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メトロイドと自分

メトロイドと私 ~課長はなぜメトロイドに助けられたのか~

メトロイドという作品に出会ったのは中学生の頃だった。
ニンテンドーの据え置き機“Wii”の中で配信していたゲームソフト(というか今で言うアプリに近い)、「みんなのニンテンドーチャンネル」では、インターネットに接続して、ゲームの最新情報や紹介映像、テレビCMなどを無料で視聴できるというお得なソフトだった。
その中で公開されていたのが「ゲームセンターCX 有野の挑戦」シリーズで、よゐこの有野さんが課長として様々なレトロゲーに挑戦する人気番組の特別企画ものだった。FC,SFCの世代ではない自分はそれらのゲームに対して懐かしさなどは覚えなかったが、有野課長が四苦八苦しながらクリアを目指す姿を楽しませてもらっていた。

その中のひとつの企画にあったのが「スーパーメトロイド」だった。
メトロイドという作品自体は、その時までスマブラシリーズに参戦しているサムスというキャラクターの登場作品、という認識しかなかったし、他のレトロゲーと大して変わらない認識しかなかった。
企画は、有野課長のストーリークリア時間(ゲーム内概算)によって変化するエンディングで特定の演出を見る、というものであった。
結果的には目標の時間内にエンディングまで到達はできなかったものの、粘りに粘ってラスボス撃破を果たした感動は、少年の心を動かすには十分だった。

有野課長の挑戦はPart3の動画で結末を迎えたが、その後一本の動画が、シリーズとして投稿された。それが「メトロイドと私〜」である。動画内には有野課長は出て来ておらず、ラスボス戦の途中で流れた演出について、補足する思惑の映像で、これまでのサムスの戦いを振り返りながら、メトロイドとの因縁を解説してくれる。シリーズごとのストーリーを一本に纏めた、ある種総集編的な映像だった。初代メトロイドから、「Ⅱ」、そして「スーパーメトロイド」のラスボス戦までを当時のゲーム映像を使いながら、サムスの独白で語られるものだった。

映像で流れた「スーパーメトロイド」ラスボス戦の演出の内容はこうだ。
ラスボス、マザーブレインの強力なビームを喰らい瀕死となり、身動きが取れなくなるサムス。トドメと言わんばかりに再度ビームのパワーを貯めるマザーブレイン。ビームが放たれようとしたその時、突如巨大な浮遊生命体、メトロイドがマザーブレインに襲いかかる。

すると映像はここで切り替わる。
SFCの2Dドットから、美麗な3D映像に。
「なぜ私はまだ生きているのだ……?」
クリアなメトロイド、サムスの輝かしいパワードスーツ、涎をまき散らすマザーブレイン。すべてのグラフィックがWiiのスペックで生まれ変わる。

ビームを貯めていた分の生命エネルギーを吸収し、マザーブレインを戦闘不能に追いやるメトロイド。今度はあろうことか、その吸収したエネルギーをサムスに分け与え始めた。しかし巨大メトロイドの奇襲はマザーブレインを倒すには至っておらず、マザーはメトロイドに反撃を開始する。それでも身を挺してサムスを庇い、守り続けるメトロイド。

この巨大メトロイド、かつて「Ⅱ」でサムスがメトロイドの殲滅を目的に訪れた惑星で、卵から孵化し、生まれて初めて見たサムスを母親だと思い込んで懐いていたベビーメトロイドだったのだ。「スーパーメトロイド」冒頭で敵の宇宙海賊に奪われたベビーメトロイドは、生体改造の末、変わり果てた姿となっていた。それでもサムスのことを覚えていたベビーは、彼女を助けるためにマザーブレインを攻撃し、サムスを窮地から救ったのだ。
しかしマザーの攻撃を受け続けたベビーは、サムスにすべてのエネルギーを分け与えた後、悲痛な鳴き声と共にサムスの頭上で、砕け散った。

「マザー、今すぐ消えろ!」

ベビーメトロイドから受け取ったエネルギーをパワーに変換し、超強力なビームでマザーブレインを撃破するサムス。マザーブレインとメトロイドは、完全にこの世から消え去った……。
劇的な「スーパーメトロイド」のラスボス戦を3Dグラフィックで再現したのか、気合入った紹介だったな……。
と感嘆したのもつかの間、映像は美麗なグラフィックのまま、サムスの独白に切り替わる。
自身の宇宙船で航行中に救難信号を補足したとのこと。その信号を頼りに進路を変えるサムスの宇宙船。無意識的に信号の元へと向かうサムス・アラン。それはまた新たな戦いの始まりでもあったのだ……。







「METROID Other M」 2010年9月 発売予定

って宣伝かーーーーーーーい!!!

はい、当時は素直にワクワクしてましたけど、今思えば巧妙なマーケティングでしたね。実際小遣いはたいて買っちゃったし。自分にとって初のメトロイドはOtherMでした。その後、スーパーメトロイドもプレイし、GBAソフトである「メトロイド ゼロミッション」「メトロイド フュージョン」も中古屋を巡り入手しました。
特に「フュージョン」は難易度やストーリー的にちょどよい面白さで、自分にメトロイドの面白さを叩き込んでくれた作品でもある。「Other M」はサムスの内面や過去、そして「フュージョン」に登場するとあるキャラクターに焦点が当たっており、さらに世界観に浸らせてくれた。

こうしてメトロイド沼に着実と嵌っていった自分だったが、いかんせん日本での人気はいまひとつで、作られた作品は限られる。「プライム」シリーズや「フェデレーションフォース」など外伝作品がちらほら出る中、「Ⅱ」のリメイク作品である「メトロイド サムスリターンズ」が2017年に発売するものの、2Dメトロイドの完全新作はまったく音沙汰がなく、メトロイドファンは開発中といわれる「プライム4」を待つだけの日々が過ぎていた。




そして、来るべきあの日。
2021年6月16日、NintendoDirect E3 2021





「もう一つ、新たなメトロイドを皆さんにご紹介します」







METROID 5










「METROID DREAD」 2021年 10月8日 発売予定


……新作来ちゃったよ!!!

2Ⅾシリーズとしては19年ぶりの完全新作、「METROID DREAD」!!!
かつてタイトルだけは情報でちらっと聞いてたような気もするけど、まさか企画として生きていたとは微塵も思わなかった……!!

10年待った。どれほど待ったことか。
正直このままF-ZEROみたいに過去のハードが最新作のまま時を重ねてしまうのかと思っていた。かつての「OtherM」のように宣伝に力を入れる任天堂。過去作も余すことなく紹介し、サムス・アランとメトロイドとの因縁、そして戦いの歴史を公式サイトにて纏めてくれている。
任天堂公式 ⇒  https://www.nintendo.co.jp/switch/ayl8a/index.html

今作は「フュージョン」の後作ということで、その要素を多く含むようだ。
スーツはフュージョンスーツに告示し、宇宙船スターシップのデザインもフュージョンのもの、また寄生生命体「X」の登場を示唆するほか、優秀なAIが登場する説明も見受けられた。
また、サムスのルーツでもある鳥人族「チョウゾ」の歴史が深く関わってくるのか、紹介映像に見られる壁画や機械生命体は、彼らのものと思われるものが多数登場する。これまでも謎のままだった彼らの歴史はまた、「METROID」の作品に深く浸らせてくれるものだと期待が止まらない。

またタイトルにもある「DREAD(恐怖)」はかつて「X」に寄生され、死の淵をさまよった恐怖、その「X」が増殖し自身の擬態をした「SA-X」から逃げることしかできなかった恐怖など、銀河最強の戦士として活躍していたサムス・アランの中に初めて芽生えた、確固たる「恐怖」という感情が作品の中でどのような扱いをされるのか、想像が膨らむところである。

ファンにとっては楽しみでしかないメトロイド最新作。しかし我らが任天堂、「これが初めてのメトロイド!」という人のためのフォローも完璧である。先ほどの公式サイトの歴史紹介もそうだが、冒頭でも触れた動画、
自分のメトロイドすべての始まりでもある「ゲームセンターCX 有野の挑戦 スーパーメトロイド編」が再配信されている。対応が神過ぎないか???
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かつて自分がそうだったように、ぜひここからメトロイドにハマって欲しい。有野課長がヒーコラ言っている様をみて笑ってほしい。そしてあわよくば「スーパーメトロイド」に限らず、いずれかのシリーズ作品をやってみて欲しい。最後に、一緒に「METROID DREAD」の発売を楽しみで待ちきれなくなって欲しい。

この記事を読んでメトロイド沼に嵌る人が一人でも多くなれば幸いである。ハマれば嵌るほど、メトロイドの世界は面白みを増していく。世界観はもちろんだが、過去作はRTAなんかも盛んなので、純粋にゲームの腕に自信がある人も是非触れて欲しいシリーズになっている。
今回は詳しいストーリーなんかは紹介していないし、どの作品から始めればいいかもあえて言わないが、どの作品も十分に満足できるクオリティはあるはずだ(逆に合わない人はどの作品も合わないと思う)。そしてこの作品が知られることにも意味があると思うので、すでにメトロイド沼に嵌っている方は最新作をぜひほかの人にも進めて欲しい。

以上、メトロイドと自分でした。



最後に言うのもなんだが、メトロイド、オモロイド……という宣伝文句は正直どうかと思っている。

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