急性腰痛(いわゆるぎっくり腰)は私らにとっては「オイシイ」のです(笑)

私ら治療家(鍼灸師、あん摩指圧マッサージ師、整体師など)にとって頻繁に遭遇するのがいわゆる「ぎっくり腰」。ぎっくり腰といってもいろいろあるのですが、ここでは「何かの拍子に、あるいは何も変わったことしていないのに、急に腰が痛くなって動けない(動くのがつらい)人だと仮定しておきます。ただ

内臓疾患が原因の腰痛と

外傷(いわゆる怪我、骨折など)


は除外しておきます。これは完全にお医者さんにかかって診断、治療を受けるものだからです。


たいてい急性腰痛になってしまった時、(再確認です、内臓疾患や外傷は別問題です)治療院に問い合わせると2つ答えが返ってきます。


1,動くのも痛いのであれば、数日は安静にしていたほうがいいですねぇ〜

2,多少痛くても治療を受けに来ると早く治りますよ!


です。2つともアドバイスとしてはアレです(笑)


まず1つめのアドバイスは論外です。安静が逆に痛みが和らぐのが遅くなるというのが最近の常識です。そのようなことを言う治療家に出会ったら勉強していないおバカちゃんだと思ってもらっていいです。


さあ、問題の2番目です。たいていは2つのパターンの「治療法」が行われます。

(A)痛い場所(この場合、腰やお尻の部分)は触らず、「他の場所が原因だと」説明して、そこを治療(鍼を刺したり、マッサージしたり、ストレッチのようなこと)をする

(B)痛い場所が原因なのだからそこに鍼を打ったり、マッサージをしたりする


治療家にとっては(A)は安全策で、というのは仮にその治療でクライアントの腰痛が和らがなくても「まだ腰に炎症が残っているからしばらくは痛みますね!もうしばらく通ったほうがいいですよ!」という治療家にとっての伝家の宝刀的宣伝文句が使えます(笑)。しかもその治療で良くなったら鬼の首を取ったかのような言動ができます。「ほらっ!良くなったでしょ!」的な(笑)。


(B)の手法は私も昔(2015年ぐらいまで)はやっていた手法で、例えば腰痛なら腰やお尻の筋肉が硬くなっている(収縮、縮まっている)から痛くなる。だからそこをマッサージしたり鍼を打ったりして「筋肉の緊張を緩めよう」という発想です。

まあ、大間違いです(笑)

まず、筋肉が緊張するから痛むという発想が間違いで(おそらく因果関係が逆)、それはさておき、緊張している筋肉に鍼を打ったりマッサージをしたりして「緩める」という発想も大いに疑問があります。(詳しくは本家ブログを参照。全て理由は書いてあります。)

この(B)の手法も(A)の手法と同様、クライアントを長く通わせることができます(笑)。その日の治療で治ったらドヤ顔で「○○が歪んでいるから、どこどこがまだ硬いからしばらく通ったほうがいいですよ」という伝家の宝刀的文句も使えますし、治らなかったら「こりゃ一回ではほぐれないなあ。しばらく通ってもらわなくては!」という伝家の宝刀的文句も使えます。


で、たいてい急性腰痛(注意!内臓疾患や外傷が原因の腰痛は別問題です!)はクライアント自身が少しずつ体を動かしていけば数日で治ります。最近発表された衝撃的論文では、平均5日ぐらいで痛みが治まる人が多く、約90%の人が6週間ぐらいで治まると報告されました。何が衝撃的って?それは

治療に通った人は平均24日治るのにかかると報告されたからです(笑)。

その論文ではなぜ治療を受けた人のほうが治るのが遅かったのかは明示されていませんが、私が想像するに2つのことが考えられます。それは

1、治療家の脅し文句
「○○が硬いから、曲がっているから・・・」
2,治療に行ったことで逆に痛い場所を気にしすぎてしまった。

で、それらはクライアントのレジリエンスとセルフ・エフィカシーを損ないます。(レジリエンスとセルフ・エフィカシーについては別のブログで書きますが、本家ブログの痛みに関する記事とある本の私のブックレビューを読んでみてください。)


で、私のところに急性腰痛の方が来たらどうするって?


まずは内臓疾患がありそうか、外傷がありそうかの話を聞いてそれらがないと推測できれば、「アドバイス」で終わりです。でもさすがにそれだけでは終われないので気持ちの良いマッサージをします。

で、次の日からは自分でどのようにしていけばいいのかを表現を変えて何度も説明します。もちろんまた通ってくる必要はない、とも伝えます。


まあ、こんなことやっているからクライアントが増えないんでしょうが(笑)








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