ヒンドゥー教の世界

2023/9/25

時刻6:00過ぎ。
定刻通りに無事、バラナシへ到着。

ユウ君、カイ君、そして夜行バス乗り場で出会った韓国人男性のチェジュンこと、ジュン君と4人で行動する。


それにしても、昨夜のバス乗車はどうなることかと思った。
まず、どこがバス停なのか分からないのだ。
街人に聞くが皆バラバラの返答で、全く見当がつかない。
結局、私達の前を通り過ぎるバス。
それを走って追いかけ、止めるという何とも原始的な方法で乗車。

1時間遅れで発車したバスは約10時間の運行後、意外にも定刻通りに着いた。


インドにもプロ根性というか
時間を守る意識があるんだ…


ともあれ、まずは朝食という事で私達4人は途中で知り合った現地人ガイドに連れられ、ビルの屋上にある食堂へ。

案内料を請求されるかと思いきや、そんな事もなくガイドは去っていった。

その場所は見晴らしが良く、ガンジス川の目の前にある。
バラナシに着いて早々に見る、聖なる川。
緩やかに流れ、川幅は1km以上あるだろうか、とても広く、そして噂通り茶色く濁っている。



タイで見た
メコン川と同じだな…



それが私の正直な感想だった。
だが夜からは川沿いで儀式も始まるらしいので、それに期待する事にして食事を済ませ、その後、私とユウ君は同じゲストハウスへ。
カイ君とジュン君はそれぞれ別の宿なので、ここで解散。
相変わらず出会っては別れての繰り返しだ。

『再会した時にまた、今日の事やその後の話をしながら乾杯したいなぁ』

と、その度に思う。


ユウ君と私はもう少し一緒の予定だ。
チェックインを済ませて同部屋で休憩した後、共にバラナシ市街を散策する事に。

街はイギリス統治時代を思わせるコロニアルな洋風建築が並び、そこに蔓延るゴミ、瓦礫、野犬、野猿、ヤギ、そして牛。
人は寝てる者もいれば物乞いや詐欺師、ボッタクリなど様々。
バイクやリキシャーも縦横無尽に走り回り、クラクションの嵐だ。
たしかに混沌という名に相応しい。

だが私達はそういった世界を既に見てきているので、各国の延長線といった風で淡々としている。

とはいえ、決して楽しく無いわけでは無い。
さしずめ
「へぇ〜、なるほど~」
といった具合だ。


まぁまぁまぁ、こんな感じか


そんな心境を一変させたのは、散策を始めてしばらくした頃。


火葬場だ


ガンジス川に面したその場所では
鮮やかな橙色の布に包まれた遺体が並べられ煙が立ち上っている

その傍で胡座をかいて座り込み
遺体をじっと見つめる男性



微動だにせず
ただ涙だけを流している



日本の様に棺桶も焼却炉も無く
布に包まれているとはいえ
姿形はハッキリしている



燃えゆく様に思わず声を失う


言葉にし難い心境だ


とても悲しくもあり

その一方で

人間という存在
そして生命の脆さを俯瞰させられる


その火葬場は数ヵ所に分かれており、身分に応じて場所が変わるのだという。

「インドにはカースト制度があるから」

と現地の人が教えてくれた。


もちろんカースト制度については知っていたが、実際はともかく、表向きは無くなったとされているのかと思いきや、包み隠す事無く今でもハッキリと根付いているようだ。



そして灰は聖地ガンジス川に流される
そうする事で「永遠に続く輪廻転生から離脱できる」と考えられているみたいだ。

その一方で、子供や交通事故死、自殺、蚊に刺されて亡くなった人達などは天寿を全う出来なかった者とされ、そのままガンジス川に流され“水葬”されるのだという。

火葬されるだけ恵まれているのだ。



時刻17:30。
私とユウ君はガンジス川を周遊するボートに乗った。

沐浴する人、体を洗う人、祈る人。

全てガンジス川に捧げる行為を水上から目の当たりにし、徐々に沈む夕陽と、土壁の建物に灯る明かりが、それを幻想的に映し出す。

やがて川辺で儀式が始まり、大勢の人々が両手を挙げ、手を合わせ、声を揃える。



それは“世界の底”とも称される街
バラナシで見た
これぞインドとも言うべき
紛れもないヒンドゥー教の世界だった




2023年3月から世界中を旅して周り、その時の出来事や感じた事を極力リアルタイムで綴っています。 なので今後どうなるかは私にもわかりません。 その様子を楽しんで頂けましたら幸いです。 サポートは旅の活動費にありがたく使用させて頂きます。 もし良ければ、宜しくお願いいたします。