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「現代病」ルッキズムとどう向き合うか~女子大生編~

はじめまして、

私は裏表のないカメレオンといいまして、なにかタメになることを世の中に発信したくて、

探していたら、それはごく身近に、半経1メートル以内に、というよりむしろ自分自身の中にありました。

外見至上主義。

それは、タイトルにあるような、カッコ付けなんていずれなくなるのでは、

そう、首を傾げて、訝しんでみるくらいこのパンデミック後の日本で、それに対して私たちは猛追を許している。


1 ある女子大生の場合

それはいつから、私を支配するくらいにまで膨らんだのだろう。

いつから、現代の流行病にまで広がったのだろう。

そして私は、私たちは、これとどう向き合うべきなのだろう。

その言葉に出会ったのは、ある小説の解説を読んでいたとき。

(これは……そうだわ、これこそ、私が考えていたことだわ)

ただずっとそこにあった胸のモヤモヤが、突如、名前をつけられたような、そんな感覚。

インスタグラムを開いては、こみ上げてくるのは、劣等感とか、嫉妬とか、

そういう、薄汚れた感情ばかりだ。

だからこそ、それを言い当てられたときは、まるで、お医者さんに診断名をつけられたときみたいになった。

ずっと、胸にかかっていた霧が晴れたみたいだ。

その単語は、ひときわ異彩を放っていた。

「これで、ようやく楽になれるかしら」

本を閉じると、パタンと音がなった。

可奈子は講義中、ずっとなんだか上の空である。終盤にさしかかり、見かねた女学友に肩を小突かれる。

「どうしたの、今日、ずっとそんなだよ」

「そんな?」

「なんか、元気ない。せっかくの美貌が、台無しだよ」

と、笑いだしたが、べつに彼女は冗談を口にしたわけじゃないらしい。可奈子は、誰が見たって可愛い。

しかし、何時になくその表情は浮かない。

「このあとさ、暇?」

「なによ、本当にどうしたの?」

「河原町にあるカフェにいかない? じつはいま悩んでてさ、話聞いてほしい。お願い」

奢るという条件までだして付き合ってもらったのには、可奈子なりの理由があった。

さきほどウェイトレスの運んできたアイスコーヒーを、可奈子は神妙な面持ちで見下ろしていた。

「え、ちょっと整理させて……、つまり、その本を読んでルッキズムというのをはじめて知ったわけね」

そう口にする、女学友。

可奈子は、頷いた。

「それで、なんだか処方箋を貰った心持ちになったってわけ?」

こくり。もう一度首を縦に振る。

「そこよ! どうしてなの? どうしてその顔で容姿のことで悩んだりするのよ」

彼女は、信じられないというように両手をハの字に広げた。

「あんたのその顔は、どれだけ欲しくても、努力しても手に入らないものだわ」

彼女の言うことはもっとも。

たしかに恵まれた容姿で、男のひとの視線を一身に集めて。それが、まんざらでもなくて。なんてひとが隣にいて、あろうことか容姿で悩んでるとか言いはじめたら、それはもはや嫌味だ。

だから、その怒りはもっとも。

それでも、

「上には、上が、いるのよ」

そのとき、割って入ってきたウェイトレスが机に置いたのはパフェ。たしかこの店で一番、高価なやつだっけ。





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