【福利厚生大全】マネジメントには福利厚生がマストだと気づいた2年間
どうも。IT企業で支社長しているROMRAMです。マネジメント歴も5年が経ち、我ながら色んな人と関わってきたなーと思い返します。
自分と合うなーと思う人やもっと引き上げたいと思う人、逆に正直合わないな…と思う人や、合わないと思ってたけど思い切って指導していったところ好転して今ではいい成長をしてくれている人、ほんと様々あります。
それに管掌領域が大きくなるにつれて、自分1人では見切れなくなってくることも増えました。個人的には30人超えた頃からSeeはできているけどLooKはできていないと感じました。━━━何を言っているかはなんとなく察してほしいマネージャーなら分かってくれますよね..?!
うちとしてはあまり1on1の文化はまだまだ醸成中なのですが、私としては現代においてこそ1on1はかなり重要だと思ってるので支社で取り入れていて、それでいて1on1って簡単に言うけどこれほど難しいものはないとも思ってます。
ただ雑談しているだけではだめで、こっちから指南だけするような時間では耳に蓋ができてしまう。
雑談を通じてコミュニケーションを取りながら、いいタイミングで大事なこと必要なことをヒアリングして、業務が円滑にいくためにどういう思考・行動をするのかリーディングしないといけません。もち、ティーチングじゃなくて。
他にも常にアンテナを張ってちょっとした変化も気づけるようにしていても大なり小なり問題が発生します。
これをいかに事前にキャッチアップして火種のうちに消火しておくか、これが組織をみるマネージャーには求められます。
ただ、そこまでしていても先に述べた通りやはり1人で見れる範囲なんてたかが知れてます。
しっかり組織として会社として人ができるだけ長く、パフォーマンス高く定着する仕組みを作らないとだめなんです。ってことに最近気づきました。。
━━━でももう終身雇用なんて無いしそういう仕組みも不要なのでは?
とも言われるのですが向こう10年ほど、会社が社員を雇用する形はほぼ変わることはきっとないです。
もちろん優秀な人は自分で仕事をしたり、2社目以降は形式ばった転職せずともツテを使って上手くホップしていく割合は少しずつ増えていくと思います。
でもやはり大多数は会社に属します。起業やフリーランスはしたくない、もしくは出来ないメンバーが会社に残る流れがより加速する時代になります。
その彼らの中でもモチベーションが「いち早く成長して起業できる力をつけることです!」という分かりやすいものばかりではなくなります。
仕事してそれなりに成長できればいい人、仕事よりもプライベートを大事にしたい人、できるだけ人と関わらず仕事したい人、給与はそこそこでいいので待遇のいい組織にいたい人…etc
もちろんこれまでの社会でも様々な人がいましたが、最近やっぱり人々の考え方は変わってきています。多様性がより多様化してそれを認める風潮があります。
この前あるおじちゃんと話していた時に世の中の流れはどんどん固くなっていく、身動きを取りづらくなっていく、みんなが本当は望んでいないことなのにこの流れは加速する、と話してました。
私もそう思います。法律ひとつとってみても今まで特に問題になってなかった遺伝子組み換え食品に関する表示ルールがついたり、そろそろ施行されるインボイスなどがあります。
もちろんこれらは様々な問題を解決するために数多ある中の法律案から選出された(お偉方を代表に我々が選出している)ものなので世の中はよりよくなるには違いありません。1側面としてはだけど。
少し話がそれました。言いたかったのは、世の中の流れや人々の思考が変わり、人の流動性が高まっているので今まで以上に会社に属するインセンティブが大事になってきているということです。
でも高給を支払い続けることができるのは基礎体力のある大手だけです。
━━━じゃあ中小やベンチャー(と言ってもレイタ―フェーズくらいの)は戦いようがないのか?
というとそうではありません。ここでやっと本題です。福利厚生を上手く使うことがその一つの突破口になると個人的には思っています。
やや軽視されがちな福利厚生ですがちゃんと使えば強力です。
どう強力で、何をどう考えればいいのか。それを本稿で書きたいと思います。━━━予告編ながすぎてごーめーんっ
#1.まず!福利厚生の基礎知識からだよ
今回福利厚生について調べ物をしている中で知らなかったことが色々あったので順番に説明していきます。
◇福利厚生費用について
福利厚生には法律で決められている法定福利と法定外福利があります。
以下図は中小企業における法定福利費です。
法律で定められているので今後もここから大きく変動はしません。一方で法定外福利費は以下図です。比較して約1/5にとどまります。
◇福利厚生の施策別について
次に福利厚生の種別ごとにみてみます。
慶弔休暇制度や人間ドックなどの必要性が高いと感じられるものは割合が大きい一方で、有給の増加や食堂などのコストがかかり(休暇により逸失利益もコストと考える)、従業員が喜びそうな施策ほど割合が下がります。
◇福利厚生の税金について
法定福利費は原則非課税扱いで、法定”外”福利費は一定条件の元で非課税になります。
・前提として、福利厚生の目的に沿う内容であること
・従業員全員を対象としている平等な福利厚生にかかった費用であること
→例えば社員旅行の場合、以下3条件が必要になります。
*すべての従業員を対象としており、従業員の50%以上が参加
*4泊5日以内の旅行
*行かない(行けない)従業員に対して現金支給がない
・福利厚生として常識の範囲内の内容、及び妥当な金額であること
→例えば社宅や寮の家賃の場合、一定の計算式で計算して、その50%以上を従業員から徴収する場合には企業負担額を非課税対象にできます。
・税務規定の範囲内の支出である場合(規定のある法定外福利厚生の場合)
→例えば食事の場合、企業側負担が、一人あたり月額3,500円(税抜)以下である
なので、計上利益を増やして課税対象額が増加することを考えると↑の条件を考慮しながら上手く福利厚生費を計上する方が社員の満足度も上がって結果的にお得になります。
◇福利厚生を管理するツール
いやー福利厚生のコスパとか、何がどれくらい利用されているかエクセルとかでいちいち管理するの面倒くさいなと思っていたところ以下のようなサービスを発見しました。(https://miive.jp/)
専用カードを使って申請や承認を自動化させたり、利用状況を可視化できるので福利厚生のPDCAを回すにはいいサービスなのではないでしょうか?
◇福利厚生を外部化するサービス
福利厚生も社内で運用するものもあれば実はアウトソーシングできるサービスもあります。クーポンやチケットを使ってサイト上の映画や旅行を社員がお得に予約したりできるサービスです。
そんなに金額も大きくないのと大きな企業だと結構導入していることが多いので試しに導入してみるのはありかもしれません。
4サービスほどあるのですがUIが悪い━━━項目多いので検索に苦労して結局使われないだろうな━━━サービスも多いのですがPerk(パーク)は個人的に一番見やすかったのでおすすめです!
https://perk.wantedly.com/categories/3/products
https://www.reloclub.jp/fukuri/cafe
https://www.ewel.co.jp/category/service/cafeteria
https://bs.benefit-one.co.jp/bs-official/service/cafe.html
◇助成金関連
厚生労働省のHPに雇用関係助成金検索ツールがあり、ここから検索してみると企業で利用できる助成金が分かってよさそうです。
例えば、両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)は、不妊治療と仕事との両立に資する職場環境の整備に取り組み、不妊治療のために利用可能な休暇制度や両立支援制度を労働者に利用させた中小企業を支援する助成金がありました。
最初の労働者が休暇制度・両立支援制度を合計5日(回)利用することで30万円の助成金がおります。
その他にもくるみんマークというものがあり、上限50万円のくるみん助成金(中小企業子ども・子育て支援環境整備助成事業)があったり、
「えるぼし認定」という、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づき、一定基準を満たし、女性の活躍促進に関する状況などが優良な企業を認定する制度もあります。
基礎知識はここまで!本趣旨に入っていくよ━━━本趣旨までながすぎてごーめーんっ
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#2.「福利厚生がユニーク!」とされている企業はどんな福利厚生を実施しているか
エン・ジャパン|会社の評判を参考にしたところ、企業ごとの分析項目に「ユニークな福利厚生を導入しているか」という質問で、「YES」回答割合が多い順に並べたランキングがあります。※口コミ300以上の企業限定
ユニークな福利厚生と書いてあるものの社員が自社の福利厚生はユニークなんだよね!と感じているということはそれだけ皆が福利厚生に関心があり、自社の福利厚生を良いと思っていると思います。
そこでそんなTOP企業の福利厚生を一覧化することで他企業でも福利厚生をを導入する際に参考になるのではと思い70施策を粛々とまとめてみました!
(No1~No70の全施策は↑のリンクから!)
ここからは施策を調べている中で面白いなー良いなーとか気づいたことをあげてみます!
【No5 女性活躍促進制度 macalon】
月1回生理休暇で特別休暇を取得できる、月1回妊活休暇を取得できる、卵子凍結補助で40万円を上限に補助、キッズ在宅、認可外保育園補助…など8つの施策をパッケージ化したサイバーさんの福利厚生
少子高齢化や老年人口が減っていることもあり女性の活躍は国としてもマストだとされていく中でさすが手厚い制度だなと感心しました。
自社採用していてもやはり女性としての働き方への会社の考え方や制度についてや、制度はあっても本当に活用できるのか、はかなり聞かれるのでこれからどの企業でも必要になってきそうです。
また、今回調べていて卵子凍結補助が福利厚生が手厚い企業には結構あるんだなというのは印象的でした。
【No14 サンクス休暇】
従業員本人や家族の誕生日、結婚記念日などに年1回休暇を取得でき、サンクスファミリーギフトを贈るというリクルートさんの手当。
「有給は多ければ多い方がいいぜ!」というのが従業員の本音かもしれませが、日数だけじゃなくてこういう施策の意図や心が見える施策の方が実際うれしいし、従業員を大事にしていると感じました。
なんてない日の有給でも旅行やリフレッシュにはもちろん活用できるのですが、誕生日や記念日に確実に休みが取れる、というのはより嬉しいです。
彼女の誕生日に「わりぃ、仕事入った!」なんて言った日にはもう仕事どころじゃないですもんね・・
【No51 LGBTQ+関連】
USJが導入している、ジェンダーフリーな更衣室やトイレの設置、状況に応じ個人が希望する姓名の使用が可能になるという福利厚生です。
ジェンダーフリーのトイレは賛否両論真っ最中ですが、さておき世の中の流れに沿ってまず導入してみる、と実践できるのは凄いの一言。今回唯一のLGBTQ関連の福利厚生でした。
該当する社員が少数にはなるので後回しになりがちですが功利主義的な考えの企業は今後淘汰されていきます。
賛否はさておき、福利厚生においてはまず導入してみてみんなの意見を聞いてみるという姿勢が大事と考えさせられました。
【No54 内閣府ベビーシッター割引券】
ちらほら色んな企業で見られたこの福利厚生。実は内閣府主導でベビーシッターを利用する際の割引券がもらえる施策があってその活用です。
これを実施している、ということより、国で推進している補助金や助成金をちゃんとキャッチアップして活用できているのが凄いポイントです。
多くの企業では法改正や補助金助成金を調べる時間がない、またそもそもそういう知識がないことがほとんどです。
かく言う私も助成金や補助金、国庫の借り入れなどの威力を感じて調べるの楽しい!!と思うようになったのはここ2年です。それまでは調べる癖がついていませんでした。
これを見たことを機にぜひ月1くらいで調べて導入してみてはどうでしょうか!?
【No58 ランドセル贈呈】
個人的に今回調査している中で一番好きな福利厚生です笑
社員のお子さんが小学校に入学する際にランドセルを贈呈するという施策で、まあ価格にして安いものだと2~3万の話なのですが、金額云々ではなく、なぜ始めたか?の心がとても感動でした。
贈呈した各ご家庭からメッセージが届くようで、これをみているだけでもしっかりみんなの心に届いているんだなと思わされます。
【施策を統計的にみてみる!】
今回集めた70施策では非金銭的が約6割でした。福利厚生というとどうしてもコストがかかるイメージがありますが福利厚生が賞賛される企業ではそれ以外で創意工夫していることがわかります。
また、カテゴリ別にみてみると、育児・介護、休暇、文化・体育・レクリエーションの割合が多いことが分かりました。
私は成長意欲の権化タイプなので自己啓発の福利厚生100%が良いなと思ってしまいますが、パパママ、または介護が必要な方がご家庭にいらっしゃる方からすると育児・介護の福利厚生が手厚いのは本当にありがたいだろうなと思います。
休暇とかレクリエーションだとラッキーくらいですが、育児・介護の福利厚生は筆舌に尽くしがたいものがあります。
最近周りでも子どもができる人が増えてきたので体験談を聞いてみるとほぼ寝れてないとかリモートワークでワークできないとかよく聞くので神の救いにも思えると思います。笑
休暇においては週休3日においては賛否両論はあり、休暇を増やしても自己研鑽や生産性向上に使える人多くないんじゃない?というのはあります。
また、だらだらしているくらいなら働いて給与上げたいよという若者も正直一定数います。
休暇を増やすことで勤務の絶対時間が少なくなる(=間接コスト)ことの影響がどれくらいなのか今後立証されて、
生産性が下がることはない、むしろ自己研鑽してハイパフォーマンスの従業員が増えた!
という事例が出てくればより多くの企業でも休暇日が増える、取得しやすくなっていくと思われます。
***
#3.福利厚生について今一度考える!
気づいたら6000字超えていました。どうでしたでしょうか?色々考えさせられる部分があったのではないでしょうか。
経営やマネージャにとって社員にできるだけ長く、パフォーマンス高く勤務してもらうというのは重要項目の1つです。
キーエンスのように組織の筋密度を高めてよく働き、かなり高給にするのも1つのあり方だと思います。
でもそういう働き方ができるのは1部ですし、今後日本を担っていく若者達は社会課題への関心度や公私を使い分けたい気持ちが高まっています。
そんな彼らがどういう会社で働きたいのか真摯に向き合い、なんとなく福利厚生を導入するのではなく、
・自社の社員がどういう傾向があるのか調査する
・カテゴリのバランスや予算を考慮して吟味する
・撤廃や新規導入したり適切に新陳代謝をつくる
などなど
福利厚生のカスタマイズと運用
が大事です。
と、私は思います。
━━━FIN
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