教授も知らない論文の書き方

こんにちは、URAKOMEです。

今日は論文の読み方・書き方について書いていきたいと思います。

表に出ている論文の構造については、下記の通り以前公開した記事に書いていますが、実は科学論文には裏の型があります

論文の型を知れば誰でも速読で著者の意図を捉えられますし、アクセプトされやすい論文が書けます。

日本の大学院ではまだまだ徒弟制度的なところがあるので、指導教官が体系的に教えてくれる以外に習得する方法はなかなか難しいです。

また、海外の有名な大学院に行ったとしてもライティングのコースをきちんととってトレーニングしないと習得するのは難しいかもしれません。

これまでに旧帝大やその辺の教授はもちろん、多くの優秀な研究者(CNSホルダーやアイビーリーグ卒)ですら、体系的に説明できる人に会ったことがありません(今のところ私に指導してくれた教授1人のみ)。

研究者のみならず、ライターの方や一般の方にもぜひ知っていただきたいです。


なお、私の専門は医学・生命科学なので特に医学論文・生命科学論文について取り上げたいと思います。物理や数学、文系の論文などはまた体裁が異なると思いますのでご了承下さい。


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<本稿の要点>

・英語論文は結論を先に書けば良いわけではない

・日本語と英語の文章構成が異なる

・正しいライティングスキルで書くとアクセプトされやすい

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英語論文は結論を先に書けば良いわけではない

私が大学院に在籍していた頃、論文の書き方について体系的な講義というものはありませんでした。

みんな知っている旧帝大の大学院で、その分野では名門と呼ばれる研究室に在籍していたのですが、当時は見て学ぶというのが主流だったし、論文の書き方というのは、先輩や教官に見てもらいながら習うのが普通でした。

現在もそのシステムは大きく変わっていませんし、多くの大学院生が明確に論文の書き方をわかっているとは言い難い状況のように感じます。

私自身もいざ論文の指導をされると、細かい点(例えば、時制など)については知識が積み上げられていくのですが、正しい書き方のロジックを持つことがなく、イマイチしっくりきませんでした。

要するに、科学論文の基本の”型”がわからなかったのです。

論文の書き方について書かれた書籍も貪るように読みましたが、細かいルールに対する記載がほとんどでいまいちピンとこないまま、論文を書いてきました。



日本語と英語の文章構成が異なる

就職してからとてもクレバーな上司と働く機会があり、論文を見てもらったところ、

「URAKOMEくん、文法は良いんだけどそもそも型にはまってないからこの書き方はダメだよ。

と言われました。

上司曰く、科学論文の型とは


パラグラフライティングで書かれるということ。


パラグラフライティングにおいて、

・1つのパラグラフ(日本語でいう段落)は3つの要素(トピックセンテンス、ボディ、コンクルーディングセンテンス)で構成されるということ

・1つのパラグラフでは1個の話題について取り上げること

が重要である。


それぞれのパラグラフの構成要素は下記のようになっています。

・トピックセンテンス:そのパラグラフで何を言いたいかを示す導入の文。

・ボディ:トピックセンテンスの説明、結果等の内容の記述。

・コンクルーディングセンテンス:そのパラグラフの結論の文。トピックセンテンスに対応した(答えた)文になっている。


トピックセンテンスとその次の文くらいを読めばこのパラグラフで何を言いたいかがわかります。

このパラグラフの結論はコンクルーディングセンテンスを読めばわかります。

つまり、トピックセンテンス(パラグラフ最初の1~2文)→コンクルーディングセンテンス(パラグラフ最後の1文)、次のトピックセンテンス→コンクルーディングセンテンスと読み進めていくことで論文を速く読むことができるのです。


パラグラフライティングで書くこと以外にも読み手を惹きつけるフレーズ、流れの作り方がありますが、また別の記事で紹介したいと思います。



正しいライティングスキルで書くとアクセプトされやすい

書き方を知らなかった頃に出した論文は、native checkを受けろとか、読みづらいから構成を考えろ、等の内容とは関係のないコメントが多かったです。

データが良くても伝わらなければ意味がないから当然ですね。

一方、上記のようにパラグラフライティングを意識して書いた論文のコメントはなぜか「よく書けている」というコメントが入っています。

「日本人(non-native)にしてはよく書けている」という皮肉なのかもしれませんがね(笑)

いずれにせよ、パラグラフライティングで書き始めてからは書き方に関する(本筋とは関係のない)コメントが減りました。

その結果、reviewerと内容のdiscussionが十分にできるようになりましたし、リジェクトされる数は少なくなりました。


これまでの経験から、トップクラスの研究者が(無意識に)うまく論文を書けるからといって他の人に論文の書き方を体系的に教えることができるというわけではないということがわかりました(ゴルフのツアープロが必ずしも教え方も上手とは限らないということと似てる気がします)。


とりあえずざっくり文章で書きましたが、反響があればもう少し詳しく解説したいと思います。

本稿がみなさんのキャリアでお役に立てば幸いです。

最後まで読んでくれてありがとうございます。

Merci.




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