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童心にかえった日


お盆時期をずらして、東京から親友が地元に帰ってきた。5日間の夏季休暇だ。今回私のお盆休みが終わったタイミングで親友の休暇がスタートしたので、遠出して遊ぶなどは出来なかったものの、今日は1日休みが被ったので地元でぶらぶらゆるーく遊ぶことにした。

親友とは小学校〜専門学校まで同じ学校で、もはや家族みたいな、そんな間柄だ。

やはりここまで長くいると、どこへ行くかは決めずに集合時間と集合場所だけを決める。行き当たりばったりのゆるい遊び方だ。今回も集合したのち、海が見たいと親友が言うので、魚市場がある方まで約40分ほどかけて歩いて向かった。

東京に住みはじめてもうすぐ10年になる彼女は、川や山がすぐ見渡せる、のどかな地元の風景にテンションがあがっている様だった。東京に住んでいると緑がいっぱいの山すら見れないだろうから。

魚市場の方まで歩く途中に、昔通っていた保育園の跡地のあたりを見に行きたい、と彼女が言うので、そちらへ寄り道をした。そこには公園が新しく整備され、遊具もいくつかあった。

久しぶりにふたりでブランコを漕いでみる。ふわりと体が浮き上がる感覚がわたしに幼い頃の記憶を連れ戻してくる。昔はこうやってふたりでブランコを漕いでたなぁ、なんて。

「30歳にもなって、ブランコ漕ぐなんてね」
ふたりでそう言いながら、笑いあった。

このあと、きちんと魚市場の方まで歩き、海を見渡してみた。今日は天気があまり良くなく、曇り空と白い霧に包まれていたけれど、やはり海風を浴びるとエネルギーをもらえる。彼女も満足したようだ。


そのままずっと歩いて、近くの商業施設に行ったり、カフェに行ったりしながら、なんてことないことをふたりでただ話していた。この空気感が心地よい。

色々巡ったあと、川の河川敷を歩きたいというリクエストがあったので、ふたりで河川敷に行ってみた。家の近くのこの川は市内を流れる大きな川だ。昔から川沿いを歩いたり、遊んだりしていたから、懐かしさがあった。

先日の台風による大雨もあり、若干まだ水量があったが、透明感を取り戻した川は川底が見えるほどで、陽の光がキラキラと水面に反射していた。

ふたりでずっと歩きながら、開けた場所に出ると、彼女がおもむろに足元にある石を拾って川に投げた。ぽちゃんぽちゃん、と石が跳ねる。水切りだ。幼い頃もよくみんなで水切りしたなぁ…私も負けじと石を手に取り川に投げてみる。ぼちゃん、と跳ねることなく静かに入水。その様子を見ていた彼女はけらけら笑っていた。

ふたりで黙々と石を選び、水切りにトライする。彼女は上手くいくけど、わたしはなかなか上手くいかない。たしか、昔からこんな感じだったよなぁ、わたしはやっぱりこういうセンスがないのだ。

しばらく川で遊んで、そろそろ帰ろうか、となる。親友は川を眺めながら言う。

「大人になってから仲良くなった人に、川遊びしよう、なんてなかなか言えないじゃん」

ほんとそれね、と答える。
昔からずっと一緒にいるからこそ、このナチュラルな空気感がある。ブランコも川遊びも、童心にかえって楽しめる。

映える写真を撮らなくても、ふたりの自撮りをしなくても、プリクラなんて撮らなくても、私たちは満たされている。ずっと昔から一緒にいるからこその、この感じ。

わたしも久しぶりに童心にかえれて、リフレッシュできた気がする。


親友が次に地元に帰ってくるのは年末だろう。次は何しようかな、初日の出を見に行って、初詣に行って、またぶらぶらと何気ない話をしながら歩きたいな。


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