り合いづてに、要らなくなった捨ててしまう椅子はないか?とたずねて、1つずつ時間をかけて、20脚くらい集めたらしい。オフィスチェアぽいものから、木製のダイニングチェアぽい椅子や、バルコニーに置かれるような布貼りの椅子。いろんな種類の椅子が20脚、4×5の行列を作って並んでいて、教室みたいになっていた。あ、この感じ、分かる。留学生が集まった教室ってこんな感じ。みんなどこかの集団の出身なんだよね。私は日本にいれば周りに馴染む見た目をしているけど、ヨーロッパにいるとアジア人だ、という見た目になる。
アートってすごい。言葉以上に色んなことを伝えてくる。
コペンハーゲンカードで入れる美術館はまだまだあるので、今日はこれからアルケン近代美術館へ行く。中心地から離れたところにあるので、電車にのる。
Silence Zoneというところがあったので入ってみた。静かにしたい人はこのZoneに入るのかな。日本の電車はそもそも静かだからこの発想はなかったな。
自転車を載せてる人も多くて、折り畳み自転車かと思いきや普通にママチャリとかも載せている。3人組の男女が楽しそうに話しながら、それぞれ自転車を運んでおりていった。
アルケン近代美術館の最寄り駅から美術館まで結構距離がある。徒歩30分か、バスで10分か。タイミングが悪く、次のバスが来るまで25分あるので、同じ時間なら歩くことにした。なんだか今日は歩いてばっかりだ。
ピクサーの世界から出てきたような赤い街灯が、駅から美術館までてんてんと立っている。
暑い中30分も歩いて、朝のサンドイッチ以降何も食べてなかったので、さすがにへとへとだ。中にカフェがあるので、今日はもうここで豪遊することにした。
入ってすぐカフェへ直行。
ランチセットとグラスワインを注文。欲望のままに、食べるぞ。
手前のサーモンはふわふわで、ホワイトソースも上品でめちゃくちゃおいしい。上にのってるハーブ(ディルかな?)も華やかな香りがして、とても合う。ほうれん草のキッシュも出来立てなのかあったかくてサクサクだった。
奥のチーズはパルミジャーノレッジャーノみたいな味がした。塩味は優しめで、パンとワインと良く合う。
海を眺めながら富豪ランチして、気分は最高だった。がんばって歩いたかいがあった。
一方で、こんな経験してしまったら、日本の美術館で同じ体験しても同じくらい、今と同じくらいまた感動できるか不安になった。なんか、生活水準ならぬ感動水準を上げてしまっているような気が。
食べ終わったらすぐに展示を見に行った。すべて現代アートだったので写真は載せれないけど、ここの作品もよかった。
デンマークにはクリスチャニアという政府が介入しない地域があるのだが、ここに関するアート作品があった。言葉にできないけど、私にはかなり刺激が強かった。
他にも、病室のベッドがたくさん並べられている空間アートがあった。ベッドの上に人はいなくて、おそらく、患者さんが亡くなって居なくなった後のベッドが並べられていた。忘れてはいけない記憶というのがテーマの、戦争に関する作品だった。
他にもAIは夢を見るか?というのがテーマの映像作品があったり、面白かった。一時期、草間彌生さんの作品も展示していたみたいでお土産コーナーには草間彌生に関するお土産も置いていた。あと、ジブリもあった。(ジブリは国立美術館のお土産コーナーにもいた。)
帰り道でホテルの鍵が無いことに気づき、かなり萎えてしまいその後の写真がない。
夜はホテルの自販機にあった日清のカップラーメンを食べて安く済ませた。ホテルにはサウナが付いてるので利用した。足の疲れがすっきりとれた。
今日はここまで。
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