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AOE2DE 3月新DLC「勝者と敗者」キャンペーン概要(2) その他の西欧

こちらの記事の続きです。今月リリース予定の新DLC、「勝者と敗者」から西欧を舞台とした6つのシナリオを取り上げます。


406年 ガイセリック

文明: ゴート 難易度: 中
前の記事でもおなじみのシナリオクリエイターFilthydelphiaの作でVandalsというのがあります。ガイセリック(389頃-477)は、史実では455年にローマ市で2週間にわたる略奪を行ったことで知られています。アッティラ(キャンペーンシナリオで扱われるのは434~453年頃)がカタラウヌムの戦い(451年)でローマと痛み分けの戦いを演じた数年後のことでした。
とはいえ、このシナリオが始まるのはその50年近く前。西ゴート族の王アラリック(シナリオ登場は394~413年)の全盛期です。この時期のガイセリックはヴァンダルの王弟。ガリア(現フランス)にいたフランク族と死闘を繰り広げ、勝ったり負けたり、追い出されてイベリア半島へ逃げ込んだり……という史実をなぞります。果たして北アフリカに王国を築いてローマを略奪するまで生き延びられるか? 史実通り455年までにローマ市を破壊するアチーブメントがあり、プレイヤーの手腕が問われます。
ヴァンダル族アラン人もゴート扱いでいいのかはちょっと疑問ですけどね。ちなみにガイセリック自身は、史実では90歳前後まで生きたとされる長命の人物でもありました。

440年 ヴォーティガン

文明: ブリトン 難易度: 中
既存のカスタムキャンペーンシナリオでThe Fall of Roman Britainというのがこれにあたります(Filthydelphia作)。ヴォーティガン自身はローマ帝国衰退期のブリトン人諸侯の1人。ケルト系諸部族に対抗するための傭兵としてサクソン人を呼び込み、後の混乱を招いた張本人で亡国の王……と言われがち。FGOをプレイしている人ならば「オベロン・ヴォーティガーン」といえば馴染みがあるでしょうか。

本シナリオではサクソン人の同盟軍を召集して当面の敵であるスコットランド人(ケルト)を撃退することになりますが、史実通り裏切って手に負えなくなったサクソン人に加え、現アイルランドや現フランスからも次々と上陸軍が押し寄せます。民族の象徴を防衛しつつ、西暦500年まで生存しましょう。アチーブメントは
全ての都市(TC3つと象徴)を防衛する
サクソン人の援軍を12回召集して勝つ
の2つ。同時に達成するのはほぼ無理かも。

768年 カール大帝

文明: フランク 難易度: 低
カール大帝(シャルルマーニュ、742~748ころ生~814)といえば説明不要でしょうか? カロリング朝の創始者ピピン3世の息子で、言わずと知れたフランク王国の英雄にして初代神聖ローマ皇帝。また、トゥール・ポワティエ間の戦いを扱ったトゥール(732)に登場するカール・マルテルの孫にあたります。史実では800年に戴冠しましたが、教皇領との間にはロンゴバルド族(イタリア)が立ちはだかります。諸方を征服しまくる、爽快感のあるシナリオかと思いきや、完全制覇を目指すとなるとなかなかの高難易度。

カール大帝が倒されてしまうとほぼ詰みなので気をつけましょう。帝王進化の鍵となる4人の賢者(聖なる箱を持った聖職者)を見つけるための探索のほうが時間がかかります。公式ページにネタバレも載りました。実は人名をちゃんと読めば当該の賢者がどこに居るか検討はつくのでした。

今のところDLCオリジナルのよう。

921年 ロベール1世

文明: フランク 難易度: 中
主人公のロベール1世(865頃~923)は在位年数は短いものの西フランク王に就いた人物(在位922~923)。888-898年に王位に就いていてパリ防衛にも功績のあった西フランク王ウードの弟です。また、フランス・カペー朝創始者であるユーグ・カペーは彼の孫です。当時のカロリング朝は弱体化しており、ロベールは当初はシャルル3世(在位893-922)に対して協力的だったものの、やがて他の貴族に担がれて反乱を起こし簒奪。しかしその時の戦傷がもとでまもなく死去したとされています。当時の西フランク王国はかなりの混乱状態にあったとみえ、ウードとシャルル3世の在位年数が重なっており、共同統治をしていたことからも王位の不安定さ、軽さが伺えます。
シナリオとしては、北欧人(おなじみのノルマン人/赤)を倒しつつ、5人の公爵とあるいは同盟し、あるいは滅ぼして王位に推戴されることを目指します。誰の支持も受けずに王位を簒奪することで達成される実績もありますが、高難易度では制限時間があることもあり、相当骨が折れることでしょう。低難易度では制限時間はなくなります。

936年 オットー大帝

文明: チュートン 難易度: 高
オットー大帝(912-973)は初め東フランク国王(在位936-973)およびイタリア王(951-973)、ついで長らく空位だった神聖ローマ皇帝(在位962-973)に数十年ぶりに即位した人物です。諸勢力との同盟を維持するための微妙なバランス感覚が求められそう。記事のヘッダーにもした告知動画のキャプチャには水色のチュートンナイトが見えますが、プレイヤーカラーは黄色。水色は下記の「3人の家臣」のうちの1人として登場します。

オットー大帝
恐ろしいバイキング、馬に乗ったマジャール、屈強なフランクなどの敵に囲まれています。あなたは王ですが、その力は絶対的なものではありません。家臣は 3 人います。彼らがかけがえのない親友になれば、「神聖ローマ皇帝になる」というあなたの野望達成を手助けしてくれるでしょう... さもなければ、彼らは反抗的な悩みの種となってしまいます。彼らと自分の力のバランスを取り、タイミング良く贈り物をして家臣たちを従わせましょう。

DLCの説明文より

家臣である3人の諸侯は、時間経過で忠誠心が低下していき、0になると叛乱状態となります。3人とも叛乱状態になると西フランクが敵に回るため、互いに争わせて力を削ぐプレイングも必要かもしれません。なお、オットー1世はHidden Cup 5でも登場したキャラクターの一人。
200年後の神聖ローマ帝国を扱ったキャンペーンシナリオ、フリードリヒ・バルバロッサ(1152-1191)でも同じようなことを繰り返しているのは御愛嬌でしょうか。

1135年 スティーブン王

文明: ブリトン 難易度: 中
スティーブン王(1096頃-1154)はノルマン朝イングランド創始者であるウィリアム征服王(ウィリアム1世)の外孫にあたり、母の嫁ぎ先であったフランスのブロワ伯領からイングランドに乗り込んでいって王位に就いた人物です(在位1135-1154)。「歴史上の戦い」にあるヘイスティングス(1066)はこの祖父のほうの征服行を扱ったシナリオなので、あらかじめプレイしておくと良いでしょう。王位についたとはいえ、スティーブン王には従妹にあたるマティルダを支持する一派が対抗者として健在。カスタムキャンペーンでのThe Anarchy(無政府状態の意、Filthydelphia作)というシナリオタイトルからも分かる通り、彼の治世は抗争続きでした。

シナリオとしてはロンドン塔を防衛しつつ、マティルダや他の諸侯など敵の10個の城を一つずつ攻略していく……と思わせて、マティルダの息子であるヘンリー2世が圧倒的な軍勢を率いてフランスから上陸。手をこまねいていればあっという間に滅亡します。難易度: 中とか嘘でしょ? 

投石機、遠投に回復付きの騎士まで上陸してきてロンドンはもうボロボロ

なお、史実では結局そのヘンリー2世が王位を継承、プランタジネット朝を開くのですがこの人もウィリアム征服王の外曾孫(イングランド王位に就いた息子、ヘンリー1世の外孫)。乱暴に要約すれば、フランスの大貴族たちが、ウィリアム征服王からの女系で繋がった親戚同士でイングランドの領有権を争っていた……というのが12世紀ブリテン島の実情なのでした。蛇足ですが、このヘンリー2世の息子が高名なリチャード獅子心王(1157-1199)で、「歴史上の戦い」のキプロス(1191)(第3回十字軍の一環)の主人公でもあります。

以上6つのシナリオの概略でした。更に歴史の詳細に興味のある方は、fleuretさんの記事もおすすめです。

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