見出し画像

「責任」って、なんだっけ〜「できない」って言う責任もある

「社会人としての責任を〜」という言葉があちこちで飛び交う時期ですね。
札幌だけでみても、3分に1回くらいは言われてそうですね。
言っている方も、言われる方も、「責任」という言葉を辞書で引いたことはあるのかしら。
そういう私は、今はじめて引きました(というか、検索しました)。
さて、goo国語辞典さんは「責任」について、こうおっしゃっています。

1 立場上当然負わなければならない任務や義務。「引率者としての責任がある」「責任を果たす」
2 自分のした事の結果について責めを負うこと。特に、失敗や損失による責めを負うこと。「事故の責任をとる」「責任転嫁」
3 法律上の不利益または制裁を負わされること。特に、違法な行為をした者が法律上の制裁を受ける負担。主要なものに民事責任と刑事責任とがある。

一般的に「責任」と言われて思い浮かべるのは、やっぱり1でしょうか。
そして、1を全うできなかった時に2をしなければならないと考える。
怖いわー怒られるの怖いわー。

ところで。
この「責任」、goo国語辞典さんは「立場上当然負わなければならない任務や義務」とおっしゃっています。
「立場上」。
つまり、立場によって責任って変わってくる。
「社会人としての責任」と言っても、どの立場の社会人なのかによって責任の重さは変わってくるのだ。
だから、「新社会人としての責任」と「ベテラン社会人としての責任」は全く別のものだ。

私は大きな会社で働いたことがないので、もしかするとすごく偏った考えなのかもしれないけれど、私が思う「新社会人としての責任」は「とにかく約束を守ること」だ。
この「約束」の中には「社則」もあるし「コミュニティを円滑に回すための暗黙のルール」もある。
その中で一番の「約束」は「できるか、できないか」だと思う。
コピー取りでも、お茶汲みでも、資料作りでも(ブラック中小企業でしか働いたことがないので、新卒の仕事がイマイチわからない…)、「わかりました(=できます)」と答えた以上、きちんとやらなきゃいけない。

例えば「この資料、15時までにコピー30部とっておいて」と言われて、「わかりました」と答えたら、必ず15時までにコピーを30部とって渡さなければならない。
だって、お願いした人は15時からそのコピーを軽くチェックして15時30分の会議に持っていくだろうから。
だけどもし、それを言われたのが14時50分だったら。
そして、1台しかないコピー機を別の人が使っていて、急ぎで100枚印刷しているところだったら。
理由を含めて「できない」と言わなければならない。
ついでに「他にコピー機はありませんか?」とか、なんとか約束を果たしたい意志を見せると良いだろうけど、とりあえず「できない」と言えれば上出来だと思う。
それを「言い訳しないでとにかく15時までになんとかしろ!!」と言うような相手だったら、その人がお粗末なのだと思って良い。

そんなの当たり前のことじゃないかと思うかもしれないけれど、「できない」と言うっていうのは、ベテランさんでもできなかったりする。
「原稿、いつごろいただけそうですか?」と聞くと「今日中に送ります!」と言うのに、3日待っても来ない…とか。
原稿が今日中に来るなら明日の朝一で取りかかれるようにするし、3日後まで来ないなら他のことを先にやる。
私は早く欲しいのではなくて、もらえる日を知りたいのだ。
今日中に送れないなら、そう言えば良い。
仕事をしているんだから、みんなそれぞれ忙しい。
その中でみんなで調整するのだから、約束を守ってもらわないと何も始まらないのだ。

たとえ急いでいても「今日中にもらえますか?」と聞いて「どうしても今日中は無理なんですが、明日中なら…」と言われれば、なんとか考える。
そして、ちゃんと明日中に届けてもらえれば、約束が守られているから何も問題がない。
しかし、「今日中にはできない」というのが言えない人がいる。
そういう人は、なんの断りもなく約束の日をぶっとばし、数日後に「遅くなって申し訳ありません。実はお客様から原稿のOKが出なくてうにゃうにゃ…」みたいな文章と一緒に送ってくる。
一度約束してしまっても、無理だと思った時点で「お客様から原稿のOKが出ないから今日中に送れなさそう」と言ってくれれば約束を破らなくても良かったのに。

なんだか話があっちゃこっちゃ行ってしまったけれど、「責任を果たす」というのは「やりきる!」ということだけではない、ということ。
「できない」と言うことも、一つの責任であること。
私が新社会人と一緒に仕事をする時に一番考えていたのは、こんなことでした。


ところで。
「責めを任せる」と書く「責任」ですが、じゃぁ「責め」ってなんぞや。
goo国語辞典さんは、こうおっしゃっています。

1 精神的、肉体的に苦痛を与えてこらしめること。せめること。「責めを食う」
2 負わされた任務。責任。義務。「責めを果たす」
3 刀の鞘 (さや) 、扇子などの端からはめて留めるたがのような輪。
4 邦楽や舞踊で、終曲近くの高声になったり、急調子になったりする部分。
5 横笛で、強く吹いて高く鋭い音を出すこと。また、その音。

怖いわ!!!1が怖い!
でも、やっぱりイメージ的に「責任(責めを任せる)」の「責」は1だよね…。
たぶん、1の「精神的」って「信頼ガタ落ち」とかそういうことだと思うけど、「めっちゃ怒られる」って思っている人も多そう。
だから「責任を負う」とは「(できないかもしれないけどとにかく引き受けて、できなかったら)めちゃくちゃ怒られて責められることを覚悟して、それを受け入れること」だと思っちゃうのかな。
日本語って難しいなぁ(こんな社会人16年生になっちゃダメだよー)。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?