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茶道具

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2023年1月の記事一覧

不思議な茶碗

不思議な茶碗

男性茶人の仲間内「焼き物数寄」が、
集まっています。年に一度各自が、
自慢の品を持ち寄ります。
いづれもクセモノばかりなので、珍品揃いです。

品物をじっくり拝見して、用途に応じて花を生ける・茶を点てる・などして楽しみます。
最近の会に出した、私の茶碗は誰も
解らない!楽しい状態。

先ず形態、特に風炉の足の様な(乳足)高台。唐津焼き風の絵付け。
ここでS47年刊「陶磁大系」の(高麗茶碗編)を見せ

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重宝

重宝

水屋に出してあった「一文字呉器」を、
持ち出した人がいました。
(何故これを使いますか?)「はい、旧暦の正月となりましたので」中々勉強家です。

(この茶碗の由来、覚えてはる?)「はい、信長と石山本願寺が停戦した時に、本願寺から信長へ贈られた品です」(えっじゃあ、本能寺で焼失してないの?)「いや誰か、臣下が拝領していたのでは・・」

大笑いして(逆ですよ、信長から本願寺へ贈られた品。現在西本願寺の

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珍説

京都弘法市へ出かけました。
露天で扱う茶道具は、およそ贋物です。それでも面白い品が多く、冷やかすのは楽しい程!

ある店で、梅が描かれた茶碗を見つけました。琳派らしい筆使いの花と、脇に「探鳥」の文字が。梅なので、鶯を探す洒落た趣向です。

店の主人が「兄ちゃん、その絵を描かはったのは、あの狩野探幽の子孫。
江戸中期の探鳥はんや」
吹き出してしまいそうでした。

参拝を終え帰路店を覗くと、まだ名碗は

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作物 サクモノ

百貨店美術部勤務の時、茶道具展示会が開かれました。京都の道具屋さん、
三店からの出品です。
前夜京都から手伝いの人が来て、荷物の開封・展示を始めました。

品物を見た私が思わず(流石京都のお店ですね!作物サクモノが、どれもお見事)と呟きました。
それを聞いた、某店主人が「君、良くその言葉を知ってるね!新入社員だと22歳?」(はい15歳から、お茶を学んで来ました)「いや中々、サクモノが分かるなんて良

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稽古初め

稽古初め

毎年「稽古初め」には、旧年中に買った品を加えます。点初め式は、例年同じ道具を使用してきました。

本年は「薄茶器」です。例に寄り珍品好きな私が、探し当てた品です。
胴は竹地に松葉の蒔絵、蓋に梅の文様。しかも紅梅の花芯部分は、金属が埋め込んであります。

いくつか松竹梅文様を、一つの器に
描き込んだ物は見ました。
これはかなり自慢できる薄茶器です。

若い頃は(一つの器に、松竹梅?!)と馬鹿にして使

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およばれ

毎年一月早々に「点初式」を催す、
友人からおよばれしました。
その昔山藤業躰先生から「お家元のみが、初釜です。一般では稽古初め・点初め・と言う様に」と教えて頂きました。

寄り付きに、昭和50年で卯年の扇を
飾られました。母上がお家元の初釜式で頂いた品とか!
床  松無古今色  花 曙椿、結び柳 花入 竹 大鶴首 香合 羽子板
釜 真形 無文 炉縁 大宗匠好末広船蒔絵 棚 高麗卓 水指 染付 芋頭

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別れ

仏教系大学を卒業して、本山に修行に
出る弟子の為一回を催します。
寂しい思いの中でも、炉開きの頃から
道具を考えて来ました。

寄り付きは、面白い物を思い付きました。本人が入門時に書いた「申し込み書」を、上等な色紙に貼りました。
本人の驚く顔が、楽しみです。

本席の掛け物は、さんざん悩みました。最終候補として「経切れ」「本山管長様の筆」「12代家元筆」の3つに、
絞りました。花入れは「旅枕」香合

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富士山

富士山

ともかく一年中、どの季節でも富士山を見るのが大好きです。
お山を見られる地域に住む幸せを、
感じています。

自宅周辺でも子供時代までは、
富士山が良く見えました。徐々に
建物が混んで来て、高い建物も増え
見えなくなりました。
ベランダから背伸びして、山頂が一割程度しか見えません。

新幹線はいつも山側、飛行機も計算して富士山の見える席を選びます。
富士山に因む茶道具も、軸・香合・薄茶器・茶碗・な

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歳寒三友

歳寒三友

御題に因みて
正月の七日間は、例年 松・竹・梅・
の茶碗を出して置き一服。
朝・昼・晩・と順番を変えて楽しみます。昔は三碗共に、デーハな仁清調ばかりでした。
それから少しずつ進歩して、乾山写し松、仁清写し竹、唐津の梅が本年分。

若い頃はキチンと、略盆の構えで鉄瓶・薄茶器も出していました。
が年が寄り簡略に、ポットのお湯で即点てるにー

三碗の中でも竹は、まだ習いたての高校一年生で買った思い出の品

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