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国が違えば医療も違う in Canada


日本とカナダの医療システムの大きな違いは、何と言っても金額!

日本の医療システムはビジネス化しているけど、カナダは無料です。

ここでは全て保険で賄われていて、国民健康保険のようなもの(OHIP=Ontario Health Insurance Plan)に加入している者は基本的に無料です。歯科治療や薬代は以外は、入院費、治療に必要な検査(入院が必要な場合は部屋代や食事代も含む)も無料です。


無料はお金を払わなくて良いのが最大のメリットですが、無料だけにデメリットもあります。

そのほとんどは精神的ストレスで、「まぁ、こんなものだろう」と大きく構えていれば何ともありませんが、ついつい日本と比較してしまうとその違いに戸惑います。特に体調が悪い場合はマインドも弱くなり、イライラも増え、更にストレスという悪循環を生み出しますので、気を付けたいです。

どうしてもストレスになってしまった時はカナダの死亡率を他の先進国と比較してみてください。決して高くはありません。自分がそれまでの医療に対する考え方から抜け出せないためのストレだとわかります。

まずはカナダの医療を受け入れること。自分が放置されている気分になったら「重症ではないのだ」と安堵した気分に変え、気分を落ち着かせたいものです。



まずはファミリードクターを見つける


カナダではまず最初にファミリードクターを見つけます。どのファミリードクターに「空き」があるかはわかりませんので、電話して聞くか、紹介などから空きがあるかを聞いてみます。

街中で「新規患者を受付中の医者」を発見できる時もあります。探している場合はドクターズオフィスの入ったビルをチェックする癖をつけると良いです。ウォークインクリニックの医者が新規を受け付けている場合もありますので、受付で訪ねてみるのもお勧め。

ファミリードクターにかかる時は、定期検診や、具合が悪くなった時です。そこで必要と判断された場合は専門医を紹介してもらいます。ほとんどファミリードクター系列で自宅付近の病院を紹介されるようです。

日本は自分で判断して、内科、外科など、それぞれ選びますが、総合なのがファミリードクターです(眼科、歯科は別)。

ファミリードクターは気に入らなかったら自分からどんどん変えてOKです。私は二度目のファミリードクターにかかっていますが、とても気に入っています。

富裕層の中にはアメリカで自分のかかりたい医師へアプローチして診てもらう人もいるようですが、高額になるので、プライベート保険をかけている人もいます。



ファミリードクターがいない場合は?


ウォークインクリニックへ行きます。予約がなくても診てもらえますが、待ち時間が長いので予約したほうが賢明です。

すぐに診て欲しかったら、受付で状況を聞いて、待つようなら次→次と当たってみるのもアリです。



救急に行く時とはどんな時?


救急は日本と同じ感覚で使いますが、ひとつ違うのは、いつでも混んでいます。

「すぐに診て欲しい」人が救急へ行きます。

救急車は呼ぶと45ドル(5千円ほど)がかかります。なので意識がない場合や歩けない場合は別ですが、家族の運転、もしくは自分で運転して行く人もいます(ただ、病院近くの駐車場所は混んでいます)。

悲しい話ですが、緊迫した状況に置かれて車内にうっかり物を置き忘れる人も多く、それを狙った窃盗もあるので、近くの駐車場はお勧めしません(車の窓を破られる)。皆、余裕はありませんから、タクシーで行くのが正解かもしれません。

しかし、この判断はとても難しいです。

夫の父親は具合が悪いので救急へタクシーを使って行こうとして車内で亡くなりました(心臓発作です)。解剖の結果、たとえ救急車を使っていても助からなかったらしいのが、せめてもの救いです。



カナダの救急は日本の雰囲気と違う


アメリカのTVドラマ「ER」と、日本の救急のちょうど中間のような雰囲気です。「ER」に近い感じかもしれません。TVは大袈裟に描いていると思うので。

24時間、常に人が多いです。

日本のように受け入れてくれる病院を探してから救急車がそこへ向かうのと違い、全て近くの総合病院へと運ばれます。

救急へ行くと患者は治療の優先度で色分けされます(トリアージ)。救急でないと判断された場合、半日以上待たされてしまいます。


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私は身内が病気だった時にERに泊まったことも、夜中に何度も行ったこともあるので、いろいろ見ました。中には残念な結果となってしまったこともカーテン越しから聞いていました。

現場の医師や看護師が最善の努力で尽くしてくれていることは間違いありません。あの緊迫した状況、医師の怒鳴り声、ひたすら助けようとする姿は時間がたっても忘れられません。

カナダ系のサイトに「ERは待つ」とか、「無料なので後回しにされる」とか、ネガティブ発言もあったりしますが、私は何回もERの現場を見てきてそんなことはないと断言します。

そして、他の患者もいる場所だからこそ、何があっても沈黙し、業務が続けられるという徹底ぶり。他の患者への気遣い、プロフェッショナルを感じた場面でした。



知り合いに起きた事実


ERでは…とにかくいろいろ、です。

友人の旦那さんは脳梗塞の家系なので、日頃からどんなに小さな症状でも見逃さないよう気を付けている人でした。ある日、「話にくい(呂律が回らない)」と気付き救急へ駆け込みましたが、一旦は家に帰されそうになりました。それでもなんとか検査を!と粘って、何時間も待ったけど検査してもらえました。治療が早かったので助かりました。

これは結果が良かったパターンです。

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夫の母親は肺癌でしたが頭に転移して、最終的には有効な治療がなくなってしまい、自宅療養していました。いよいよ具合が悪くなったので救急へ駆けつけましたが、部屋(治療)が空くのを待っている間に救急病棟の通路で担架に寝かされたまま亡くなりました。

待たされたからそうなったのではなく、もう「そういう時」だったのです。病院へ連れて行ったのが悲しい結果となってしまいました。

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知り合いのご主人は癌で闘病されていましたが、できる治療は全て終わり、やはり自宅療養されていました。ある日、ベットから落ちたので救急へ連れて行きましたが、病院に着いたあと、ご主人をチラ見した看護婦は「He is going to be die」と言いました。その数日後、ご主人は亡くなりました。

救急にもいろんな国の看護師がいて、中には我々とは文化の違う人達もいて、運悪く当たってしまうこともあるというのは覚悟しておかなければならないポイントです。

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こちらでは治療は病院がしてくれますが、最後まで入院しているということはありません。最初はそれが冷たいと感じていましたが、今ではそれで良いのだと思っています。



緩和ケア


病院は治療する所なので治療が終われば家に帰ります。手術も軽い場合は入院せずに自宅へ戻ります。治療→自宅→症状が落ち着く、もしくは治療出来ない→緩和ケア、というどちらかのパターンです。

緩和ケア病棟、そこでは本当に人間の尊厳を大切にしてくれます。人間らしい生活、スタッフも全てボランティアで暖かく、そこで最後を迎えられる人は幸せです(ベッド数が少なく、入れるか入れないかは、やはり運次第です)。



出産もカナダはその日に退院する


出産の時、私は朝の8時に出産しました。お昼のメニューを聞きに看護婦が部屋に入ってきて「退院は何時にする?」と聞きました。退院は12時、3時、6時のどれかにしてくれと言うのです。出産から6時間たったらもう歩けるし、問題ないから、って。

「じゃ、3時でしょう、普通」と考えてたら

「12時にしておくね!?後から変更もできるから」って。

え〜〜? 

そんなにここでお昼を食べさせたくないんですか?お支払いしますので食べさせて下さいという気持ちでした。

(結局、娘はレントゲンを撮る必要があったので6時に退院し、私は昼、夜と病院で美味しい食事をいただきました。)

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キャサリン妃は出産当日に退院しても美しかったです。髪をセットし、お化粧し、素敵なワンピースを着て、和やかに病院前で赤ちゃんと微笑んでいる姿を見て、私は心底、羨ましい!と思いました。

私は前の日に着ていた洋服で、マスカラがデロデロに溶けているというのにシャワーを浴びるどころか歯も磨いておらず、乗り捨ててあった車椅子を拾い自分で運転し(誰も押してくれない)、駐車場から自宅ベッドまで必死に歩いたのを今でもしっかりと覚えております!

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いくら無料でも「勘弁して欲しい」と思ったのが出産後の当日退院です。

母親と子供を別々にして、授乳以外はゆっくりと休める日本のシステムは実に素晴らしいと思います。しかも一週間。やってみて分かりましたが、産後一週間が一番辛かったので…。


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