小説風日記「アクセサリー買いに行く」
比叡山の麓からその路線は、まっすぐ七時の方向に延びていく。街へ繰り出すのには、この情緒溢れる叡山電鉄に揺られるのが常である。その小さな箱に何度も映画でみた女優が、乗りこんできたときは、流石に幾度となくその顔を私は盗みみた。移住先にと選んだ場所がこのあたりであることには、些末な驚きがあるのみだった。
ターミナル駅は、大学の集結する京都きっての学生街のため人通りが多い。京阪電車に乗り換えるには、絶え間なく移動する人の網を、私はくぐり抜ける必要があった。電車に乗り込むと、そこから