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2024年のうた (七月)

2024年のうた

七月

すべて忘れてしまいたくはないけれどすべて覚えていたくもない

またなにもかも無意味だとおもうところからはじまる雨の文月

七月一日、雨が降ったり止んだり、蒸し暑い、とても疲れた。

中に中身はちっとも入ってなくてすぐそこに底が見えている

曇天で雨も時折降ってきて気温は夏日で湿度地獄

つりあわぬ重さのせいで宙ぶらりんになった言葉のいきちがい

ひとつずつ消去法で消された言葉が別のところでよみがえる

何かやろうと思っても自分で自分の邪魔をして出来ずじまい

遠く遥か未来の世界に何度でも蘇る翡翠の仮面

この世界がくるっているのかわたしの方がくるってしまったのか

間違ってしまった道をどこまでも間違ったまま歩き続ける

何かいいことあるようにお願いすると何もいいこと起こらない

草の緑の葉のしたの地面で黄色く色づく落ちた梅の実

乾いてたのでたたんでまるめとめておく草臥れたビニールの傘

常夏の島の空気がぐずぐずに崩れて溶けるレーヨンフーラ

去年の酷暑への復讐なのかつぎつぎ若葉を芽ぐむがじゅまる

かんたんにもう二度と這い上がってこれないところまで落ちてしまう

だれの役にも立たないものは存在をする価値もないというのか

もう夢を見てられる時代じゃないと時代がわたしを責め苛む

たくさんのパレスチナの旗がはためくグラストンベリーのランクム

小さな青い鳥らしきものがすうっと目の前を横切ってった

狂ったように延々とひたすらにシスターレイを演ってください

東から風がふいて郷愁のしらべをはこび西風とうたう

物干し竿の上じっと動かず蜂も羽根を休める蒸し暑さ

願い事を書くとしたらわたしも「投票率があがりますように」

アルプスをきく早く風が吹いて雷が轟いてほしくなる

探しても結局なにも見つからず虚しさだけがのこる真夜中

昨晩のおかずののこりチンをして送風機の目の前で食す

まだ梅雨明けもしていないのに連日の猛暑日で溶ける文月

炎天下なまぬるい風につやつやした雑草の葉がゆれている

新しい葉を出しまくるがじゅまるが次は茎から根を出しまくる

今日も暑さが厳しくて寿命の蝋燭が溶けてなくなってゆく

かなたから言葉がはなつかすかなかすかな重力波を検知する

もう十分だと言うこともないし諦めることすら考えない

奥底に沈みきってた感覚が噴き上がり溢れ出そうになる

口から溢れ出そうになるけれどなかなか言葉にならない思い

急にくずれる梅雨の空もやもやとアーサーラッセルの歌う声

雷と五時のチャイムがなり大粒の雨がふりだし蛙なく

ここまですべてなにもかもめちゃくちゃでどこをどうすりゃまともになるの

ぼんやり見える光がわたしを明日まで連れて行ってくれたなら

雀はなにか喋ってる人は寝汗をかいている七夕の朝

大昔から畑でしかなかった場所になにかが建とうとしてる

ずっと窓から見えていたアパートの常夜灯がもう見えなくなる

灼熱の炎天下に干されている布団がとても不憫でならぬ

まったく働き者ではないけれど働き者と短歌をきいた

時間があっという間に過ぎるから仕事しながら口笛を吹こう

ガス抜きし魑魅魍魎が跋扈して時間がきたらまたもとどおり

言葉が言葉になる前に猛暑で思考の波がぐにゃぐにゃになる

彦星が胞衣をあらえば明神の紋うらをかえせば氏子中

朝六時汗だくになって一時間ごとに目がさめる熱帯夜

ちょうどいい新しさのためのポピュリズムというちょうどいい革命

なんとなく力が抜けて抜けたまま戻ってこないので抜けたまま

本当におなじ人間なのだろうか言葉がつうじる気がしない

座ってるだけでじっとり汗をかくなかなかきいてこないエアコン

夕方の西日をうけてくっきりと梅雨明け前の高き積雲

負けいくさもはや進退きわまれり尾羽打ち枯らしそのときを待つ

のびをして関節がぼきぼきとなるそのうち折れてぼろぼろになる

負けいくさもはや進退きわまれりひとり歌詠みそのときを待つ

少しずつ毎日読んでまた折り返し最初から読む愛読書

むしむし暑い曇り空なむなむと鳴くカエル四万六千日

あまり人目につかないとこからさらに見えないとこへ沈んでゆく

このままずっとどこまでも沈んでいってしまうのだろうひっそりと

心のなかにたまったにごりを洗い流してくよなブルックナー

空気が澄んだところまで舞いあがる一番高い空のうえまで

体のなかをかけめぐる血液を二十八度に設定したい

あきらかに袋小路のなかにいて胸も頭もつかえっぱなし

なにもかも自分のせいで落ちこんで吐きそうなほど気分がわるい

前もっていろんなことをあれこれと考えすぎてなにもできない

リュックのなかの四リットルのお茶が揺れ自転車をゆらゆらと漕ぐ

見ためにはなにか調子がいいように見えてもそれは見えるとこだけ

世の中金じゃない人の価値はそこではきまらないって聞いたので

がたがたと綱を引かれて太陽の馬車が宇宙を揺らして駆ける

連日の株価史上最高値といわれてももうなんのことやら

曇り空むわっとむした昼さがりだらりだらりと汗がふきだす

湿度だけ異様に高いぱらぱらと雨は時おり降るだけなのに

どの音もそれなりに出てはいるけどそれがちっとも響きあわない

言葉だけどこか遠くの知らない町に羽根もないのに飛んでゆく

起きているけどまだ夢の中にいて何度起きてもまだ夢の中

かんたんに何とかなると思えたり思えなくなったり繰りかえす

何とかしようと思っているのに何ともならないことばかりする

分厚い雲におおわれて日はささずじめじめしてるまるでわたしだ

急に強まる雨足がまるで叱責するかのように降りかかる

なんかみんなで電車にのってどこかの海か山にいきたい気分

今年の夏もどこへも行かずなにもせず終わってゆくのだろうけど

とりあえずひとまずちょっと除湿だけ全体的にお願いします

ほとんどとまっているように見えてても物語はゆっくりすすむ

あちらでは騒ぎになっていることもここにはなにも聞こえてこない

悪人が悪事をはたらく夢を見たわたしの出番はゼロだった

なにかが見えないところでじわじわとその生息域をひろげてく

身体をまるめちぢこまり見えないくらい小さな穴にはまりこむ

ごろごろと見捨てられてしまった言葉がどこまでも転がってゆく

なにもかもいやになるほど現実はわけのわからぬことばかりなり

真なるものは美しく善は栄え悪は滅びると思いたい

ボールペンで書く文字がかすれてうすく少し不安な気分になる

猛烈に高い湿度が確実に何かをヒトから奪ってゆく

なにもしていなくても息が苦しい足先が冷たくなっている

霧雨の降る梅雨空にじりじりとしびれをきらす蝉の鳴き声

もとからとてもいびつだったものがさらにいびつになったというだけ

いっぺんに景色をその土台からして生まれ変わらせるようなこと

直視できない現実を歴史的瞬間として突きつけられる

どこに向かって歩いているのかまたなにも見えなくなってしまった

ちょっと足りないだけならば今からでも何とかなるかもしれないが

もはやなんの使い途もなくなって存在してる価値なんてない

わたしには生存のため能力が著しく欠如している

起伏がなくなってしまうくらいにゆるやかにどこまでもゆったりと

もはや死んだも同然で誰からも見えないものになりはてている

打ちひしがれてもうこんなものしかでてこないけれどまだ死んでない

風邪ひきそうでたぐりよせた毛布にくるまる文月の雨の朝

気温が二十五度でもこんなに湿度が高いんだから蒸し暑い

蹴散らされ踏みにじられて潰えていったたくさんの思いと言葉

それでもなおもゆらりゆらりと暗い底から湧いてでてくる言葉

誰もいない野っ原にひとり取り残されているような心持ち

なんでこんなにつまらぬことで悩んだり死んだりしなきゃならないの

真夜中にひっそり小さくアリソンスタットンの声を聴いている

もってるかもってないかで見えてる世界の景色は大きく違う

ひとりではなにもできないものなのでいつもひとりでぼんやりしてる

頭のなかから引き出してくる言葉に黴がはえてしまっている

夜の空気が一瞬青白くなる遠くでごろごろ鳴っている

無駄に頭を悩ませて無駄に歌を詠んだりしてて御免なさい

何かもうすべて終わった後のよう何もまだ始まってないのに

久々に晴れ送風機から送られてくる風にぬるさ感じる

梅雨があけようやく晴れて日がさしてあとは湿度をなんとかしてよ

毛先から汗がぽたぽた滴ってスマホもろくに見ていられない

梅雨があけ日傘をさしてそこだけの日陰のなかをうごく人々

梅雨明けの日の薄雲の向こうのぼんやり明るい十二夜の月

ちょっとした予期せぬ動作が引き起こすとどまることなき負の連鎖

目をとじて明るく暗い裏側で霞んできえる文字おいかける

世界から逃げているのか生きてゆくということから逃げているのか

二〇一三年七月三日のテイラーデュプリーを聴いている

まるでさめない夢を見ているようにすべてが遠くすべてが薄い

なにひとつ手にすることもできぬまま時間だけが無駄にすぎてゆく

いつものように超低空飛行で今日という日をのりきりました

昨日今日明日明後日明明後日暑い日ばかりつづく憂鬱

雷が鳴り日が翳り慌ててなにか相談してる鳥の声

新鮮な水が内部に流れ込み満たされる夢スエニョラティーノ

鳥たちは雨雲さえも干上がってしまう暑さと知っていたのか

半分腐っているのか半分死んでいるのかのどちらかである

落ち着きもなく乱暴で性急なまでに終末を欲している

生きていても意味がない死んだってなんの意味もないのはかわらない

朝からひどい暑さの一日の駄目押しのような激しい雷雨

そのうちに何とかなると思いつつわたしは嘘ばかりついている

何だかすこし酸っぱいような気もしたけれどたぶん気のせいだろう

どこかでなにか間違ってしまったのだろうけれどもう後の祭り

気が抜けてゆきすかすかになってゆくわたしの中のわたしの言葉

誰のせいでもないのだけれど誰かのせいにしたくなるほど暑い

全部みな誰のせいでもないのですわたしにすべて責任がある

もうどこに向かっているのかわからないさがしても見つからない場所

流れるままに流しっぱなしのバシンスキの水の音楽その二

空が青いやわらかに青い青ければ青いほどとてもかなしい

ユーモアをもっとそこらにユーモアを地雷のように仕掛けよゲリラ

大暑の午後に邪悪な色の雨雲があちらこちらに現れる

雷雨の夜に入った風呂で両の手で臍をおさえた幼き日

なにをやってもまるでダメどうすりゃいいの今日も明日も明後日も

朝からとても蒸し暑くよけいうるさく聞こえる尾長の鳴く声

光と熱のかたまりが頭のうえで膨張し破裂している

がしゃがしゃとペットボトルをリサイクル日射しまぶしく照りつけるした

日のあたるところにあるものがすべてとてつもなく熱くなっている

トランプを出して引っこめまた出してちっとも前に進んでゆかぬ

今この時代にパティスミスがピープルハヴザパワーを歌う意味

どうすれば何か希望がもてるのかこのままここで朽ち果てるのか

細やかに音程変化くりかえしつつ蝉が奏でる持続音

空が暗くなり風が吹き出す嵐が来ると尾長が告げている

曖昧な漠然とした情報にただ振り回される夢を見た

窓から見える近くの家や建物が夏の暑さに耐えている

窓から見える近くの家や建物がゲリラ豪雨に耐えている

明日が来るのがそれほど待ち遠しくはない毎日を過ごしてる

三十八年前に渋谷ライヴインに響いたニコの歌声

はあ「実感なき株高の謎」ですかとなる一文無しのわたし

さめにけり汗びっしょりで六時半まとわりついてくる熱帯夜

午前中気温三十三度をすずしく感じる感覚の麻痺

朝方に鳴いてた蝉も真昼になると命惜しんで押し黙る

ようやく冬の掛け布団を圧縮する三ヶ月後蘇生させる

あのころ一晩中ぱきんぱきん指鳴らす音が轟いていた

自信もないお金もない力もない中味もさっぱりありゃしない

わたしがかつてしていたように愛することをわたしは望んでいる

そこに語られることなき道がある語られるときもう道はない

顎のしたに黒子がある前からあったのか新しくできたのか

青空にうすくひろがる雲のした黒い機影とプロペラの音

猛烈な暑さの午後にまた空の彼方で雷の音がする

今ここでみなさんと同じ時代を生きていますとお伝えしたい

自分の目では見ることのできぬ自分をどうすれば直視できるか

なにも難しいことではないはずのものなのだろうけど難しい

みんなが気にしているものを気にしない気にしないものを気にしてる

午後三時半ようやくここまで涼しい風が届きはじめました

頭皮はずっと湿ったままで腕を上げると酸っぱい匂いがする

もう半分ぐらい死んでいるのに汗のにおいを気にしてたりする

夢のなか今のままでいいのかと今はもういない人に問われる

すべてのデータをかき集めわたしの升目へ流し込んでください

マンオンザムーンのマイクミルズのコーラスを聴くだけでぐっとくる

となりあいつづいているのにバランスがとれていない歪んだからだ

じゅうぶんに愚かで取るに足らないものであることぐらいしってるし

風もなく木の葉も揺れず鳥も蝉も鳴かぬ気温三十六度

夕方に疲労がどっと押し寄せる明日は今日より暑いらしい

漠然としているようでしていないもやもやみつる大きな不安

明日はきっといいことが何かひとつでもいいのでありますように

エアコンのたすけがなくば睡眠すらも満足にとれなくなりぬ

レンチンの時間が足らずぬるいおかずも暑い夏にはちょうどよい

強い日ざしがてる酷暑ふきぬけてゆく熱い風ほとんど砂漠

近ごろはここいらあたりにゃ近くを通りかかる人もいやしない

「がんばったけどだめだった」っていうタイミングはどこだったのだろう

きけばきくほど耳になじんでまるで童謡みたいにきこえる歌

浄土より一歩先んじこの世でも他力をあてに生きてゆきたい

陽光を雲が遮りどんより薄暗くスウィッチが入らない

風に吹かれふるふると揺れている木の葉もうすぐ七月も終わる

クラフトワークをファンキーだと思うならあんたの耳はファンキーだ

もう十分にわかっているんだけどわかっていても何もできない

何の役にも立ちそうにないもばかり書いている文月の末

わたしはこの人生を信じているだからもっともっと生きさせて

なんとか少し巻き返したくなりサンラを聴いてる七月晦日

静かにすうっとかなりの速度で後退し世界から遠ざかる

日が翳ると少し風が心地よいまた照りだすと熱風になる

そこにレールがあろうがなかろうがわたしは何度も轢き殺される

連日の異常な暑さとちっともうまく折り合いをつけられない

おもしろきこともなき世をおもしろくするもしないも自己責任で

薄暗くなり真っ暗になり何も見えなくなり七月が終わる

何者でもなくて何処にもいないわたしがわたしを思い出せない

わたしは復活であり命である信ぜぬものも死んでも生きる

いつだって不確実性を反映して真実が拒絶されてく

丘のうえ吹き抜けてく風のなか半月と歩く黄金の路

夜の形が近づいて降る雨はわたしを隠すドアの後ろに

愚かなものが去ってゆき見えるのは焼け野原と化した世界だけ

薄紅の冬の朝焼け手の甲にやさしく降りる鳩の羽根

絵画のように見える人まるでジャクソンポロックのナンバーファイヴ

最も傷が深まると孤独でももはやなんにも感じなくなる

川の水飛沫がかかる岩山を足跡のこさぬように登る

黒い天使が空高く飛び立ってゆき雨粒の涙を流す

光がわたしの周りを取り囲む一〇〇マイル離れた丘の上

立ち上がりダマスカスまで行きなさいそこであなたは解放される

お互いに傷つけて縫いつけられてしまったように戦争をする

ガラス製のエリザベス月と星の明かりの下を白馬が翔る

上がったものは必ず下がる足音立てて塵になり石になる

土星の輪が何でできていようがわたしはわたしを変えたりしない

鈍いきみにはショットガンと袋だけでは猿を捕まえられない

何の疑念も抱かせず時間を奪い去ってゆき空虚で満たす

得たもので出来得ることを伝えられればわたしはもう満足です

これまでにあったすべてとこれからのすべてのことの間をうごく

約束は約束だから教えてほしい今度のことの言い訳を

わたしだけ置き去りにして飛沫を浴びせ葉っぱの船が船出する

たった一〇パーセントでもなんにもないというわけじゃないのはたしか

大地は眠り空を舞う音も立てずに羽毛のように軽やかに

ファンキーなここちよい音楽が高まってゆくザビートゴーズオン

わたしの顔は日曜よりも長くなるゆらゆらとムードスウィング

言葉では説明できぬ甘く熱い誘惑のラヴセンセーション

見上げた空に頭の中にある翼はばたかせ飛び込んでゆく

神により結びつけられたるものたちを誰ひとりはなしはしない

衝突し液化して結晶となる段階的に変形をする

さあどうぞ今宵こころをきめましたいつでもそれを手にいれられる

通り過ぎ過ぎ去っていったすべての時間にさよならのキスをする

意地悪で卑劣な男はすぐにわかる顔中にそう書いてある

ロケットが宇宙を漂うように人生の価値が遠くなりゆく

どちらかを追い出すべきだなんて誰がその代償を支払うのか

氷を溶かし解き放つすべてのものを高める解放運動

もし会えば挨拶をしてさよならをする思い出を断ち切るように

永遠を待てずにもはや信仰のかけらもなくし跡形もない

もう決して孤独ではないもう今は寂しくないよセイヴマイデイ

染み込んでゆく紫外線の波のうねり打ち寄せる言葉の響き

夢を越え見えてるものをはるかに越えていつの日かアナザーサイド

時間はとても軽くなり過ぎてゆくネヴァーモアまであと千マイル

あなたがわたしのところにきてくれてとてもうれしいすごくうれしい

緑の野原にひとりきり大きな車輪がまわり夢の解体

もう騙されはしないひどい嵐の向こうには光が見えている

いつかよく晴れた日に望み通りにすべてがうまくゆくようになる

しっかり捕まえたまま踏ん張って我慢しつづけなければならない

目隠しをしたまま夢むヴィジョナリー地平面にて砕ける事象

分け合って思いやり誰ひとり飢えるものはいない遠い惑星

感覚も意味も逃げ場もまるでない太陽よりもまさる輝き

安っぽく薄汚れてて品がないとても卑屈な気分にさせる

のぼっておりて高いとこから見晴らして真っ逆さまに落ちてゆく

心地よい調和の波と甘いリズムに誘われてもっと高みへ

もしも今あなたがここにいるならばおんなじように世界を見たい

虚しさと孤独の中で失って初めて気づく恋しい気持ち

太陽と月がぶつかり一つは燃えて一つはそれを反射する

人生の奥深いところで燃え続けているミステリーオブラヴ

忘れ去られたトライブの朽ちた死体がオリノコ川に横たわる

彷徨って目が覚めて作り話に惑わされずに夢を叶える

傀儡となるのは御免ブーツの紐を締め上げて外へ出てゆく

打ち壊し突き崩してくこの壁を崩壊させて愛を広める

七月、やはりまた何もないまま過ぎていった。何も変わらず、何もできないまま、ただ時間だけが時間通りに過ぎていった。何もかも諦めてしまっているわけでは決してない。別に何もかも諦めてしまっているわけでは決してないのだけれど、それでもやっぱり、何も変わらないし、何もできていないし、ずっとずっと何もないままなのだ。まさに、転がる石のようにころころと転がっているだけの毎日である。自分の意思でそうなっているのでもないし、誰かの意思でそうなっているのでもない。ただただ、とめどなく転がり続けている。ここは、終わりのない長い長い坂道なのだろうか。だから、転がり続けているのだろうか。そのうちに、この長い長い坂道にも終わりがきて、本当のどん底にぶち当たる日が来るのだろうか。それとも、いきなり坂の先が断崖絶壁になっていて、転がり続ける勢いでそのまま深い谷底に突き落とされるのだろうか。いずれにしても、そういう終わりの日は、もうすぐ近くにまで来ている(はずである)。そんな風に思いながら、日々転がり続けている。このままでは、(たぶんもう)生きてゆくことは不可能である。なんにせよ、どん底にぶち当たったり谷底に突き落とされたりして死んでしまうしかないのだろう。たぶんもう、終わりの日は、すぐそこまでやってきている。
そんな、これっぽっちの夢も希望もない、ひどい(蒸し)暑さに生きる気力もすっかり奪い去られてしまっていた七月にも、つまらない歌を詠んだり、くだらない詩を書いたり、へんてこな文章を書いたりした。こんなことしかわたしにはできないので、とにかく精一杯に書いた。自分では、そういう心づもりで書いていた。つまらないし、くだらないし、へんてこだけれど、とにかく書いた。こんなことしかわたしにはできないので。おそらくは本当にごく少数の人たちにしか読まれないのかもしれないけれど、その中のできるだけ多くの人にわたしの歌や詩や文章を気に入ってもらえたら、とてもうれしいです。もう、あとどれくらいこういうものを書いていられるのかはわからない。だから、とにかく精一杯に書きたい。
などといいながら、歌や詩などはなかなか公表しないものもありストックばかりが膨れ上がってしまっていたりもする。別に出し惜しみをしているわけではないのだが、毎日ばんばん歌や詩や文章を投稿しまくっていると、こいつ相当に暇な人なんだなと思われてしまいそうで、なんだかちょっと恥ずかしくなってきてしまうのである。よって、ちまちまと小出しにしている。駄目な暇人なのだから世界中の人から呆れられるくらいばんばかばんばか歌や詩を発表すればいいものを、妙に恥ずかしがってしまって、そういうことができないでいる。そういう部分でもわたしは本当に駄目な人間なのである。
こういう合理性や有用性を重要視する時代に、こういうつまらない歌やくだらない詩やへんてこな文章をおもしろいと感じる人はあまりいないのかもしれない。だからこそ、数少ない反時代的なタイプの人に(探し出して)読んでもらえたら余計にうれしいのである。たぶん、わたしと似たようなところのある駄目な人や暇人はもっともっとこの世界にたくさんいると思うので。そして、そういう人たちは駄目なわたしの書いたものを読んでなんとなく共感できるようなところももしかするとあるのではないかと思うのです。そして、わたしなんかとはちっとも似たところのない駄目な人でも暇人でもないちゃんとしたまともな人たちにも読んでもらって何かを感じてもらえたらうれしいなと思います。それが駄目な暇人に対する憐れみや侮蔑の感情であったとしても。わたしとしては全然構わないのです。そういう反応こそがたぶんとても今という時代らしいもの(今という時代を生きる人らしいもの)だと思いますので。
とにかく、一ヶ月の歌をまとめた記事が一ヶ月で五〇回程度の閲覧数というのでは、とてもかなしいのです。どんな人でもいいので、とにかくちょっとでも読んでみてもらいたいなと思います。わたしが極度の恥ずかしがり屋だということもあって、自分で自分の宣伝をするようなことは少し苦手であったりもするので、もし何か気に入った歌や詩や文章がございましたらより多くの人々に向けてそれのシェアなどといったことをしてもらえましたら誠にうれしいです。二桁や三桁ほどのフォロワー数ですとわたしの投稿だけでは、どうもちっとも広まらないようなのです。もしも何か気に入ったものがあったらで全然構いませんので、少しお力を貸していただけたらと思います。ただまあ、そんなわたしの書いたものを気に入る人なんていうのはそうそういるわけがないと言われてしまうと、はあそうですねとただただ引き下がるしかなかったりもするのですけど。そして、わたしのような駄目な暇人がなんかちょっとシェアだとかすごく生意気なことをいってしまって、誠にすみませんという気持ちでもあります。とにかく、もうかなり追い詰められている状態でありますので、どうか助けてください。よろしくお願いします。

P.S.
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