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伝わるスライドを作りたいなら、文字と図をとにかく減らせ【初心者向け】

最近色々な仕事の中で研究者や医師が作ったスライドを見る機会があります。そして、見た瞬間「情報量、多っ!!!」と思ってしまうこともしばしば

そういう時に限って、なかなか直球で指摘するのが難しいもの。なぜなら作った張本人は時間をかけて一生懸命資料づくりしたのはよく伝わってくるからです。

けれど残念ながら、スライドを作ることは手段であって目的ではありません。見せたい相手に伝わって初めて意味があるのです。そんなモヤモヤした思いを、今回はnoteに書き綴っておこうと思います。

前提:情報の受け皿は思っているよりずっと小さい

スライドを情報モリモリにしてしまう人は、デザインや見てくれの整え方をちゃんと知らないと思われがちなところがあります。でも大体それは違っていて、伝えたいことがいっぱいある、丁寧にもれなく伝えたいからこそスライドの情報量がどんどん増えていくという傾向が見られます。

そんな方にお伝えしたいことは、見ている側の受け皿は小さいということ。

何をどう捻っても、作った人と同等の情報量を相手に伝えることは不可能です。あなたがそこまで情報を得るのにかけた時間と、スライドを見せながら説明する相手に与えられた時間は全く釣り合わないからです。丁寧に作れば作るほど、あなたが本当に伝えたい情報はこぼれ落ちていく。まずこの前提を正しく認識しなければなりません。

しっかり伝えようとすればするほど伝わらない

まず「しっかり伝える」とは何かを見直す必要があります。

「しっかり伝える」ことは抜けや漏れがなく伝えることだと考える人がいます。気持ちはわかりますが、先ほど述べた前提で考えれば、伝えても受け手では必ず抜けや漏れが絶対に出ます。あなたがどんなに丁寧に全部説明しても、です。情報の受け手側に立って準備を進めなければなりません。

「しっかり伝える」というのは、伝えたいメッセージが確実に受け手に届くこと。それ以外の情報が踏み台や犠牲になっても、です。そのためには、伝えたいメッセージを目立たせ、それ以外と小さく見せる、もしくは思い切ってカットすることをお勧めします。

情報モリモリにしても受け取れない

情報の受け皿は思っているよりずっと小さい。この前提に立った時真っ先に改善すべきことは、情報量をできるだけ減らすことです。スライドのデザインなどに手を出す人がいますが、正直それは後回しでも良いです。まずは文字量を減らし、フォントサイズを大きくしましょう。備考や注釈は見てもらえないと考え、思い切ってバッサリ切ってしまいましょう(もちろんスライドを用いる文脈によっては必要なこともありますが)。

図があれば分かりやすいは幻想

情報量を減らす際に厄介な奴がいます。それは図です。

図があると分かりやすいと思っていませんか? どんな図かによっても多少異なりますが、図が分かりやすいのは幻想だと思った方が良いです。

イメージがあると分かりやすい。確かにそうなのですが、多くの場合、すでにある程度知識を持っている人が時間的・空間的な状況を理解する上では役に立つのですが、前提知識がない人にとってはまずどこを見たら良いのかすら分からないのです。

テキストに比べて、図の情報量は非常に大きいです。しかもそれがスライドごとにパッパと移り変わっても、見ている人はそれを追いきれません。図を使うのであれば、いざという時、それもとても重要で、丁寧に追加の説明ができるようにしなければなりません。「イメージが湧く」は決して万能ではないということを心に留めておきましょう。

改善:伝えたい情報を厳選せよ

ここからは、分かりやすいスライドへ変えていくための方法です。といっても、基本的には先に述べた前提を頭に入れた上で作っていくだけなので、そう難しいことではありません。

何度も言いますが、伝わるスライドはデザインの良いスライドのことではありません。デザインで解決できる点も多いことは確かなのですが、デザインを完成させるためには先ほどの前提を理解した上で編集できることが土台になっていることを忘れないでください。

綺麗なデザインを目指さなくても良い。文字と図を減らそう

スライド枚数は少ない方が良いですし、スライド1枚の中に入っている文字や図・写真も少ないに越したことはありません。基本は1スライド1トピック。本当にあなたが伝えたいメッセージだけを厳選させましょう。

それ以外の部分は「見せる」必要はありません。その代わり「話を聞かせる」方でカバーしましょう。伝わるスライドはあくまで手段でしかありません。綺麗なスライドを作ることに専念するくらいなら、聞き手を魅了する方法を練習した方がよほど役に立つでしょう。

ピクトグラムやアイコンを使うという手もアリ

先ほど「図は分かりやすいは幻想」という話を書きましたが、例外があります。それはピクトグラムです。例えばトイレのマーク、オリンピックの種目のマーク、街の表札など、色々なところで使われていて、見たことがない人はいないはず。

ピクトグラムは図の中でもメッセージを伝えるために極限まで情報量を減らした完成度の高い図です。老若男女、国籍問わず伝わります。もしテキストではなくピクトグラムで伝えることができるのであれば、代用してみても良いでしょう。

ピクトグラム以外にも、アイコンもわかりやすいです。フリー素材でも結構出回っています。いらすとやに頼らず、ピクトグラムやアイコンを使ってみるとスライドもしまって見えるでしょう。

おわりに:6割伝われば大成功

文字と図を減らせば、それだけでスライドで6割は伝えたい相手に重要な情報は伝わるようになると思います。

たった6割?と思われるかもしれませんね。

何度も言います。人が一度に受け取れる情報量には限りがあります。10割目指そうと思ったら、伝わるスライドをもっと研究する必要があります。

ただ、2割を6割にするのに要する努力は、6割を8割に要する努力をより圧倒的に簡単です。8割を10割にしようとしたら、上記二つの時間を足しても全く足りなくなります。

だからまずは6割伝わることを目指しましょう。シンプル イズ ベスト。情報量を減らせば、聞き手はあなたの話に集中できるようになります。

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