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5月22日(火)赤い口紅のはなし

昨日、今日と、SNSで秋元梢さんの写真をよく目にした。どうやら写真集を出すらしい。彼女のトレードマークは、黒髪ロングぱっつん前髪にキャットアイライン、そして赤リップ。白い肌によく映えて印象的な、憧れのスタイル。

赤リップはメイクをするようになる前から「憧れ」をぎゅっとつめて具現化したような存在で、ある程度は身につけてもサマになる年齢になったかな、と思い始めたときから、わたしは自分に似合う色を探していた。

この滞在に、わたしは1本の赤リップを持ってきている。それは店頭には定番として存在していたけれど今年に入ってから出会ったもので、日を改めてはセルフカウンターで何度も色味を確認し、慎重に慎重を期して購入した。

それは、SHISEIDOルージュルージュの「BLOOD STONE」という名前の1本。その名の通り、血のように深く鉱石のように輝いている。

この国に来てから、これを使う機会はまだない。

安全のため目立たないようにということもあるし、郷に入っては郷に従え、ふだんはほぼすっぴんのカンボジアスタイルに合わせている。すっぴんにゆるめのオフィスカジュアルという格好は楽チンだが、なんだか楽しみをひとつなくしてしまったような気もする。

例えば表参道や六本木に行くとき、今日はがんばるぞ、と気合いを入れて口紅をひく、その緊張感が好きだった。

きっとまだしばらくこの口紅を使うことはない。もうしばらく、ポーチの中で待っててもらおう。もしかして東京に帰ってからだったりして......

そうしてわたしは鏡の前に立ちながら、次にこれを取り出すときのことを想像するのだった。

もしいただけるなら......都心までの交通費にさせてください......