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CAPTAIN BEEFHEART AND THE MAGIC BAND / SHINY BEAST (BAT CHAIN PULLER) 雑感

やっぱりタイトル長ー。私がこちらの作品を初めて聴いたのは20歳越えてからでした。フランク・ザッパ好きの友人と話しているときに「そっちがザッパならオレはキャプテンっしょ!」と思いなんとなく購入した思ひで。
当時はザッパもビーフハートも変音楽やってる界隈の人というくらいの認識でしたがその2人が高校時代からの友達と知ったとき似合いすぎて笑ってしまいました。類は友を呼ぶすぎる。

しかし当時は変音楽の人としか思ってなかったので一聴してワケわからんことしとるわという感想のみで終わってましたが時が経ち改めて聴いてみるとアラ良いですねという感じ。わからんところも楽しいし。


ところでこの作品が発表された経緯が微妙にややこしい。後に今作の副題であるBAT CHAIN PULLERの名を冠した作品が発表されるのですが実はそちらの方がオリジナルでこちらはそれが一旦お蔵になったのでオリジナルから数曲再録して新曲もプラスして出したみたいな感じ。他アルバムにもそのオリジナルから再録したものが散らばっていたり。
BAT CHAIN PULLERも彼の死後にやっと出された作品なのでなんやかんやあった様子。


ジャケットのイラストはキャプテン・ビーフハート本人が描いたもの。壁画や宗教画をなんとなく連想してしまいます。
ちなみにジョン・ライドンもビーフハートを愛聴していたようです。そういやPILもフィーリングは近い感じがする。PILの2015年のアルバムのジャケ絵をジョン・ライドンが描いてるけど絵心もなんか似てるし。

そんなこんなで

曲目です。

1.THE FLOPPY BOOT STOMP
各楽器が全く好き勝手に動いているようで曲として何故かまとまりがあるのが良ろしいですね。即興的であるのにバチッと音が合わさるのがカッコいい。低い声で囁き話すボーカルが爆発前の緊張感を常に持っているようでそれがいつか破綻してしまうんじゃないかと思うような演奏とピッタリ。

2.TROPICAL HOT DOG NIGHT
一転してポップな雰囲気に。小気味良いリズムのドラムとギター、カリプソ風味のパーカスに陽気なホーンで単純にノれる曲。キャプテンの喉絞ったような声もカッコいい。

3.ICE ROSE
ギターとマリンバとホーンの微妙に気持ち悪い音の重なりがすごいクセになる曲。メロディも気持ち悪いのに妙に良くて琴線に触れる。日本人はマイナー好きらしいがなるほど納得。

4.HARRY IRENE
反復される鍵盤が印象的。シンプルなカントリーブルースという感じでこういう落ち着いたいわゆる普通の良い曲もできるのかと逆に驚く。

5.YOU KNOW YOU'RE A MAN
アタマからがなるような歌声と気持ちいいギターリフでとてもよろしい感じ。しかしホーンの気持ち悪いような気持ち良いようなメロディは不思議。他の曲もだけど。油断してると色んな音入ってきてカオスになりかけるのもこの曲だけじゃない。

6.BAT CHAIN PULLER
逆再生したような音がアタマから鳴っているのはコウモリだからかしら。民族音楽の雰囲気かもしだしていますが謎電子音も入っていてだんだんカオスなプログレ味もでてくるような感じ。雑多で闇鍋みたいな音ですが謎の心地良さがあるのは奥でリフレインする不気味な音に頭揺らされているからか。

7.WHEN I SEE MOMMY I FEEL LIKE A MOMMY
ギターリフ微妙にダサいと思うのは私だけでしょうか。バッキングになるとカッコいいのに。これは完全に私だけでしょうがなんか関係ないのにサザエさんを思い浮かべてしまった。例えばそんなマヌケな感じがあるのかな。(ビーフハートにも長谷川町子にも失礼)民族音楽的な響きと謎に寂しさがあるホーンとロック味のあるギターで独特な雰囲気に。まぁこの曲だけじゃなく他もそうですが。

8.OWED T'ALEX
絶対リフダサいと思う。ドラムとギターでリズム取り合ってる感じがしないけど聴くとギターのダサリフの合間にドラムがオカズ入れてるので一応合ってんのかこれ。途中ノイズみたいなギターの上でブルースハープ鳴るのがなんかカッコいいぞ。

9.CANDLE MAMBO
またトロピカルな感じ。前曲から続けて聴くとすげーわかりやすいダンスミュージックに聴こえる。マンボって言ってるし。

10.LOVE LIES
なんだかアダルトなムード漂う曲。静かに鳴らされるギターと妖艶なホーンとマリンバの音が落ち着いたバーみたいな雰囲気に。即興性の高いような曲もハードバップな感じありますがこちらはスローなジャズのよう。

11.SUCTION PRINTS
ロカビリー風味ありでスウィングしてからジャングル行くような曲。なんのこと言ってんだと思われるかも知れませんが大きく外れては無いはず。とにかくビートが強くノれると言うことです。

12.APES-MA
音はなく短い詩を語りかけるだけの曲。曲じゃないか。檻の中にいる年老いた猿に語りかける詩が寂しい。その猿はだれのことなのかもしくはだれのことでもないのか分かりませんが最後にこれを持ってくるところのバランス感覚が変な曲やってるのにベタな感じもあり自分に忠実な人なんだなという印象。


聴きました。

買って最初聴いたときはとっつきづらい現代音楽かと思いましたが今聴くとわりとブルースやジャズなんかのルーツミュージックがちゃんと下敷きになってるんだなという印象。ワールドミュージックの要素も随所にあってポップさもあり良い作品だなと思いました。

他作品ではもっと暴れ回っている印象の強いビーフハートですが今作は結構良いとこどりなんじゃないでしょうか。惜しいのは私が英語堪能ではないこと。氏の音楽は詩を理解できたら更にハマれると思うのですが。

未聴の方は是非聴いてみてもいいかもー。和訳も是非ー。


それではー。

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