見出し画像

複業推進と社員の自立・DX化は密接に繋がっているかもしれない

昨年7月に原則複業禁止の会社から複業自由の会社へ転職し、個人事業主としてPRコンサルティング事業をはじめている。

前職の繋がりからありがたい相談をいただいたり、複業人材のマッチングサイトに登録したりで、本業の傍らさまざまなPR案件に首を突っ込むようになり、刺激的な毎日を送っている。

同時に、小規模でもビジネスを開始するということは、ビジネスパーソンとして学んでおいて損はない、あらゆる知識やテクニックを学ぶ、いい機会になっている。


複業をはじめたことで起きた変化

具体的にどのような知識を得て、どう進化していくのか。
個人的に感じた効果について記していきたい。

収入の柱が増える=仕事に余裕が生まれる。

まず、会社の平均年収とか昇給とかボーナスとかで一喜一憂することがなくなった。自分の収入の頼み綱が一本だけしかないと、どうしても焦りが生まれてきてしまうものだなと思う。

インフレと昇給が見合わない...と焦燥感を持って日々の物価高騰に直面してしまうと、本業にも余裕が生まれないだろう。会社への不平不満ばかり募り、ただひたすらに我慢するか、去っていくしか選択肢が無くなるだろう。

これは会社にとっても従業員にとっても不幸なもので、「安心して働ける」という状態は給与アップだけが解決策ではなくて、複合的な要因が絡み合って解消されるものなのだと痛感する。

複業をすればすぐに稼げるというわけでは無いが、本業でビジネスが成立している状態なのであれば、少なからず持っている知見やアイデアには価値がある状態だと思うので、焦らずにやるべきことをやっていればチャンスは転がってくるのか。と実感することも多い。

デジタル人材へ一直線に突き進む。

次に、復業人材になると、個人のDX化が急速に進む可能性がある。今の時代、個人事業をはじめたり起業したら、ほぼその時点でデジタル人材になるのが圧倒的近道だからだ。

今まで会社の経理や情シス、デスクやアシスタントにお願いしていた業務すべてを、自分の責任のもとで推進していく必要に駆られる。

具体的には請求管理、サーバー契約、ドメイン取得、デザイン、サイト構築、名刺発注、プロモーション、集客を全部パソコンひとつでやる必要が出てくる。(外注するという手もある)

もしオフィスを借りたり備品を購入するなら、それらの投資判断や決済処理もすべて自責だ。

多くの企業経営者が最初は小規模ではじめて、PMもHRもマーケ・PRも兼任していることが多いだろう。規模はとてもとても小さいけど、そういう原体験を共有できるって強みになると思う。

さらに、社外者とコミュニケーションを計るために、普段から使い慣れていないデジタルツールを強制的に触ることにも繋がる。

WEB会議システムにチャット、スケジュール調整や、なんらかを管理するためのグループウェアやダッシュボードなど、「あれ、これ便利だな・・・?」と、触るごとに発見があったりもする。

もしいまだにこんな環境だったら...

基本的に通勤に1時間かけて出社で、いまだに社内では電話やメールでのコミュニケーションが8割です。あらゆる所にメールを送っていて、1日休むと200件メールが溜まります。
想像の誰か

このような昭和感の残るワークスタイルを強いられ、複業も禁止されている場合、どこかでコミュニケーションの急速な変化についていけなくなってしまうのでは?と危惧する。

IT化やAIによるビジネスの効率化がどんどん計れれば、いまやっている仕事は殆ど意味をなさなくなってしまうなってしまうかもしれない。恐ろしいと感じるかもしれないが、これからの日本に必要なのは「効率化」であることは間違いない。

多様な価値観を学び、視野が拡がる

当たり前なことを言うが、自分の働く環境のアタリマエは、違う世界だとまったく変だと捉えられることもたくさんある。

広報ひとつとっても、100社あれば100社広報に求められる機能や役割が違う。広い世間を知り、自社(自ら)の現在地がどこにあるのかを把握するだけで、すでに周囲に何かしらの価値を発揮できる状態にあると感じる。

視野は広ければ広いほど、自己認識は正確であればあるほど、ビジネスで有利だ。

ただし、どの会社でも手放しに複業を推奨すればいいというわけではない

上記で礼賛した通り複業にはメリットも多いが、メリットばかりを追いかけて正しく設計しないと機能不全を起こしてしまうとも思う。複業を成立させるためにはいくつか必要な条件がある。

社内(本業)のチーム内での情報共有は十分か

大事な要素の一つは、情報共有だ。

  • 一緒に働く同僚がどのような状態にいるのか把握していない。できない。

  • スケジュールは自分しかみることができない。

  • 自分にしか処理できないボールをたくさん抱えている。

  • 困ったときに相談できる相手先がいない。

  • 気軽に休むことができない。

  • そもそも仕事量が多く、労働基準法ギリギリの毎日

上記のいずれかに当てはまるものがあるのであれば、複業云々言う前に解決しなければいけないことが山積みだと思う。

これらを無視して、複業に手を出すと、健康状態が最悪で食欲が無いとき、あるいは回転寿司で胃袋のキャパギリギリの状態で、背脂ギトギトのラーメンを替え玉するような状態になってしまうだろう。必ず翌日動けなくなる。

サイボウズでは、プライバシーとインサイダー以外の情報がすべて共有されている。隣の社員が使った経費も、先月の残業時間も丸見えだし、一度も会ったことの無い社員が今日は体調不良でお休みするという情報も筒抜けだ。

常に冷静に、チームの置かれている状況やタスクの消化状況を見える化することがでている。結果として複業で1〜2時間中抜けしようが、リカバリーが効く状態になっている。

労働基準法ギリギリが毎日続くような状態が健全なわけが無いが、マネージャーも同じように(さらに言えばもっと踏み込んだ)情報を把握しているので、すぐに対策が講じられて、健全な状態に巻き戻される。

あるいは、隣の部署がやっている素晴らしい効率化施策がそのまま転用されてきて、気づけば時間が取られすぎる作業が10分の1以下に縮小されたりする。

心理的安全性は担保されているか

情報共有と同じくらい大事な価値観・社内風土、それは心理的安全性の担保だ。

困ったときに困ったと発信しても、「そんなことで困っているのか」と批判されていては困れない。

自らの予定表には、「通院」も「複業」も登録されていて、その事実は誰でも見れる状態にある。(当然、何の病名かとかどの企業のどんな案件の複業かなど詳細は書かない)

直接言われたことは無いが「複業ばっかりやってて本業もっと頑張れ」と仮に思われていたとしたら、それは公明正大かつ建設的に対話が求められる。(思わせていたら申し訳ございません。)

つまるところ複業はコソコソやってては上手く行かないと思う。「自分、こっそりバレないようにやっているんですよねぇ」という人もたくさんいるかも知れないが、それは誰かしらに嘘をついていることになるかもしれない。

やっていたという事実よりは嘘をついていたという事実が、自分を窮地に立たせるかもしれない。(信頼貯金的な意味で)

まとめ

◎会社視点

  • 復業には社員の自立を促しDX化人材になるチャンスも広がっている。

  • ただし、情報共有と心理的安全性を担保しないとバグる。

◎個人視点

  • 経済的にいくらか安心して働けるようになる

  • (主にデジタル領域の)経験値が増えキャリアが磨かれる

  • 嘘ついてコソコソとやってるのはあまり良くない

どういう制度をつくればいいか、どういう風土を醸成させるべきか。
何か気になることがあればサイボウズまでお問い合わせを。

追加で気づきがあれば、また発信していきます。
PRのお仕事相談もお待ちしています。

よろしければサポートをお願いします🥺