「桜と仏像と私」

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“Isolation” Day5  @奈良県宇陀市


昨日は夕方から移動を開始。三重県の伊勢を目指すつもりであった。

 運転は順調だったが、まだ半分も進んでいないときに眠くなってきて、これでは駄目だと思い音楽を大音量でかけたのだが、これが良くなかった。

 テンションが上がるようにと、ちょっとトランス音楽っぽいのをかけたのだが、トンネルに入るとライトがヒュンヒュンと飛んでいく感じが音楽と相乗効果となり妙な感覚になってきて、分岐を間違えるし、ナビが喋ってるのが幻聴っぽく聞こえてくるし、諦めて途中のサービスエリアで眠ることに。


 朝起きると冷たい雨が降っており、ふと行き先を変えて、伊勢ではなく奈良に向かうことにした。向かったのは室生寺。土門拳の室生寺、最近で言えば三好和義の室生寺。そのイメージがあり、仏像を見てみたくなった。


 1000年以上の歴史を持つ境内は独特の雰囲気があり、何より、その仏像の数々に見入ってしまった。気温は随分と低かったが、長い時間をかけて仏像を眺めて過ごした。


 仏像の究極までの美しさを前にすると、僕には仏像は撮れないと思い知らされる気分になる。仏像を撮ることができるのは、究極なる純粋性を持ち合わせたものか、もしくは究極なる自己愛を持つものだけだろうと、なんとなく思い、中途半端な人間である僕には、カメラを持って仏像に対峙するのは無理かもしれないと思った。

 ということで、室生寺を離れて、桜を求めてふらふらと車を走らせた。

この地域には又兵衛桜と呼ばれる有名な桜の木があり、とりあえず向かったけれど、人が多かったので(例年に比べたらものすごく少ないらしいけれど)、明日の早朝に撮ることにして、その近くにある桜の木を探していくつか見て回った。

 写真は今日の最後に訪れた桜の木。

日が沈んでしばらくした後、誰もいない山の斜面で、桜の花が青白く輝いて見えた。桜は心の持ち方によって見え方が変わり、まるで仏像のようだと思いながら写真を撮った。

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