うろた

うろたと申します。 趣味は読書。ピアノと作曲を嗜みます

うろた

うろたと申します。 趣味は読書。ピアノと作曲を嗜みます

最近の記事

HOUSE OF GUCCI 鑑賞

2年前のリドスコ作品『HOUSE OF GUCCI』面白かった。 ※以下たぶんネタバレあり(実話だから関係ないか) 創業一族の間でお家騒動が起こり、3代目(孫の代)で経営が行き詰まる。 その最中、法律顧問として長くGUCCI家の金庫番を勤めていた男の乗っ取り戦略によって、アラブ系のファンドに株をすべて売却せざるを得なくなるという展開。 1921年(つまり第一次世界大戦の少し後)にフィレンツェで創業したGUCCIは、1993年には一族が経営から完全に撤退しているんですね。 こ

    • 映画「ナポレオン」と国民国家

      フランス革命が勃発して(1789/ナポレオン20歳)、1793年にマリー・アントワネットが大観衆の中でギロチン刑に処される。 その様子をナポレオンが遠巻きに見ているところから映画は始まります。 今作はナポレオンとその妻ジョセフィーヌの愛情物語として描かれていました。 エジプト遠征(1798)でカイロまで進駐した際、ナポレオンはジョセフィーヌの浮気の知らせを聞いて怒り、少数の部隊だけを引き連れてこっそり(英海軍の包囲網をすり抜けて)海を渡って本国に戻る。 いくらラブストー

      • 「アート」とか「アーティスト」という言葉について

        私はたまたま作曲ができるので、最近、アイドルの運営を始めようとしている。 地下アイドルの主な収入はチェキの売上だ。 大して原価がかからないのに、写真を撮るだけで¥1,000〜3,000くらいの支払いがあるので、利益率が極めて高い。 とはいえ、チェキでの収益にはある程度の限界があるので、もっとビジネスを大きくしていくためには、いずれ「アイドル」から「アーティスト」に成長させていかなければと思ったりしている。 ところで「アーティスト」とは何か。 ここでいうアーティストと

        • 『22世紀の民主主義』を読んで

          最近話題の学者さんが書いた本。 SNSの投稿、街中の監視カメラやセンサーなどから得られる膨大なデータ、これらを民意として吸い上げ、アルゴリズムに入力することで政策を決定しようという提案。 面白いことに、著者の研究によれば、2000年代以降、民主国家(日本・米国など)ほど経済成長が低迷。 先制国家(中国・シンガポール・東南アジア・中東・アフリカ)ほど成長が著しいという。 2000年代と言えば、SNSの普及と重なる。 民主国家には言論の自由があるから、SNSが流行るほど煽り

        HOUSE OF GUCCI 鑑賞

          『Winny』を読んで

          この本すごく面白かったから映画版も観たいけど、上映館数が少なすぎる。 2002年、高度なピュアP2Pネットワーク(管理サーバーの存在しないファイル共有サービス)を構築した技術者がいて、彼を7年間プログラミングから遠ざけた警察・検察・司法の問題点を浮き彫りに。 裁判(一審)でwinny開発者の金子勇氏は『違法ダウンロードを蔓延させる意図はなかった』と認められた(検察の訴えは退けられた)にもかかわらず有罪となるところが闇深い... その後、控訴して争うもプログラミングに携われ

          『Winny』を読んで

          追悼 坂本龍一

          YMOで最後に残るのが細野晴臣さんだとは思わなかった。 坂本さんの作品で1番最初に聴いたのは『コンピューターおばあちゃん』で、あれは一生耳に残るだろうなぁ。 物心ついた頃にあれ聴いたらインパクトデカすぎる。 アルバムはけっこう退屈なのであまり聴いた記憶がありません。 売上も低迷し続けていたから、『世界のサカモト』みたいに言われているのは個人的に少し違和感があります。 とはいえ、『戦メリ』はもちろん好きだし、『tong poo』のピアノヴァージョンはめちゃくちゃカッコいい

          追悼 坂本龍一

          『あのこは貴族』レビュー

          アマプラで視聴。久々にすごく面白かった。 東京生まれのお嬢様と、名門大学入学をきっかけに地方から上京したOLとの対比を描いた作品。 現代でも存在する見えない階級が描かれていて良いです。 お金持ちというと、ITベンチャーや投資で成り上がった人たちや、そこに群がる港区女子なんかがメディアでよく取り上げられるけど、本物の上流階級というのは、普段はあまり見かけません。 旧華族に属する家系とか、幕末や明治から続く豪商の家系なんかがその代表格ですが(いわゆる旧財閥系ですね)、その

          『あのこは貴族』レビュー

          元レンタル彼氏の体験談

          若い頃、女性とデートをすることによって報酬を得ていたことがある。 副業として週末に恋人代行サービスをやっていた。 この経験について話すと珍しがられるので、その思い出をここに書いてみたい。 少々長くなるが、興味を持たれた方は読んでいってください。 私はもともと社交性に富んだ人間ではなかったし、今でもそれは変わらない。 むしろ1人で過ごす時間を大切にするタイプであった。 しかし、異性からモテないかと言われれば、そうでもなかった。 コミュニケーション能力が高くないわりには、昔か

          元レンタル彼氏の体験談

          小松美羽さんの自伝的著作を読んだ感想

          「美しすぎる銅版画家」として有名な小松美羽さんの自伝的著作を読んだ。 先日、友人である画家さんから聞いて初めてその名を知り、「著作を読んでみてほしい」ということで本書を手に取ってみた。 『世界のなかで自分の役割を見つけること』(ダイヤモンド社/2018.3.8) 結論から言えば、本書は非常に面白い内容であった。 しかしそれは、彼女のアーティストとしての素性や世界観に触れて感銘を受けた、という意味ではない。 そうではなく、このアーティストがいかにして世に出たのかというプロ

          小松美羽さんの自伝的著作を読んだ感想

          現象学としての『モテ』 -欲望と幻惑の構造-

          はじめに前提として、「女好き」と「モテたがり」は似て非なるものであるということを述べておきます。 まず「女好き」ですが、彼らは女をものにすることで、男としての有能さを確認したい欲求を持っている。女を口説き落とすまでのプロセスが重要であり、ひとたびそれが達成されれば自尊心が満たされ、男らしさへの不安から解放される。 セックスという明確な達成目的があり、目的のために合理的に振る舞う。いわゆる"肉食"といわれるタイプで、多くの女と寝たことを誇るのはこの種の男です。    次に「

          現象学としての『モテ』 -欲望と幻惑の構造-